キュレ・ナンテ
Cure Nantais
産地フランス、ブルターニュ地方
原料牛乳
乳脂肪分40〜45%
形状一辺8〜9B、高さ2.5〜3B、重さ200g
タイプウオッシュタイプ
季節1年中
プロフィールロワール河の下流の都市ナントでつくられ始めたチーズ。その歴史は非常に古くて1794年(フランス革命のころ)にナントの街に逃げてきた(あるいは移り住んだ?)司祭がつくったのが始まりだそうだ。チーズ名である「キュレ」とは司祭という意味で「ナンテ」はもちろんナントのこと。ウオッシュタイプによくあるこれも、元をただせば修道院チーズ。
チーズのまわりは薄オレンジ色から黄色でねばねばとしている。匂いも納豆のような匂いがする。チーズの身はふっくらムッチリとしていて匂いもナッツ系の匂いがする。味も穏やかでミルクの甘みがほんのりと楽しめる。
このチーズの誕生した当時は円形のチーズだったそうだが、今は正四角形である。
食べた感想フランスには500種類以上のチーズが存在する、とも言われるくらいフランス各地のどこにでもご当地チーズというものがあります。日本でまだ紹介されていないチーズももちろんあるでしょうし、絶滅の危機にさらされているよなチーズもあると考えられます。
さて今回のキュレ・ナンテはフランスでもチーズの不毛地帯(というか有名なチーズがほとんど存在していない)のブルターニュ地方のチーズです。ブルターニュ地方といえばゲラントの塩、そば粉のクレープ・・・なんかを連想します。フランスの地図を思い浮かべてもらったら左上の突きだした半島とその付け根周辺がブルターニュ地方。
このチーズの故郷はブルターニュ地方というよりフランスで一番長いロワール河の河口に近いアンジュー地方にほど近いナントという町です。ブルターニュ地方でも南西にある地域。ということは、一応このチーズもロワール河流域のチーズということに。ロワール河流域のチーズといえばクロタン・ド・シャヴィニョルとかサントモール・ド・トゥーレーヌとかヴァランセとかシェーブルタイプのチーズが超有名ですが、牛乳製のチーズも存在しているんですね。
キュレナンテはウオッシュタイプですがとても素朴で優しい味わいです。外皮はベタベタしていて納豆のような匂いがします。しかしこの程度の匂いなら臭いうちには入らないでしょう。チーズの身のほうの匂いはまさにピーナッツ。女性が好みそうなムッチリとした食感。味も際立った要素が全くなく穏やかで主張のない味。そんな味だからこそミルクの甘みがストレートに表れていて、誰が食べてもまずは「美味しいね。食べやすいね。」とニコニコしてしまうでしょう。
ウオッシュタイプのチーズに初めてトライする人には、ちょうど良い入り口になるチーズかもしれません。
また逆に、今日は思いっきり癖のあるチーズを食べるぞ!と意気込んでこのウオッシュチーズを選んでしまったらちょっと期待はずれかもしれません。味わいはまとまっているのですが全体に小作りすぎてインパクトに欠けるからです。ちょっと疲れ気味で味のインパクトを求めないとき、朝食、あるいは昼食のサンドイッチの中にはさむ具材などとして利用すると良いでしょう。
合うワイン産地が近いので白でさっぱりとした飲み口のミュスカデなどを合わすこともありますが、私はそれよりはロワールの赤ワイン、シノンとかブルグイユ、ヴーヴレなどを薦めます。それかミディアムボディの優しい赤ワインと。また純米酒(あまり辛口に仕立て上がっていない日本酒)にも意外と合いそうです。
合うパンパン・ド・カンパーニュ、バゲットなど。




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