産地 | フランス、ルエルグ地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 45%以上 |
形状 | 直径40cm、高さ30〜40cm、重さ30〜50kgの円筒形 |
タイプ | セミハードタイプ |
季節 | 1年中 |
プロフィール | フランスの中央高地南部にあるオーブラック高原(ルエルグ地方の北部)で生産される山のチーズ。形や作り方もそっくりな「カンタル」チーズはフランスでは最も古いチーズ(その歴史約2000年)とされているが、このライオルは11世紀にこの地方に建てられた修道院で作られ、のちにこの地方の山間部で牛を放牧しチーズを作る人達に作り方を広めたということ。 「ライオル」とはこの地方にある村の名前。折りたたみ式ナイフの「ライオールナイフ」の名前と同じ由来。 19世紀末から20世紀末にかけては生産量が700tもあったライオルだが、だんだんチーズ作りに携わる人が減り1960年代には30tほどにまで落ち込んだ。が、伝統あるチーズを守るために「山の青年協同組合」というものを作り、消滅しかけていた「ライオル」チーズの生産を671t(1994年)まで盛り返した。それでもフランスチーズの第三位の生産高を誇っている「カンタル」チーズの生産量の5%にも満たない、大変希少なものである。 夏場は標高1000mのこの高原に自生するハーブや色とりどりの草花を牛が食べているので大変良質な牛乳を得ることができ、その牛乳で作るチーズは実に風味が豊なものとなる。 外皮はゴツゴツ、ゴワゴワとした白と明るい茶色が混ざったような褐色で、中身は濃いタマゴ色で締まっているが滑らかではなくボロボロと小さな組織が圧されてくっついているのがわかる。これはイギリスのチェダーチーズと似た工程で作られるので(チェダリング)その特徴がでている。 AOCの規定で4カ月以上熟成をさせているのでセミハードタイプではあるがわりと個性的な風味がある。 |
食べた感想 | AOCチーズの中でも「ライオル」と「サレール」というチーズはフランスでも非常に生産量が少なく普通に流通をしないチーズだそうです。そういうチーズですから日本に入ってくることはなかなか無く、いつかは食べてみたいチーズのNO.1クラスのチーズでした。 ところが、去年くらいに我が家にソニーファミリークラブの「ソムリエ浅田勝美の選んだワインとチーズの頒布会(12カ月)」なるDMが届きました。その頒布会の3カ月目くらいにあの「ライオル」が頒布されるということを知り、余程この頒布会を申し込もうかとも思ったのですが、月々の値段(ワインやチーズの内容に対しての)が高いこと、その他の月のチーズやワインに全く興味がないことなどを考えて、申し込むのを見送りました。 「あぁいつになったら出会えるのかしら…」「フランスのそれも現地に行かないと食べられないのかしら…」と後ろ髪を惹かれつつもきっぱりと諦めていたのですが、7月にいつもチーズを買っている神戸のチーズ屋さんが売っているのを知り、早速カメラを持って買いに行きました。(お忙しい店先で撮影させてくださってありがとうございました) うちへ帰って早速食べてみました。セミハードのチーズってわりと優しい味で匂いも穏やかなものが多くて、「チーズ通」っていう人達からは物足りないとか思われがちですが(もちろん穏やかな味の中にキラリと光る旨みはあるのですが…)このライオルはにおいはまるで古漬け、味も塩辛く、少しの酸味、そしてミルクの旨みが複雑に合わさっていてチーズの漬物(ウオッシュタイプとはまた一味違う素朴な感じの)だなぁという感想を持ちました。セミハードタイプってミルクの柔らかさが素直に前面に出ているものが多いように思うのですが、このチーズはとてもヒネていてなかなか味な奴でした。 |
合うワイン | 白ワインよりは是非赤ワインに合わせてみたいチーズです。 あまりタンニンがギシギシの渋めのフルボディーの赤ワインには合わないでしょう。ミディアムボディーで柔らかい印象があるワインがよさそうです。(ボルドーでもメルローの比率が多いワインやボージョレやブルゴーニュの軽やかなもの) |
合うパン | パン・ド・カンパーニュ。ライ麦や全粒分で作った重いパン。 |
カットしたライオルと私の大切なライオルナイフ。