産地 | フランス、ドフィーネ地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 40%以上 |
形状 | 直径7cm、高さ2〜2.5cmの円盤状、重さ80g以上 |
タイプ | シェーブルタイプ(原料は牛乳だが作り方がシェーブルと同じ) |
季節 | 1年中 |
プロフィール | その昔、ルイ11世が森の中で熊におそわれたとき、このチーズを食べて怪我が回復したという言い伝えがある。昔は山羊乳で作られていたが、現在フランス国内や日本などに流通しているものはほとんど牛乳製になっている。 手のひらにのるくらいの小振りなチーズで、若いものからうんと熟成したものまでそれぞれの段階で楽しめる。牛乳に凝乳酵素を加え、後は熱も圧力もかけずに作るので、若いものはまるでシェーブルのように真っ白できめも細かい。熟成していくにつれ表面にもうっすらとカビがつきややクリーム色がかってきて、まわりから中心に向かって柔らかく熟成していく。そして完熟するとトロリとしてスプーンでないとすくえないくらいになる。「サン・マルスラン・アフィネ」といってサン・マルスランを熟成庫で熟成させ、小さな容器に入れ出荷しているものも売っている。(右下写真) |
食べた感想 | 今回は2種類のサン・マルスランを買いました。ひとつは下の写真左の熟成の若いもの、もうひとつは写真右の完熟のもの(サン・マルスラン・アフィネ)です。 熟成の若いほうは表面は少ししっとりとしてやや黄色みがかっていましたが、中は真っ白でした。まるで若いシェーブルのようで食べた感じも酸味があってさっぱりとした口当たりでした。(ただシェーブルと違って山羊乳特有の臭みがない分、物足りない感じもします。)何の香りなのでしょうか、ほのかにワインのようなマールのような醗酵したアルコールのような香りがしました。それもほのかなので、ほど良いアクセントとなり、ヨーグルトのように酸味ばかりがたちすぎない効果があるように思いました。 さて、それに対し完熟の方は、ナイフで表皮を切ると(「破ると」と言った方がいいかもしれない)モン・ドールか完熟のエポワスかと思うような中身が現れました。表皮もカビ等で、えも言われぬ色合いになり、見た目は決して「おいしそう」ではありません。私はもうこれは「イカれたかな?」と少々心配するくらいでした。しかしクリーム色でトロトロとなめらかな中身はの味は、それはそれは濃厚で、夢のような芳醇なミルクの甘みが口に広がります。匂いはウオッシュタイプほど臭くはないのですが、熟成の若いものとは全然違います。 不思議なことに若いものを食べたときには全く感じられなかった「しょっぱさ」が、完熟のものは味覚の中で一番強く感じられました。逆に若いものでは味覚の中で一番強く感じた「酸っぱさ」が完熟のものではひとつも感じられませんでした。本当にこれは生まれが同じチーズなのかしらと疑いたくなるほど、見た目も匂いも味も違っていました。 |
合うワイン | 熟成の若めのものには辛口でフルーティーな白(ミュスカデなど)を、熟成の進み具合によりフルーティーな赤ワイン、完熟になればボディーのしっかりとした赤、たとえばエルミタージュなんかでもいいのではないでしょうか。 |
合うパン | パン・オ・セイグル、カンパーニュ、ライ麦パンなど。(完熟のものにはクルミやドライフルーツが入ったパンがよく合います) |
若くて真っ白なもの 完熟してトロトロのもの
チーズに興味のある方、ご一報ください。