産地 | フランス、オーヴェルニュ地方 |
原料 | 牛乳 |
乳脂肪分 | 45% |
形状 | 通常サイズは直径21B、高さ5B、重さ約1.7Lの円盤型。 小形サイズは直径13B、高さ3.5B、重さ約600g。 |
タイプ | セミハードタイプ |
季節 | 1年中 |
プロフィール | ローマ時代の頃からチーズ作りが盛んだったといわれているオーヴェルニュ地方。カンタル、ブルー・ド・ヴェルニュ、フルム・ダンベールなど有名チーズが数多くある山岳地帯でサン・ネクテールも作られている。 その歴史は1000年くらいは軽くさかのぼれるということだが、17世紀にこの土地のサンネクテール元帥がパリのルイ14世にこのチーズを献上していたということで脚光をあびた。名前の由来はこのサンネクテール元帥という説やオーヴェルニュ地方の「サン・ネクテール村」からきたという説があるが、どちらか定かではないようだ。(スペルは村の名前と一緒。) 型に詰めるときにプレスするので水分量が減るためセミハードタイプに分類されるが、2〜3回ほど塩水で洗う行程があるので、厳密にいえばウオッシュタイプともいえる。 8週間の熟成期間中、カーヴに自然に飛散しているカビが外皮につくので白やグレー、黄色や赤など複雑な色合いになるが、日本などへの輸入向けにはそれらのカビを取り除きオレンジ色に着色(?)され見た目にはグロテスクではない。チーズの中身は濃いアイボリーでとろりと柔らかくはないが、ナイフで切るとムチっとした感触で決して固くはない。 |
食べた感想 | サン・ネクテールはAOCチーズの中でもあまりぱっとしない存在なような気がします。ブリー・ド・モーとかカマンベール・ド・ノルマンディのような花形選手でもないし、ロックフォールやルブロションのような実力派の選手でもないからでしょうか。(これはわたくしの個人的な見解) このチーズの産地のオーヴェルニュ地方はバラエティーに富んだチーズがたくさんありますが、どのチーズもどうも洗練度に欠けるかというか、何となく田舎っぽいというか素朴な感じが漂うものばかりです。しかしそれがまたこれらのチーズの持ち味でもあり、どこかしら親しみやすくそれでいて知る人ぞ知るの隠れた名品なのでしょう。 私はこのオーヴェルニュの地を訪れたことがないのですが、友人が訪ねてサン・ネクテールを現地で食べたところ、「こんなに美味しいチーズなの?」と今までの印象を覆すほどの味わいだったそうです。日本で手に入るサン・ネクテールは外皮の色とりどりのカビを取り除いてオレンジ色に薄化粧をさせて小綺麗になった物なので、ひょっとしたら味にも多少は影響があるのかもしれません。 私はこのチーズの外皮の触感が好きです。外皮を囓るとジャリッという感覚があり、チーズの身はむちっとしてミルクの素朴な甘みが感じられます。チーズ自体はウオッシュタイプのような強烈な匂いは発していませんが、嗅いでみるとミルキーな優しい香りが漂います。 味はインパクトがまるでなくて、プロセスチーズしか食べなれていない人にも抵抗なく食べられるのではないでしょうか。プロセスチーズよりは味わいに奥行きはありますが、いろんなナチュラルチーズを食べなれた人にとっては少し物足りなさを感じるかもしれません。 けれど素朴でミルクの甘みを素直に楽しめることのできるサン・ネクテールを食べると、まだ見たことのないオーヴェルニュの片田舎を彷彿とさせることができました。 |
合うワイン | フルーティーな赤ワイン。まだ若い苺のジャムのような香りのするACブルゴーニュと合わせてみたところ、なかなかよかったです。ボルドータイプのものもあまり上等でないお手軽な値段のものと合わせてみたらいいんじゃないでしょうか。 |
合うパン | 全粒粉のパン。天然酵母のパン・ド・カンパーニュ。 |