産地 | イタリア、ピエモンテ州 |
原料 | 牛乳、山羊乳、羊乳 |
乳脂肪分 | 季節によって乳の混ざり具合が違うので決まっていないようです |
形状 | 直径10〜14B、高さ4〜5B、重さ約300g |
タイプ | 単なるソフトタイプ |
季節 | 冬の終わりから秋にかけて |
プロフィール | ピエモンテ州の村々で作っている小型の柔らかいチーズを総称し「ロビオラ」とか「トゥーマ」とか呼んでいる。 村ごとに、または家庭ごとにレシピが違い、いろんな「ロビオラ」がこの地方には存在している。 「ロビオラ」という名前の根拠はチーズを熟成させていくうちにどんどん表面が赤っぽく変化していくため、赤い(ルビー)という「ルベオラ」という言葉から来ているそうだ。 その中で最も出世したチーズはピエモンテ州ランゲ地方にあるロッカヴェラーノ村のロビオラという名前の「ロビオラ・ディ・ロッカヴェラーノ」(DOPを持っている)。山羊乳を主体に作られるロビオラだ。 ロビオラが作られるこの地方はバローロ、バルバレスコ、アスティなどワインで世界的に有名な村が点在しているワインの産地。丘陵地帯のこの地方の農家では山羊、羊、牛などを飼っていて、それらのミルクを合わせてチーズを造っている。 それゆえ、場所によっても農家によっても季節によっても混ぜる乳の割合が変わってくるため、チーズ造りの際の厳しい乳種の限定がなく規制がゆるい。 ロビオラ・トレラッティは牛乳、山羊、羊乳を混ぜて造っている。 |
食べた感想 | 北イタリアのチーズといえばハードタイプのいわゆる山のチーズがほとんどで、フランスのような小さくて柔らかいチーズは極少数派、と思われがちです。 山間部で伝統的に作られるチーズは厳しい冬の間の保存食としての目的があるので、水分が少なくてゆっくりと熟成する大型のハードタイプが多いのですが、大型のチーズを作る傍ら余ったミルクや冬の間に家でちんまりと作るチーズは小さくて柔らかいタイプのチーズとなるのです。 初めて「ロビオラ」というチーズを食べたのは6年前、四角い豆腐のようなチーズだったことを覚えています。牛乳100%でいわゆる工場製の食べやすいけれど特に特徴のあるチーズではなかったです。 2001年の秋にピエモンテ州を訪ねたとき、ロビオラを作っているという農家を数軒回りました。どこも山の中にポツンとある山羊や羊、牛などを家族で飼っている小さな農家ばかりでした。農家によって山羊だけを飼っていたり、羊も飼っていたりと個性があります。そこでその日の搾乳したての全てのミルクを混ぜてチーズを作り、それを売ってお金にしているのです。まさにスローフードだなぁと、思いました。 今回食べたのは「ロビオラ・トレ・ラッティ」という羊、山羊、牛のミルクを混ぜて作っているチーズ。なるほど「トレ」はイタリア語で「3」、「ラッティ」は「ミルク」という意味だわ。 まだ熟成が進んでいない真っ白なチーズを購入しました。 3種類の乳が混ぜてあるということで、いったいどんな味がするのか興味津々。山羊乳の獣っぽい(悪く言えば動物園の山羊舎臭)がするのか、はたまた羊乳のこっくりまったりのふくよかさがあるか・・・。 期待を込めてカッティング。 すると中は表面よりも白いきめの細かい身が現れました。まるでフレッシュなシェーブルチーズのよう。今までの経験でこういったタイプは口に含むとちょっと酸味を感じるかなぁ、と思いつつ食べてみました。期待を裏切りとがった酸味は全く感じず、フレッシュなチーズゆえの爽やかさに加えてしっかりとコクのあるふくよかなミルクの旨みが口中に広がりました。 イタリアの農家製チーズはどこか素朴で荒っぽい味、というのが私の印象だったのですが、これは非常に繊細でエレガントな上質なチーズでした。しかも羊乳や山羊乳の獣臭さがまるでないので(熟成したらどうなるか分からないけれど)、誰でも楽しめる美味しさ。 ただちょっと値段が高めなので、お呼ばれの時とかホームパーティーをするときの「ハレの日」チーズにふさわしいかな? 一回で食べきらずにしばらく冷蔵庫にて保管した後、1週間後にまた食べてみました。皮が蒸れたのか、少し熟成したのか表面から少し柔らかくとろけてきていました。このとろけたところの風味が強くて、赤ワインと合わせたらワインをぐっと引き立てそうな感じ。 ワイン&チーズを楽しみたい人には少し熟成タイプのロビオラがいいかもしれません。 |
合うワイン | ピエモンテの白ワイン。ロエロ・アルネイスなんか面白いかも。モスカート・ダスティはワインが甘めなので合いにくい。赤ワインは果実味のあるミディアムボディの赤ワインと。同郷のワインならバローロとかよりはバルベーラ・ダルバやドルチェット・ダルバとのほうがよいと思う。 |
合うパン | パン・ド・カンパーニュ、パン・オ・セイグル、クルミ入りのパンなどと。 |