今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ボーフォール |
チーズのプリンスです。
「王子」と呼ばれるチーズはいったいどんなチーズでしょう。ニックネームから想像するとまるでこじんまりとした可愛らしいチーズのような雰囲気もありますが、このチーズはひとつが45キロ以上もある大きなチーズです。 故郷はフランスのサヴォワ地方。アルプス山脈の山深い地域で冬になると雪で閉ざされてしまうために、冬の保存食として大型のハードタイプのチーズが昔からたくさん作られていました。現在では冬はスキーリゾートもたくさんあり、また夏はアルプスの素晴らしい景色と空気を楽しむ観光客で賑わう、観光産業も盛んな地方でもあります。 雪が溶けて春になったら、牛たちを麓の村から山の上へと生えている草を食べながらだんだん登っていきます。春の若草、そして夏の高山植物は牛たちにとって栄養もあり、また香りの高い美味しいミルクを産み出します。そんなミルクから作られるのです。 特にフランスのAOC(原産地呼称統制)という法律で「殺菌をしない全乳」を使用することが義務づけられているので、この手のハードタイプのチーズの中では最もリッチな味わいに仕上がっています。 リッチなのは味だけではありません。香りも素晴らしいです。本格的なチーズの匂いといったら普通は古漬けのような、あるいはアンモニアの匂いが少し混ざったような「腐」のイメージが強いかと思いますが、このボーフォールの香りとは、果物のようなナッツのような「華」やかなメジャーなイメージなのです。 ワインと同じで冷蔵庫から出してきたばかりでは素晴らしい香りも味もまだ閉じてしまって感じることができません。30分前には冷蔵庫から出して室温に戻しておきましょう。そしてゆっくりじっくり味わいながら奥の深い味を噛みしめてみてください。 ★もっと詳しいご説明は「ゆうこのピックアップ」の「ボーフォール」の項をご覧ください。 |
トゥルー・デ・クリュ |
ふつうウオッシュタイプのチーズって200g位の大きなものばかりですが、このチーズはちょっと試したい人にもぴったりのプチサイズです。 しかも、このチーズはあの「エポワス」(注:チーズの王様とも称せられるブルゴーニュ地方の超有名ウオッシュタイプのチーズ)を製造するチーズメーカーが作っているのです。サイズや熟成の工程が多少違っているので「エポワス」と言う名前は名乗れないのです。 チーズを熟成させるときに塩水などで洗い、まわりにリネンス菌という細菌を繁殖させることにより、薄オレンジ色でベタベタとした湿っぽさがチーズの表面を覆います。このベタベタはあの納豆菌と通じるものがあります。納豆菌と同様に、リネンス菌がチーズのタンパク質を美味しい成分に変化させているのです。 匂いもかなり個性的で、お漬物のようなひねた香りが特徴です。はっきり言って「臭い」匂い。でも匂いのわりには味は優しいので、匂いで「うっ」っと来たら鼻をつまんで食べてみてください。芳醇なミルクのコクが口中に広がるでしょう。 そのうち、この匂いがクセになってきて匂いをかがないとチーズが食べた気にならいほど虜になることでしょう。 赤ワインならあまり軽くてフルーティーなものはワインの良さを殺してしまいます。どうぞタンニン(渋み)が十分にあるボティーのしっかりとしたワインと一緒に召し上がってください。 |
ロックフォール |
世界3大ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ・スティルトン・ロックフォール)のひとつです。 ブルーチーズの青カビは固まる前のミルクの中に故意に青カビを入れ、チーズの熟成と共に内側からどんどん増えていきます(自然に青カビを発生させるブルーチーズも世の中にはあるようですが)。チーズの中の青カビが脂肪分を分解してあの独特の匂いと舌を刺すようなピリッとした刺激を作り出すといわれています。 ロックフォールといえば2000年も昔から作られていたとされている歴史も古いチーズですが、まずその刺激的な味、非常にインパクトのあるブルーチーズとして右に出るものはありません。 ロックフォールより強い、通の好むブルーチーズというものはそうないはずです。そんなことからも「チーズの王様」と言われるのでしょう。 ブルーチーズは牛乳製のものが多いですがロックフォールは羊乳。もともと羊乳は牛乳より乳脂肪分が少し高いそうです。その乳も非常に高品質なものしかチーズに使わないのだそうで、あのバターのようなまろやかさはその品質の証しなのかもしれません。少々塩っ辛かろうがカビのピリッとした刺激がきつかろうが、カケラを口に入れてゆっくりと舌の上でバターのようにとかして、口中でじんわりととけ出すミルクのコクを楽しんでいたいようなそんなチーズです。 そのまま食べるにはクセがありすぎて、とても食べられない・・・(そういわれる方もたくさんいらっしゃると思いますが)ということでしたら、ハチミツをかけて食べたり、クリームチーズと混ぜてチーズをペースト状にしてフランスパンなどにぬってトースターでこんがり焼いて食べたりと、ちょっとアレンジしてみては如何でしょうか? 料理に使うとするならば、グリーンサラダに小さくしてまぶしてドレッシング代わりにしたり、パスタソースとして利用したりと塩分を活かす方法で使うのと良いようです。 非常に強くて個性的なこのチーズに太刀打ちできるのはフルボディーノ赤ワイン。もしくはハチミツのように甘〜いデザートワインと。今回のように世界三大ブルーチーズには世界三大貴腐ワインで受けてたちましょう。(世界三大貴腐ワインとは「ソーテルヌ」「トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ」そして今回のお奨めワインの「トカイ」です。
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