産地 | フランス、ノルマンディー地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 45% |
形状 | 直径10.5〜11cm、高さ3cmの円盤形、重さ約250g |
タイプ | 白カビタイプ |
季節 | 一年中 |
プロフィール |
世界中で一番名の知られたカマンベール。日本でもこの名前の付いたチーズはいくつも生産されている。しかし伝統的な製法で産地や原料となる牛乳を厳しく定めた「AOC(原産地呼称統制)」にのっとって作られる本物のカマンベールは「カマンベール・ド・ノルマンディー」という名前がついている。 カマンベールが誕生したのは1790年のフランス革命時だと言われている。イギリスに逃亡を企てた修道僧が逃亡途中にノルマンディーの農家に身を隠し、その頃にパリ近郊で作られていた「ブリー」というチーズの作り方を伝授し、それ以降カマンベール村で作られるようになったとか。 AOCの規定では生乳(無殺菌乳)の使用を義務づけているので、単なるカマンベールに比べると風味が強く、熟成すると相当強烈な匂いがする。(ちなみに日本では無殺菌乳でのチーズの製造は認められていない)そして熟成状況によっても食べた印象がかなり違ってくる。好みもあるが真ん中にチョーク状の芯がほとんど消える頃がコクも風味も最高だ。 フランスからの輸入のものでも「カマンベール・ド・ノルマンディー」でない「カマンベール」というものもたくさん出回っているので、パッケージをよく見て購入してほしい。 |
食べた感想 |
私が「カマンベール」というチーズの名前を知ったのは約15年ほど前、まだ中学生の頃です(歳がばれる)。母が缶のカマンベールにこの頃はまってしまい、しょっちゅう食卓にのぼっていました。それまでプロセスチーズの味しか知らなかった私には、白カビのほのかな香りやむちっとしたチーズの身の虜となり、大人っぽい気分になりながらまた輸入品を食べる優越感に浸っていたものでした。(メーカーは忘れましたが「カマンベール」と「ブリー」の2種類売っていて、味も形もほとんど一緒でこの2つの何がどう違うのかが疑問でした。) ところが結婚後ナチュラルチーズにはまるようになってから、缶のカマンベールは保存性を良くするために缶詰めになっていて、当然ながら本来のカマンベールの味とは違うんだということに気付きました。よく通っていたチーズ専門店でも缶カマンベールでない‘本物’のカマンベールが売られていました。 しかし‘本物中の本物’のカマンベールが存在するということはしばらく知りませんでした。(チーズのプロフィールの欄でも説明しているAOCカマンベールのこと) さて、このいくつかの種類のカマンベール、どう味が違うかと簡単に申しますと、缶のカマンベールは缶詰めにする時点で熟成を止めています。ですから開けたてに食べますと非常に口当たりが良く上品な味がします。言い換えれば無難で味が平べったい感じです。(例えが適切ではありませんが、アスパラガスも缶とフレッシュなものとは全然違った味と感触です。) では「カマンベール・ド・ノルマンディ(AOC)」とそれ以外のただの「カマンベール(もちろんナチュラルチーズの)」の違いはいかに。これは非常に比べるのが難しいと思います。 誤解を承知で語るとすれば、AOCのカマンベールのほうが熟成が進むにつれ、強いコクと匂いを生じます。なかなかうまく熟成したAOCのカマンベールに当たることがないのですが、食べた感想は匂いは古漬けのようで(例えが悪いが体臭のキツイ足の匂い)、中身もウオッシュタイプも顔負けなくらいの濃厚さで、臭いんだけれど好きな人にはたまらない、病みつきになる勢いのある味です。あぁこれぞ熟成チーズの醍醐味という感動を得ることができるでしょう。 AOCでない「カマンベール」が美味しくないかといえばそれは間違いです。メーカーの差こそあれAOCのものとほとんど同じ作り方をしているものもありますし、状態次第ではひけを取らない味が楽しめることもあります。 しかし前にも言及したように、知名度が高いチーズだけに食べる機会は多いのですが「これは」と思えるカマンベールには10回に一回、いや50回に一回くらいの確率でしか出会っていません。私の愛読書「チーズ図鑑」の表紙の写真のカマンベールを見ると、条件反射であのキツ〜イ匂いのカマンベールを思い出して唾が出てしまいます。(パブロフの犬状態) |
合うワイン | 熟成の段階によって微妙に合うワインが違ってきます。まだ中心にチョーク状の芯が残っている若めの熟成ならば、少しコクのある白ワインかフルーティーな赤ワインを。中心まで柔らかくなっている熟成が進んだタイプならばフルボディーの赤ワインが合うでしょう。 |
合うパン | バゲット、カンパーニュ、クルミやレーズンの入ったライ麦パン。 |