今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
テティージャ |
見事なまでに「おっぱい」の形をしています。だから名前はテティージャ(=おっぱい)。 表面はちょっと濃いめのクリーム色(黄色に近い)なのですが、チーズの中は濃いアイボリー色。ちょっと濃いお乳色という感じでしょうか。 しなっと柔らかい食感で少しやわらかい酸味が感じられます。そしてこのチーズには熟成したようなしっかりとしたチーズの味というよりはまだまだミルクに近いようなほの甘い味わいが強く残っています。 口の中に入れて噛まずにしばらくころがしていたいような・・・そんな、優しい甘みがとても懐かしい気分になります。 スペイン北西部のガリシア地方が産地です。(ポルトガルの上に位置するあたり) ガリシア地方は降雨量が多くあり、豊かな牧草地も広がるスペインでは最も牛の飼育に向いた地域。きっと美味しい牧草をたくさん食べた牛が美味しいミルクをたくさん出して、テティージャになるのでしょう。とても素直で優しい味わいです。 そのままでも大変美味しいですが、少し熱を加えると溶けてとてもよくのびるのでピザトーストなど朝食やスナック用にも使えます。 ワインは軽くてフルーティーな白ワインが一番合うのではないでしょうか。そして産地はちょっと違うけれどキリッと冷やしたシェリーのフィノ(辛口)ともいけそうです。 |
ボーフォール |
チーズのプリンスです。
「王子」と呼ばれるチーズはいったいどんなチーズでしょう。ニックネームから想像するとまるでこじんまりとした可愛らしいチーズのような雰囲気もありますが、このチーズはひとつが45キロ以上もある大きなチーズです。 故郷はフランスのサヴォワ地方。アルプス山脈の山深い地域で冬になると雪で閉ざされてしまうために、冬の保存食として大型のハードタイプのチーズが昔からたくさん作られていました。現在では冬はスキーリゾートもたくさんあり、また夏はアルプスの素晴らしい景色と空気を楽しむ観光客で賑わう、観光産業も盛んな地方でもあります。 雪が溶けて春になったら、牛たちを麓の村から山の上へと生えている草を食べながらだんだん登っていきます。春の若草、そして夏の高山植物は牛たちにとって栄養もあり、また香りの高い美味しいミルクを産み出します。そんなミルクから作られるのです。 特にフランスのAOC(原産地呼称統制)という法律で「殺菌をしない全乳」を使用することが義務づけられているので、この手のハードタイプのチーズの中では最もリッチな味わいに仕上がっています。 リッチなのは味だけではありません。香りも素晴らしいです。本格的なチーズの匂いといったら普通は古漬けのような、あるいはアンモニアの匂いが少し混ざったような「腐」のイメージが強いかと思いますが、このボーフォールの香りとは、果物のようなナッツのような「華」やかなメジャーなイメージなのです。 ワインと同じで冷蔵庫から出してきたばかりでは素晴らしい香りも味もまだ閉じてしまって感じることができません。30分前には冷蔵庫から出して室温に戻しておきましょう。そしてゆっくりじっくり味わいながら奥の深い味を噛みしめてみてください。 ★もっと詳しいご説明は「ゆうこのピックアップ」の「ボーフォール」の項をご覧ください。 |
ブルー・ド・ラカイユ |
チーズの中に青かびをはやすことによって風味を良いものにしているチーズがブルーチーズといいます。 青かびはもちろん人体に害のないもの。医薬品としても利用されている「ペニシリン」と近しい間柄の青かびをチーズに人為的に入れています。このカビがチーズの中の脂肪分を分解して脂肪酸へと変化させていきます。そのときに副産物的に作られるのが青かびタイプ独特の匂いや風味。その風味がブルーチーズにはまってしまった人にとってはたまらないのです。 ブルーチーズの一大産地がフランスのオーヴェルニュ地方。中央山塊という高地を故郷としているブルーチーズにはいくつか有名な物があります。AOCをもっているブルー・ド・ヴェルニュ、フルム・ダンベールなどがそうですが、ブルー・ド・ラカイユも同じオーヴェルニュ地方の出身。 AOCを持つ持たないの違いはありますが、十分に風格のある美味しいチーズです。 ブルーチーズというのは普通のチーズに比べてやや塩分が高くなっています。その塩辛さがまたお酒が進む要因でもあるのですがね。塩気が気になるという人には回避方法がいくつかあります。 まずパンに無塩バター(エシレなどの発酵バターならなおGOOD)を塗りつけ、ブルーチーズをその上からのばします。そしてパクリと。 またはブルーチーズを室温に置いておき柔らかくしたところに、生クリームを適宜加えます。それをペースト状に練ってくるみを刻んだ物を混ぜ込み、バゲットやカンパーニュなどにのせてオーブントースターで軽く焼き目をつけます。焼くと青かびの刺激も弱まり、生クリームで塩分も薄められているのでとても食べやすくなりますし、これはオードブルには持ってこいです。 また良く言われることですが、甘い物との相性は恐ろしく良いのです。例えばハチミツ。ブルーチーズにちょっとハチミツを垂らして召し上がってみてください。ハチミツのくどいほどの甘さがチーズの塩気を中和し、チーズの良さをより引き立てます。 甘いものといえばハチミツだけではありません。レーズンパンのレーズン、そして甘口のワインなんかとの相性は素晴らしいです。 私の知っているチーズ料理屋さんではバナナとブルーチーズを使ったアイスクリームという物がメニューにあるほど。 ちょっとブルーチーズを敬遠していた、という人はこれらのことを試してみては如何ですか?(もちろん、ブルーチーズ好きのあなたも)
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