さくら
Sakura
産地日本、十勝地方
原料牛乳
乳脂肪分?%
形状直径7〜8B、高さ約2.5B、重さ約90g
タイプ白カビタイプ
季節一年中
プロフィール酪農王国とよばれる北海道の十勝地方は広大な土地に牧場がいくつも広がる地域。国道の両サイドにはいたるところに牛舎やサイロ、牧草地が広がり、酪農の農家の看板がいくつも目に付く。
北海道では「十勝ブランド」として十勝地方で生産される農作物を大々的にプロモートし、その品質や価値を道あげて高めていこうとする活動が起こっている。乳製品であるチーズもそんな商品のひとつで、大手のチーズメーカーから小規模のチーズ工房まで日々その品質を磨き、また研究を重ねている。
十勝地方の新得町にある「共働学舎新得農場」のチーズ工房は早くからフランスをはじめとするヨーロッパスタイルのチーズ製造の技術を本場から学び、かなりこだわったチーズを作りだしている。フランスのカマンベール・ド・ノルマンディと同じサイズの白カビタイプのチーズ、モッツァレラ、オーブンで溶かして食べるラクレットなどその品質の高さは5〜6年前から知られていて、今では全国にファンが多い。
その共働学舎の新製品が「さくら」である。サイズはサンマルセランほどの手のひらに乗る小さな円盤形。真っ白いきめの細かいチーズの身は酸味があり爽やか。チーズの上には塩漬けの桜の花がちょこんと乗っかっていて、見た目はとても可愛らしい。
チーズは熟成中のある期間、桜の葉の上でさせるため、桜餅のような独特の香りがほのかについている。そして日本酒の酒粕のようなふわっとしたアルコール臭が漂い、どことなく「日本風」な味わいがする。
食べた感想最近の国産チーズはとても前向きです!日本で小規模な工房でのナチュラルチーズの生産が活発に始まりだしたのはここ10年くらいのことだそうです。牛乳の生産がどんどん増え、また海外からの粉乳の輸入自由化が等がありただ飲むための牛乳を生産しているのでは牛乳が余ってしまうということで、アイスクリームやヨーグルト、チーズなどの乳製品を作ることを国も奨励したそうです。特に酪農の盛んな地域では村おこしの製品としてもチーズがピッタリということもあり、北海道の空港(千歳とか帯広、中標津など)では地元の工房のナチュラルチーズがたくさんの土産品として売られています。
お土産&村おこし系のチーズって白カビタイプ(○○カマンベールとかって名の付いた)かゴーダのようなハード系のものがほとんどだったのですが、最近はフランスやイタリアの本場の味や外見に近いような様々な本格的なチーズを造る工房が増えてきています。ウオッシュタイプ、ハードタイプでもトムのようなもの、ムチっとした食感のセミハード、そしてフレッシュなモッツァレラなどなど。
数年前から「オールジャパンナチュラルチーズコンテスト」という品評会なども開催されるようになり、チーズ製造の技術もうなぎ登りのようです。
ただ、私のように海外からの輸入チーズになれてしまった人間にとって、国産のナチュラルチーズはどうしても「○○国の△△というチーズを目指しているか真似をしているのね」などと、どうしても外国製のものと比べてしまうのです。カマンベールにしても「本場のカマンベール・ド・ノルマンディはもっと味わいが豊かでクセも強く美味しい」といった具合に基準を本場のものにしてしまうのです。
でもこれは仕方がないこと。「カマンベール」とか「ゴーダ」とかいう名前が付いている以上は、オリジナルのものと同じ土俵で比較してしまうのは当然だと思います。そうなると気候や風土、牛の種類なども違ったら同じような味が生まれてくるわけがないので、本場のものには及ぶはずはありません。
そういうことに気づきだした生産者達はその土地でなければできない、あるいはその工房でしか生産できないオリジナルの国産ナチュラルチーズを製造するために試行錯誤をしています。特に酪農の盛んな北海道ではいろんな工房がしのぎを削っているようです。
そんな中、昨年の秋にヨーロッパで開催された(去年はフランスのジュラ地方)「山のチーズのオリンピック」に十勝の共働学舎新得農場が出品し、見事白カビ熟成モールドタイプ部門で「銀メダル」を獲得しました。メダルを取ったチーズこそがこの「さくら」というチーズ。
手のひらに乗ってしまうくらいの小さな円盤形のチーズは極めて毛足の短い白カビに覆われています。このチーズの考案者に聞いたところ一般的な白カビタイプのチーズに付く「ペニシリウム」ではなくて「カンディダム」というものだそうで、旨みを強く感じるタイプの酵母だそうです。チーズの上に乗っているさくらの花の塩漬けがユニークです。見た目は「和」が強調されているチーズなのですが、食べてみてまたビックリしました。
というのも、国産のソフトタイプのチーズの共通点として「クリーミー、マイルド、食べやすい」ということがあるのですが、このチーズは食べやすさ、マイルドさはあるにしても決してクリーミーであることがウリではないようです。チーズを口に入れると真っ先に感じることは乳酸菌がまだ存在しているようなほのかな酸味です。そしてその後からふわっと酒粕のような麹のような日本酒のようなイメージの香りが口中に広がります。見た目が「和」なだけではなく、味わいのほうも「和」です。そして桜の葉の上で熟成をさせたためか、ほんのりと桜餅のような香りもしてきます。塩加減も弱すぎず、しっかりとチーズの骨組みを支えています。まさに日本酒と合わせてみたくなるようなチーズです。これぞ日本で生まれたオリジナルナチュラルチーズだ!と初めて食べてひらめきました。
しばらく冷蔵庫に入れていると熟成が進み、まわりから柔らかくトロっとしてきました。そうなるとただ爽やかなだけのチーズではなく、力強いチーズ本来の醍醐味も感じられます。国産のチーズもここまで本格的でオリジナリティに溢れるものが誕生したのか!と嬉しい限りです。私にとってこれだったら海外のどのチーズとも比べることができない、と思える第1号のチーズとなりました。
合うワイン赤ワインならフルーティーな優しい味わいのものがいいと思います。コート・デュ・ローヌACやボージョレなどを。池田ワインなら産地も近いし面白いかもしれません。白ワインなら辛口で柑橘系のフレッシュさが全面にでたようなワインを。ミュスカデなど。
合うパンパン・ド・カンパーニュ、バゲット。




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