ルブロッションがいっぱい
フランスのサヴォワ地方はスイス、イタリアの国境近くのアルプス山脈のあたりの地域です。
険しい山の中なので産業といえば昔から酪農によるチーズ作りくらいなもので、今でも冬はスキーなどの観光業、夏は放牧によるチーズ作りが盛んです。
今回、海抜1500mのアルプスの山中の山小屋で夏の間だけルブロション作りをしている農家を訪ねました。
麓の町から車で山道をずんずん上がっていくと、やがてあたりは「アルプスの少女ハイジ」の世界が広がってきます。険しい山の斜面には色とりどりの高山植物がまるでお花畑のように咲き乱れ、茶色の牛の群れがのんびりと草花を食んでいました。この地方の牛は身軽で足腰が強く、険しい山でもどんどん登っていくことができるそうで、夏場は自然の草花を食べさせるため高地に放牧しています。
訪ねた農家は37頭の牛を飼っていて、毎朝夕絞り立ての牛乳でルブロッションを作ります。牛の世話をするのはご主人の仕事、チーズを作るのは奥さんの仕事と分業されていました。
それだけ手間暇かけて出来上がったルブロッション。
最後に現地でしか絶対に食べることのできないルブロッションのフレ(出来たてで熟成していない真っ白いフレッシュタイプ)をごちそうになりました。「トム・ド・ブランシュ」と呼ばれているそうで、茹でたじゃがいもと共に塩・こしょうでシンプルに味を付けていただくそうです。
姿形は真っ白で、味はフレッシュで淡白なのですがミルクの味がまだほんのりとして、いつも食べるルブロッションとは全くの別物でした。 |