マンステール
Munster
産地フランス、アルザス地方、ロレーヌ地方
原料牛乳
乳脂肪分45%以上
形状直径13〜19cm、高さ2.4〜8cmの円盤状、
プチマンステール(小型)は直径7〜12cm、高さ2〜6cm
タイプウオッシュタイプ
季節工場製は1年中、農家製は夏から秋にかけて。
プロフィールフランス東部、ドイツと接しているアルザス地方とそのすぐ西のヴォージュ山脈の西側のロレーヌ地方で生産されいる。
7世紀頃(中世の初期)にアイルランドから来た修道僧たちがマンステールの谷に修道院を建て、放牧をはじめ、そしてチーズ作りも行うようになった。その後アルザス地方はもとより、山脈を隔てた西側のロレーヌ地方に広がり、アルザス側では「マンステール」、ロレーヌ側では「ジェロメ」と呼ばれるようになった。
14世紀にはフランス中にその存在が知られ、この地方の各地で同じようなチーズの生産がさかんにされるようになった。1978年にAOCを取得し、名前は「マンステール」もしくは「マンステール・ジェロメ」と正式に定められた。現在では昔ながらの農家での生産、そして工場での生産がされていて一年中生産されるようになったが、本来の食べ頃の旬は11月から5月頃とされている。
まわりを塩水で洗うウオッシュタイプのチーズで、表面は黄色っぽいオレンジ色でベタベタとしている。そして匂いも強く、匂いに慣れないと鼻が曲がりそうだが、チーズの舌触りはなめらかで口当たりもまろやかで、際立った塩辛さや刺激などはまるでない穏やかな味わい。
食べた感想 秋から冬にかけてはウオッシュタイプのチーズが特に美味しく感じられる時期です。
ウオッシュタイプと言えばくさやのような強烈な匂いがして、その匂いゆえに口に入れる前に「ノー・サンキュー」になってしまうという人も多いです。しかし強烈な匂いの割には味はマイルドで意外に食べやすいのね、という声は良く聞くことです。
このマンステールは最も匂いと味とのギャップが大きいチーズのひとつかもしれません。言い換えれば味はとても優しく柔らかでとても食べやすいのです。よって相性のいいワインもあまり重くなく渋くないものがいいと思います。
チーズをカットしてそのまま食べるのももちろんいいのですが、このマンステールはポテトとの相性も抜群にいいのです。『チーズ×じゃがいも』という組み合わせは山間部の冬の風物詩とでも言いましょうか、フランス、スイス、イタリアなどのアルプスの山あいの村や町では郷土料理としてどこにでも存在しています。ドイツとの国境にあるアルザス地方でも例外ではないようで、熱々のポテトとその熱で溶けたマンステールは抜群のハーモニーを醸し出します。ウオッシュタイプのチーズをまるまるひとつ買ってしまうと食べきるのがなかなか大変です。そんな残ったチーズをチーズ料理としてワインに合う一品に形を変えてしまえば、また違ったチーズの魅力を楽しめます。
アルザス地方ではマンステールとクミンシードと一緒に食べるそうですが(消化作用を促進するためとか)、日本人の私が遠い日本で考えるとどうもこの組み合わせはミスマッチのように思えてなりません。一度現地に赴いて、地元の空気とワインと共に味の検証をしてみる必要性がありそうです。
合うワインマリアージュの基本、地元のワインとチーズの法則で行くとアルザスの白ワイン、リースリングやゲヴェルツトラミネール、ピノ・グリなど。赤ワインだったら少しタンニン(渋味)が感じられるようなミディアム・ボディーのワインと。例えばACブルゴーニュとか。(個人的意見として白ワインより産地は違っても赤ワインとの相性の方が良いように思います)
合うパンバゲット、パン・ド・カンパーニュ。クミン入のライ麦パン。




yuko@yuko-cheese.net : Send Mail

矢印 「ゆうこ・チーズ・NET」トップページへ