今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
カショッタ・ドゥルビーノ |
「ウルビーノ」という非常に美しい(らしい)街の名前が付いているチーズです。「カショッタ」とはこの地方でチーズという意味になります。方言です。 イタリアのヴェネト州の隣、アドリア海に面したマルケ州。ここでこのチーズは作られています。隣の州で作られている有名なパルメジャーノ・レジャーノなどに比べると全然無名で、日本にはたまに輸入をされているようです。 このチーズのおもしろいところは、羊のミルクと牛のミルクを混ぜてチーズを作っているのです。その割合はふつう羊乳が70%以上ということだそうでどちらかと言えば羊のチーズに近いのですが、イタリアのいわゆる「ペコリーノチーズ」といわれるチーズとはまたちょっと違った食感です。 一つが生まれたての赤ちゃんの頭大くらいのサイズで、薄いアイボリー色のむっちりとしたチーズ。羊のミルクが入っているので癖があるのかと思いきや、なんとマイルドでミルキーな食べやすいチーズでなのでしょう!と思うに違いありません。むっちりとした食感も楽しいです。 くせがなく食べやすいのでそのままスライスしてパクパクと食べ進んでしまうでしょう。あっと気づくともうなくなってしまっている・・・ということになるはずです。 しかしうっかりと冷蔵庫のすみのに追いやってしまって気がついたらカビていた・・・と言うようなことになってしまったら、決してあわてて捨ててしまわないように。チーズの表面のカビのところを削り取れば全く問題なく食べることができます。 水分のやや多いセミハードタイプのチーズはとくにカビがつきやすいものです。保管方法はきれいなラップでチーズを包んで、また4〜5日に一度くらいはラップを取り替えましょう。そして保管場所は冷蔵庫の野菜室で。 |
ブルー・デル・レ |
『レ(Re)』とはイタリア語で『王様』のこと。『王様のブルー』という名のチーズです。 青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とその味わいのクセゆえに苦手意識を持たれてしまうチーズでもあります。 「ピリっと舌を刺すような刺激」といわれる独特の味わいがあり(毒を食べて舌がピリピリ、ビリビリと痺れる感覚とは全く違います)、慣れないと薬品とか異物を食べているようなおっかなびっくりの感じで口の中がいっぱいになってしまうかもしれませんが、この味や風味に慣れてくると不思議とだんだん青カビがより多く入っていてもっともっと匂いも刺激も強いものを・・・と求めてしまうから、ブルーチーズというものは不思議なものです。 さてこの「王様のブルー」チーズはどうかというと、王様の名にふさわしく(?)あまり強烈でとんがった刺激味はありません。青カビの量があまり多くないこともあり、どちらかというとブルーチーズ特有の刺激味は穏やかです。 しかしながら、ぶどうの葉で覆われたチーズは適度の皮の香りがチーズに移り、また独特のしっとり感と熟成感をチーズに与えています。ミルクが充分に熟れたような味わいが楽しめる、大人風味のブルーチーズになっています。 深い味わいのこのチーズとフルボディーの赤ワインとの組み合わせ、あるいは甘口のデザートワインとの組み合わせをゆっくりと堪能して欲しい、そんな力強いチーズです。 |
ヴュー・シメイ |
「シメイ」といえば、ビール。ベルギーのフランスにかなり近い地方のシメイという街の修道院で作られ始めたというシメイビールはベルギーを代表する世界的なビールです。 そのビールと同じ名前のチーズがあるんですね。もちろん産地も同じ所、経営はトラピスト修道院です。ベルギーのチーズというのは日本ではまだまだ珍しいのですが、フランスとオランダに挟まれていることもありチーズは非常に馴染みやすい物ばかりです。シメイはフランスでも北フランスのチーズに性格も形も似ています。 シメイチーズはいろいろなバージョンがあり、ソフトタイプ、ハードタイプ、表面をビールで洗ったもの・・・とまだ商品開発を試行錯誤しているそうです。 今回ご紹介するものは、赤ん坊の頭のサイズのハードタイプにしあげてある「ヴュー・シメイ」。「ヴュー」とはフランス語で「古い」の意味。熟成に時間をかけて古くなったチーズというような意味合いでしょうか。 この赤ん坊の頭のような形のチーズはオランダのエダムやフランスのミモレットと同じ形です。北フランスからオランダにかけてのフランドル地方、ネーデルランド地方などにはお馴染みの形なのかもしれません。 味わいも熟成による旨みが穏やかに感じられるので、とても馴染みやすいです。決して強い風味はありませんが誰でも安心して食べられる、そんな懐の深いチーズになっています。 日本のビールよりアルコール度数が高く、複雑な味わいとコクが楽しめるベルギービールと合わせるのはもちろん、軽めの赤ワインとの相性もばっちりです。
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