今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ブリナータ |
この地方では昔から「ペコリーノ・トスカーナ」という羊のハードタイプのチーズを産出しています(ペコリーノとは「羊のチーズ」の意味)。そう、この地方では牛よりも羊の飼育がさかんで羊のチーズを作っているのです。 伝統的なペコリーノ・トスカーノとは相反して、最近(約3年前)に開発されたのが「ブリナータ」。回りを白カビで覆った優しい味わいのチーズが誕生しました。 名前の由来は「ブリー」と「アンナータ(年月)」の掛け合わせだそうです。トスカーナ地方ならではの羊乳でブリーのようなチーズを作りたい!という生産者の願いが込められているそうです。 羊の乳は牛や山羊の乳に比べると乳脂肪分が多くまったりとした味わいが特徴です。そのまったり加減がチーズになると独特の甘みになります。ブリナータは優しい乳の香りと口中に広がる乳の甘さが何とも上品で味わい深いです。 まわりを白カビで覆っていますが、カマンベールとかブリーのように流れ出すようなことはなく、ムッチリとした食感が楽しめます。そして何しろまったりとした羊乳の味わいは誰が食べても「美味しい」と感じることができます。 ワインはあまり強い味わいのものよりは、赤ワインだったらフルーティーなものを、白ワインだったら程良くコクがありフルーティーなものが良いかと思います。ワインだけではなく、ミルクティーやカフェオレにも相性が良さそうな、優しいチーズです。 |
ラスケーラ |
スペインのチーズはまだまだ知られているものは少ないです。もっとも有名なものは「マンチェゴ」という羊乳のチーズなのですが、このチーズも羊乳で作られるハードタイプのチーズです。 羊乳は牛乳に比べると乳脂肪分、乳糖、タンパク質などすべての栄養成分が多く含まれています。そのためチーズに加工すると芳醇でリッチな味わいのものができるのです。 イディアサバルはバスク地方(スペインとフランスの国境付近)で伝統的に作られてきたチーズです。ピレネー山脈をはさんだフランス側では「オッソー・イラティー」というAOCのチーズがありますが、このピレネー山脈を含むバスク地方では昔から良質の羊のミルクを利用したチーズ造りが盛んだったようです。 羊乳と聞くと「クセがあるんじゃないの?」と敬遠される方もいらっしゃるようですが、全く獣臭ささは感じられず、牛乳製のハードタイプのチーズと食べた感じはあまり違わないです。むしろ牛乳製のものに比べると甘みや旨みが強くふくよかな味わいだという印象を持つことができるでしょう。 特に今回のイディアサバルは燻製をかけてあるので香ばしい燻香が食べ慣れた「スモークチーズ」を連想させ、より好感を持って食べることができると思います。また特徴的な味わいとして、羊乳を固めるときに使う凝乳酵素の作用で若干ピリッとした刺激味があるのですが、それも程良いアクセントとなり遠いスペインの異国情緒を感じるスパイスになるでしょう。 スペインの赤ワインはもちろん、こっくりとしたローヌの白ワイン、そしてビールやウイスキーにも併せやすいです。 |
プーリニー・サンピエール |
青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。 しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とかなり嫌われ者になっています。「ナチュラルチーズは好き。 ブルーチーズを除いてはね・・」という声もかなりよく聞こえてきます。やはりミカンやお餅のまわりについた青カビはだれも喜んで食べたりしないから、どうしても避けたくなってしまうのでしょうね。 もちろん、この青カビも無害です。薬にあるペニシリンも青カビから作っているように、カビがすべて悪者ってわけではないのです。 日本食で身近に味の似たタイプの食品がないので、初めて食べるとビックリするかもしれません。 青カビタイプのチーズは「ピリっと舌を刺すような刺激」といわれる独特の味わいがあります。しかしながら毒を食べて舌がピリピリ、ビリビリと痺れる感覚とは全く違います(毒を食べたことはないけれど・・・)。 青カビタイプのチーズはフランス、イタリア、イギリス・・・などヨーロッパ各国に存在していて、土地によってそれぞれ特徴のあるチーズになっています。スペインでは北部の山岳地帯で昔から伝統的に作られていて、自然に出来た洞窟の中で熟成させます。 伝統的なブルーチーズで「カブラレス」というチーズがあるのですが、「バルデオン」はカブラレスを現代的にアレンジして再現したチーズです。ですからチーズの回りは楓の葉っぱで巻かれていますし、自然の洞窟でじっくりと熟成させています。 味わいもかなり荒々しいかんじで、より刺激の強いブルーチーズを好まれる方にはもってこいかもしれません。刺激が強すぎるなぁと感じられる方には蜂蜜をかけて食べたり、フレッシュチーズや生クリームでチーズを薄くのばしてペースト状にしてパンに塗って食べたり、と食べ方を変えると美味しくなります。 どっしりとした赤ワインとの相性が楽しみです。
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