プーリニ・サン・ピエール
Pouligny-saint-Pierre
産地フランス、ベリー地方
原料山羊乳
乳脂肪分45%
形状底部の正方形の一辺が最低6.5cm、上部の正方形の一辺が2.5 cm高さ8〜9cmのピラミッド型、重さ約250g
タイプシェーブルタイプ
季節1年中、だが旬は春から秋にかけて
プロフィールシェーブルの産地ロワール河の上流のベリー地方で作られる形も実にユニークなチーズ。細長いピラミッド型で「ピラミッド」とも「エッフェル塔」ともニックネームで呼ばれている。
「サン・ピエール」はこの地方の村の名前。
山羊乳の全乳で作られるチーズは、約4週間の熟成を経て市場に出る。まわりには青色のカビが自然につき、チーズの中は真っ白で目も詰まっていてしっとりときめも細かい。まるで色白の美人のような肌だ。
味も酸味と塩っ気がバランスよく感じられ、山羊の乳の独特な臭さも他のシェーブルよりは少なく感じる。熟成が進むと白い身がだんだん黄色が濃くなっていき、味も酸味がだんだん薄くなりコクが増して塩気が強く感じられるようになる。
フェルミエ(農家製)と工場製があるが、その見分け方はフェルミエ製のチーズには緑色のラベルが、工場製のチーズには赤色のラベルがついている。
食べた感想去年、フランスのロワール地方を訪ねてちょうど旬のシェーブルを嫌と言うほど食べたせいでしょうか、それ以来シェーブルを食べたいと思うことが全くありませんでした。以前は好きだった山羊の独特のあと味がどうも受け付けなくなっていて、どうも味覚が変わってシェーブルはあまり好きでないチーズになってしまったのかしらと思っていました。
ところが今月チーズショップに何かおいしいチーズはないかしらとふらっと立ち寄ったら、フランスで6週間アフィネ(熟成)させたというプーリニ・サン・ピエールをすすめられ買いました。
通常は4週間ほど現地でアフィネしたものが日本に輸入されてくるのですが、日本の気候がチーズの熟成にはあまりむいていないこともあって、日本に来てから上手に熟成させるのは至難の業なようです。ですから熟成したシェーブルを手に入れたいときにはこのようにフランスで熟成させたものを買い求めるに限ります。
もともとシェーブルの中ではこのプーリニ・サン・ピエールが見た目も味も一番好きです。すらっとした姿、チーズの身のきめの細かさ、クセの少ないさっぱりとした味、ほのかに感じるミルクの甘さ、何だかとても洗練されていると思います。
しかしこの熟成したサン・ピエールは今まで食べた中でもトップになるくらい美味しいものでした。表面はアイボリー色で所々に青カビが付き、表皮から中に向かってクリーム状に柔らかく熟成していました。中心部はまだきめが細かく真っ白でその部分を食べると酸味が感じられます。まわりのクリーム色に変化した部分は、まったりと舌にまとわりつくようなコク、そしてミルクの甘みがじんわりとして酸味などまるで感じられません。山羊の臭いあと味はやや感じる程度でしつこくなく、ただただ美味しいものでした。
あまりに美味しいのでいつもより多めに食べてしまいましたが、シェーブルを食べすぎたときに起こす胸焼けのような状態にもならず、このチーズの状態の良さを感じてしまいました。
合うワインロワール河流域のシェーブルにはお約束のロワールの白ワイン。プイィ・フュメ、サンセールはとても良く合うでしょう。
そして今回のように熟成しているものにはシノン(ロワールの赤ワイン)なんかとも合いそうです。ブルゴーニュのパストゥ・グランにも合いました。
合うパンバゲット、全粒紛のパン。


回りはトロトロ、中はしっかり、二度美味しい。




yuko@yuko-cheese.net : Send Mail

矢印 「ゆうこ・チーズ・NET」トップページへ