産地 | イタリア、ロンバルディア地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 48% |
形状 | 一辺18B、高さ約10B、重さ3.5kg |
タイプ | セミハードタイプ |
季節 | 初夏から冬 |
プロフィール | 北イタリアのロンバルディア地方の山の中で昔から細々と作られてきているチーズ。このチーズのいとこ的存在にタレッジョがあるが、タレッジョと同じ型で作られてきたので同じような四角い形をしている。 山の上の牧場に牛たちを放牧に出す前の5月に麓の村の家に残る家族が夏の間に食べるためにまとめて大きめに作られたチーズで、「サルヴァ」という名前はイタリア語で「サルヴァーレ(保存する)」からきている。そういうチーズなのでこの地方としては少し大きめで、見た目は朴訥としている。 表面は木の肌のようなゴワゴワとした黒っぽい茶色。所々に白や黄色、グレーのカビが生えていて、例えて言えばトム・ド・サヴォワのような外皮。味の方は素朴でありながらもしっかりとミルクの甘さは感じられ、チーズの中心部分は熟成がなかなか行き届かないのでボソボソとした食感とほのかな酸味があるが表面に近い部分はねっとりとしてコクがある。 |
食べた感想 | フランスもそうだと思うけれど、イタリアにはまだまだ地元から全国区になっていない、ましてや世界に知れ渡っていないチーズが山ほどあると思います。けれどそういったチーズが優良なチーズ製造メーカーによって作られたり、品評会などで海外からのバイヤーの目に止まったりすると海を渡って遠い国の食卓に上ることだってあるのです。
このサルヴァというチーズの存在は日本で手にはいるようになった最近知りました。DOPを持っていないチーズなので、イタリアチーズの専門セミナーでも名前すら聞かなかったし、ラルース・チーズ辞典(1979年刊・・古い!)にも載っていないので、よっぽどマイナーで秘境のチーズだったのでしょう。しかもこのチーズの兄貴分に「タレッジョ」という超有名なDOPチーズがあるため尚更日の目を見ていなかったようです。しかし小規模ながらも「タレッジョ」の優良製造メーカーがこのチーズも作っていたため、日本でも紹介されるようになったようです。なんだかこれも「縁」かなぁ。 マイナーなチーズなのでもちろん姿形は地味です。多分、チーズ屋さんのショウウインドウに並んでいてもよほどいろんなチーズを食べていて、チーズにうるさいお客さんでないと目にとめないような、見た目の主張が全くないそんなチーズです。実は私も良くチーズショップに足を運んでいましたが、長いことこのチーズの存在にすら気づかず、ある日お店の人に薦められて一切れほど試食をして感動して思わず購入してしまいました。 いったい何に感動したかというと、その味わいの地味で奥ゆかしい所。姿だけでなく味わいもとても控えめでした。けれどいかにも「美味しいでしょ」とプンプン匂いをさせているようなチーズとは違って、「こんな私で良ければ食べてね」というような奥ゆかしい感じと、食べて納得の出処の良さ(ミルクの生産されているところの環境の良さや造られ方の良さ)が一口で伝わってきたのが私の心を射抜きました。 例えは悪いですが雑巾のようなゴワゴワとした外皮の真下は少し匂いもきついのですが、濃いアイボリー色にしっとりと目が詰まっているチーズの身は弾力はありますが少しウオッシュタイプのような濃厚な風味を持っています。あまり塩分が強くなくミルクの成分の濃さだけで味の幅を作っている感じがします。そして外皮から離れたチーズの中心部は白くてボソッとした食感です。ここはヨーグルトのような乳酸のほの酸っぱさとミルキーな甘さが同居しています。非常にフレッシュ。私はこの感じと日本酒のマリアージュが好きだぁと思いながら食べました。 チーズに高さがあるので一切れ(100gくらい?)購入しても2種類の味が楽しめるというのも面白いです。華やかさは無いけれど、じっくり味わいながら食べるとなかなか乙なチーズです。そして是非いろんなチーズと食べ合わせるのなら、最初の方で食べて欲しいチーズです。 |
合うワイン | フルーティーで軽めの赤ワイン。ボージョレとかカベルネフラン種のビンテージの若いものを。辛口の軽い白ワイン。そして日本酒。 |
合うパン | バゲット。ライ麦パン。 |
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