産地 | フランス、シャンパーニュ地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 50%以上 |
形状 | 直径7.5〜9cm、高さ4〜6cm、重さ150g |
タイプ | ウオッシュタイプ |
季節 | 1年中 |
プロフィール | ラングルの産地はブルゴーニュ地方がすぐ南に隣接するシャンパーニュ地方のラングル高原である。(ラングルという街も存在する) ラングルはその形がユニークで上部が窪んでいてそこを「フォンテーヌ(泉)」と呼んでいる。この窪みはほとんどのチーズを作る過程で行う「反転作業」を一回もしないので(つまり型から出したチーズを熟成させるのにずっと上下逆にしないでいる)できるのだそうだ。熟成が進めば進むほど窪みも大きくなってくる。 それから表皮が鮮やかなオレンジ色をしているのも特徴だが、これは「ロクー」という植物性着色料を「ウオッシュ」するときの塩水に混ぜて手や布で表面に付着させるためである。 かなり表皮がべとべとしていて匂いも強い。チーズの中身はベージュ色で熟成が進むにつれ表面に近い方からトロトロになってくる。 |
食べた感想 | 今月はどういうわけかラングルを3回も食べる機会に恵まれました。それぞれに熟成状態が違い、当然味も食べた印象も全然違っていました。 ウオッシュタイプが好きというかなりのチーズ通の人は、熟成がかなり進んだとろとろで柔らかい、そしてとてつもなく臭いものが特に好きという人が多いのです。私もチーズ好きのはしくれとして、今まではウオッシュは熟成したものに限ると思っていました。が、今回立て続けにラングルを食べて少し考えが変わりました。 自分のチーズ会で同じシャンパーニュ地方産のシャウルス(白カビタイプ)とラングルをシャンパーニュ(ワイン)で合わせてみましょうという企画をしました。その時に用意したラングルはまだ若くて外から手で触ってみてもまだ固くて、ナイフを入れても中心部にはまだ芯がありました。他のウオッシュタイプだったらこれくらいの熟成具合では味のパンチも深さもなくてなんだか物足りなさを感じるのですが、今回のラングルに関して言えば、舌にまとわりつくようなミルクの甘味がちょうど良く、後味もさわやかに口の中に広がっていきました。後味のしつこさがないのでシャンパーニュの泡にもにもよく合い、すばらしいマリアージュを堪能することができました。 2回目に食べた物はこれよりは幾分か熟成が進んだもので、匂いもコクもかなり出てきていました。カットして室温に置いておくとチーズの身の表面がつやつやとして実においしそう。食べてみるとかなり塩辛さが際立っていましたが、シャトーマルゴー84にも負けないくらい味には力強さが備わっていて、これもなかなかのマリアージュ。まったりとしている割には後味はスッと消え、後腐れのない味にも好感が持てました。 3回目はかなり熟成しているもので、包みに包んでいても匂いがしみ出るほどの臭気。手で触ると指の型で形が崩れてしまいそうなくらいまわりはトロトロに熟成していました。期待をして一口。う〜んちょっと行きすぎかなぁ。刺激が強すぎます。匂いのは許せる範囲なのですが、舌へまとわりつき方がしつこくてなかなか口の中から味が消えてくれません。それに科学薬品っぽい後味が残ってしまって、チーズの味の信条である「ミルクの甘さ」が影を潜めてしまっているのです。このチーズの状態が悪いせいなのかとも思ったのですが、一緒に食べた夫は「お、これうまい!」と言っていたので、単に私の好みではないということなのかと考え直しました。 結論。ウオッシュタイプはトロトロに熟成したものは確かに美味しいけれど、あまり匂いや味のインパクトが強すぎるとかえってバランスが悪くなってしまう。私の好みのチーズの条件はミルクの芳醇がちゃんと感じられること、これに尽きると思います。(どんなタイプのチーズにでも言えることですが) |
合うワイン | 適度に熟成しているものにはピノ・ノアールやあまりタンニンが強くないボルドー系の赤ワインと。赤ワインでも優しい印象の方が合いやすいと思います。若めのものにはシャンパーニュも。 |
合うパン | ブドウ入りクルミパン。パン・ド・カンパーニュなど。 |