産地 | イタリア、ロンバルディア州 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 30% |
形状 | 1辺18〜22B、高さ4〜8B、重さ1.5〜3.5Kg |
タイプ | ソフトタイプ |
季節 | 一年中 |
プロフィール | 北イタリアのロンバルディア州はスイスと国境を接するアルプス山脈と広大なパダーノ平野を擁する土地である。このアルプス山脈山麓の村々では昔から「ストラッキーノ」と呼ばれるソフトタイプのチーズが作られている。(ゴルゴンゾーラ、タレッジョ を参照) 昔はクアルティローロ・ロンバルドは秋に作られていたチーズであった。それは「クアルティ=クアットロ(イタリア語の「4」の意味)」とこの山岳地方で4回目の牧草の刈り入れの頃(つまりは秋が徐々に深くなる9月以降)に搾った牛のミルクから作られていたため、この名前が付いたとされている。 チーズの形や大きさは同郷の有名なタレッジョというチーズにとてもよく似ているが、タレッジョは塩水で表面を洗うウオッシュタイプ(イタリアでは特にこう呼ばないが)に対し、クアルティローロ・ロンバルドは表面はなにも施さない、という違いがある。 製造中の過程でゆっくりと発酵させることによりチーズには独特の酸味がある。製造後1ヶ月以内で食べる‘フレスコ(フレッシュ)’タイプと数ヶ月熟成させた‘スタジオナート(熟成)’タイプがある。 熟成タイプは表皮が薄いオレンジ色に変化し多少ウオッシュタイプのような漬け物臭がするが、中身はややぽそっとした感じで色も白っぽく中心部にいくほど酸味が強く残っている。乳脂肪分は低めなので後味がサッパリとしている。 |
食べた感想 | 3年前頃、北イタリアの代表的なDOPチーズであるタレッジョと産地も見た目もほとんど一緒!という紹介で、はじめてクアルティローロ・ロンバルドを食べたました。その時の印象は「何でこんなに酸っぱいんだろう?」とクリーミーなタレッジョと比べてしまったとたためと、見た目のイメージとあまりにも違ったのでちょっと引いてしまいました。 それからも何度か食べることがありましたが、やはり「酸味」が一番特徴的で脂肪分も低いことからあまりコッテリしていないため、サッパリ系の夏向きのチーズかな、と勝手にカテゴライズしていました。 ところがこの度ゆうこチーズクラブ(私のWEB上の通販)で10月のチーズとしてこのクアルティローロ・ロンバルドを紹介し、先日私の元にも届いた際に同じ北イタリアのワインと共にじっくりと味わってみました。この通販の今月のチーズはその他に羊乳製のチーズや山岳地帯で作られる旨みの強いチーズなどが一緒にセットになっていたため、私の予測ではクアルティローロが一番クセもコクもないチーズだろうと思っていました。 ところが、意外や意外なことにミディアムボティの赤ワインと合わせると一番チーズの原料ともいえるミルクのコクや旨みを口の中で感じることができる、腰の太いチーズということが判明しました。口に入れた途端に感じる酸味の陰に隠れて味わいの深さをワインが上手に引き出してくれました。これぞ「マリアージュ」といえるんでしょうね。 さてこの酸味はいったい何かというと、チーズを作る際にしっかりと乳酸発酵をさせ酸度を強くする作業が行程に含まれているため、チーズに乳酸菌が作り出す乳酸がたくさん存在することによるものです。ヨーグルトも賞味期限が近いものとか食べようと思ってデザートボウルによそったけれど、食べずにラップをして冷蔵庫にて数日保存したものは酸味が強くなりますよね。その酸味と同じです。 この「乳酸」の酸っぱさが私は日本酒にも合うと思います。もちろんものによると思いますが、日本酒にはほのかに乳酸発酵の風味が感じられるものがありますし、クアルティローロ・ロンバルドは乳脂肪分が低いのでサッパリとした口当たりでキレがいいところが、日本酒のするりとした辛口の飲み口にピタリとはまります。もちろん酸味ばかりではなく、酸味の裏に隠れているミルクのコクが日本酒と合わせることによってもふわりと広がるのです。 とても素朴で生産量も少ないチーズですが、価格はかなりリーズナブル。ゴルゴンゾーラやタレッジョより若干安いのがうれしいです。日本酒、ワインなどアルコール類と合わせるとより魅力がアップするこのチーズ、もっと活用せねば!と思い直しました。 |
合うワイン | 赤ワインでもミディアムボティくらいのもののほうが良く合います。私はトレンティーノ・アルト・アディジェ州のテロルデゴ・ロタリアーノ(DOC)と一緒に食べたときにマリアージュを感じました。似たようなタイプの赤ワインでしたらリーズナブルなACブルゴーニュとかボージョレ・ヴィラージュ、あるいはコート・デュ・ローヌあたりでしょうか。 日本酒(ぜひ冷やで)もおすすめです。白ワインなら味わいにボリュームのあるシャルドネなどを。 |
合うパン | パン・オ・セーグル(ライ麦入りパン)やパン・ド・カンパーニュ。 |
スタジオナート(左)とビアンコ(右)