ブリー・ド・ムラン
Brie de Melun
産地フランス、イル=ド=フランス地方
原料牛乳
乳脂肪分45%以上
形状直径27〜28cm、高さ3.5〜4cmの円盤状、重さ1.5〜1.8kg
タイプ白カビタイプ
季節1年中
プロフィールパリのお膝下、このイル=ド=フランス地方には「ブリー・ド・モー」「ブリー・ド・ムラン」「クーロミエ」の‘ブリー三兄弟’と言われる有名なチーズがある。そのなかの「ブリー・ド・ムラン」はムランという町で作られるブリーという意味。
カマンベールと並んでフランスのチーズの代表選手の「ブリー・ド・モー」に比べるとやや小振りで、味は塩辛くコクもある。そのためしばしば「モー」が女性的と言われているのに対して、「ムラン」は男性的と言われている。味や風味の違いは、同じ「ブリー」と言われるチーズでも、作る過程で凝乳や発酵の仕方や時間のちがいでずいぶんとかわってくる。「ムラン」は凝乳や熟成にかける時間が「モー」よりも長い。生産量も「モー」に比べると1/30くらいで(1991年統計)うんと少ない。
若いうちは白いカビに被われているが、熟成をすると表面は茶褐色になってくる。中は熟成が進むにつれ白からアイボリー、そしてタマゴ色になり、中心に向かってまわりからトロリと柔らかくなってくる。その頃には匂いも強くなる。
食べた感想「ブリー・ド・モー」は日本でもとても有名なので、チーズショップだけでなくスーパーなどでもパックになって売られているのをよく見かけますが、この「ブリー・ド・ムラン」の方は有名チーズショップでないとなかなか手に入りません。
私も一番最初に食べたブリーチーズは「モー」の方でした。その食べやすく優しい味を経験してから「ブリー・ド・ムラン」を食べると同じブリーでもずいぶん印象が違いました。(カット売りなので)見た目も「モー」のスラッと細長い白い姿に比べ、「ムラン」はずんぐりとしてなんだか薄汚れたような姿で‘やぼったい’感じでした。
そして家に帰ってラップをとった途端、まるでウオッシュタイプのチーズのような、熟成した強烈な匂いがしました。(少しまだ中心に芯があるので、熟成し切っていないのですが。)
お皿にのせしばらく常温に置いておくと、10分ほどたって芯の外側の熟成して柔らかくなった部分が、トロリと流れ出てきました。それが何とも美味しそうで指ですくって舐めてみたのですが(お行儀が悪いですね)、まさに熟れたチーズの味でした。
白カビチーズでも熟成がしっかり進んでいるものは、ウオッシュタイプに匹敵するほどの強い匂いと素晴らしいコクが楽しめます。今回のムランも一口食べると口中に塩っ辛さと、牛乳から生まれたものとはとうてい思えないハムか何かのような肉の加工物のような肉感(?)…ようは食べごたえとでもいいましょうか…が感じられました。
ある本で、このムランは熟成の途中で日本に輸入されてしまうため、なかなか芯のない全体がちょうど良く熟成したものには出会えないと書いてありました。ちょうど良く熟成していない今回でもこれ程までにコクと質感を感じられたのですから、現地フランスで食べるムランはどんなにか美味しいことでしょう。
合うワイン写真のように常温に置いておくと流れるような熟成状態のものには、ブルゴーニュのフボディーの赤を。(ジュブレ・シャンベルタンやボーヌ・ロマネなど)または、ローヌのスパイシーなフルボディーにもよく合います。(クローズ・エルミタージュなど)
まだ若めのものにはフルーティーな赤を。(ボージョレーのムーラン・ア・ヴァンなど)
合うパンパン・オ・セイグル、カンパーニュ、ライ麦パンなど。朝食のトーストにのせて食べたてみたが、あまりおいしいと思わなかった。


10分もたつとふちが流れ出した。

 


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