産地 | イギリスのレスターシャー、ダービーシャー、ノッティンガムシャーの各州。(ロンドンの北北西、イングランドの中央部のあたり) |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 48〜55% |
形状 | 直径20cm、高さ25〜30cm、重さ5〜8kg |
タイプ | 青カビタイプ |
季節 | 1年中 |
プロフィール | イギリス(イングランド)を代表するチーズのひとつ。
名前の「スティルトン」はハンティンドンシャー州にある町の名前。1750年前後にこの町にある「ベル・イン」という宿屋で(現在も営業しているらしい)初めて売られたことから、このチーズはスティルトンと言う名前になったとか。実際の産地は今も昔もこの地よりも北に位置するレスター、ダービー、ノッティンガムの3州で、それ以外の地での製造が禁じられている。 チーズの外皮は自然にできたまるでメロンの皮のような縞(でこぼこ)がある。中身はアイボリーで青緑色のカビが狭い縞模様で入っている。一般的に青カビタイプのチーズはカビの繁殖をよくするためにチーズに針で空気穴を開けるが、スティルトンの場合、チーズの中身で自然に生じる裂け目によってその作業はされない。かつては全乳に生クリームを加えて脂肪分約60〜75%の高脂肪のチーズを作っていたが、現在は48〜55%のごく普通の脂肪分のものになっている。 |
食べた感想 | 去年春、イギリスでの狂牛病が問題になって以来、意識してイギリス産のチーズを食べないようにしていました。少しくらい食べたからといって身体に影響が出るかどうかは疑問でしたが「危うきには近づかないに限るかな」と思っていたもので…。
その問題がきっぱり解決をしたわけではないのですが、ふとスティルトンが目に留まり(スティルトンは意外と安価なのです!!)、できごころで買ってきて食べてみました。 しばらくぶりの味。というよりどんな味だったかはっきり覚えていなかったのでほとんど初めて食べてみるような感覚。意識のどこかで「塩っ辛い」とあったのですが、意外や意外でとてもマイルドでピリッとくる刺激も穏やかなんです。 チーズの色もロックフォールのように白くなく濃いアイボリー色だし、青カビの入り具合もパセリ状というよりは人の毛細血管のようにはびこっている感じだし、見た目からして優しそう。「スティルトンってこんなんだったんだぁ〜」とまじまじと見入ってしまいました。 世界の三大ブルーチーズと称され、ロックフォール、ゴルゴンゾーラと肩を並べているはずなのに、ちょっとマイナーなイメージのあるスティルトン。英国紳士はポートワインと共に食するのが定番だとか…。スティルトンの上部をくりぬいて、ティースプーンに1〜2杯のポートを注ぎ、約一週間経ったらその部分を食べるという食べ方や、大胆にチーズとポートをぐちゃぐちゃと混ぜて、それをクラッカーにぬって食べるとか。そういえばイギリスではスティルトンを陶器の瓶(ポット)に入れたものを売っています。これって英国紳士がポートと混ぜやすくするために考えられたのかもしれません? スティルトンとポートを練ってペーストにしてみました。混ぜる割合がどれくらいか適当なのかわからなかったので、クラッカーに塗りやすい程度にのばしました。う〜ん、これではポートの甘さとチーズの辛さのマリアージュがイマイチわかりにくい。チーズを食べ、くちの中にチーズそのものがもしくは余韻が残っているうちにポートを口に含むほうが味の膨らみを堪能できると思います。 |
合うワイン | 腰のある赤ワイン、ローヌやラングドック地方の少しスパイシーな感じの力強い赤ワインもいいでしょう。合わせてみたことがないけれど、ポートは定番。貴腐ワインにもいけるでしょう。 |
合うパン | ブドウ入りクルミパン。ライ麦も入っていたらなおよし。英国風にクラッカーに塗っても。 |
ポート酒でスティルトンを練ってペーストにしたもの。
チーズに興味のある方、ご一報ください。