今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ボニファッツ |
ドイツのチーズです。 ドイツといえば車とかに代表されるように工業製品が多く、農業とか酪農はそれほど・・・というイメージがありますが、実はヨーロッパの中でも指折りの酪農大国です。そして沢山チーズが製造されて世界中に輸出もされています。 ドイツのチーズの特徴は工業国だけあって、新しいタイプのチーズを大量に工場で生産するということです。 このボニファッツというチーズも戦後に生まれた「ダブルクリーム」という牛乳にクリームを添加して乳脂肪分を高めて造る製法のチーズにグリーンペッパーの入れて味にアクセントを付けています。普通のチーズよりは乳脂肪分が高くなるので、味わいはクリーミーでバターのようにコクがあります。口に入れると体温でクリームが柔らかく溶け、ふわっと甘みが広がります。そしてペッパーのぴりっとした風味が味を引き締めます。 見た目は真綿のような白いカビに覆われていてとてもソフト。 チーズ特有の発酵したようなクセや熟成感がないのでとても食べやすく、ビールやワインのお供にクラッカーにでものせて気軽に食べることが出来ます。カジュアルな集まりや、ちょっと小腹がすいたときとか、TPOを選ばず気軽に食べられるチーズです。 時間のない朝の出勤前、通学前のお父さんや子供さんにクラッカーと共に囓ってもらっても、晩酌のお供に使ってもらっても、家族に喜ばれる美味しいチーズです。 |
イディアサバル |
スペインのチーズはまだまだ知られているものは少ないです。もっとも有名なものは「マンチェゴ」という羊乳のチーズなのですが、このチーズも羊乳で作られるハードタイプのチーズです。 羊乳は牛乳に比べると乳脂肪分、乳糖、タンパク質などすべての栄養成分が多く含まれています。そのためチーズに加工すると芳醇でリッチな味わいのものができるのです。 イディアサバルはバスク地方(スペインとフランスの国境付近)で伝統的に作られてきたチーズです。ピレネー山脈をはさんだフランス側では「オッソー・イラティー」というAOCのチーズがありますが、このピレネー山脈を含むバスク地方では昔から良質の羊のミルクを利用したチーズ造りが盛んだったようです。 羊乳と聞くと「クセがあるんじゃないの?」と敬遠される方もいらっしゃるようですが、全く獣臭ささは感じられず、牛乳製のハードタイプのチーズと食べた感じはあまり違わないです。むしろ牛乳製のものに比べると甘みや旨みが強くふくよかな味わいだという印象を持つことができるでしょう。 特に今回のイディアサバルは燻製をかけてあるので香ばしい燻香が食べ慣れた「スモークチーズ」を連想させ、より好感を持って食べることができると思います。また特徴的な味わいとして、羊乳を固めるときに使う凝乳酵素の作用で若干ピリッとした刺激味があるのですが、それも程良いアクセントとなり遠いスペインの異国情緒を感じるスパイスになるでしょう。 スペインの赤ワインはもちろん、こっくりとしたローヌの白ワイン、そしてビールやウイスキーにも併せやすいです。 |
バルデオン |
青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。 しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とかなり嫌われ者になっています。「ナチュラルチーズは好き。 ブルーチーズを除いてはね・・」という声もかなりよく聞こえてきます。やはりミカンやお餅のまわりについた青カビはだれも喜んで食べたりしないから、どうしても避けたくなってしまうのでしょうね。 もちろん、この青カビも無害です。薬にあるペニシリンも青カビから作っているように、カビがすべて悪者ってわけではないのです。 日本食で身近に味の似たタイプの食品がないので、初めて食べるとビックリするかもしれません。 青カビタイプのチーズは「ピリっと舌を刺すような刺激」といわれる独特の味わいがあります。しかしながら毒を食べて舌がピリピリ、ビリビリと痺れる感覚とは全く違います(毒を食べたことはないけれど・・・)。 青カビタイプのチーズはフランス、イタリア、イギリス・・・などヨーロッパ各国に存在していて、土地によってそれぞれ特徴のあるチーズになっています。スペインでは北部の山岳地帯で昔から伝統的に作られていて、自然に出来た洞窟の中で熟成させます。 伝統的なブルーチーズで「カブラレス」というチーズがあるのですが、「バルデオン」はカブラレスを現代的にアレンジして再現したチーズです。ですからチーズの回りは楓の葉っぱで巻かれていますし、自然の洞窟でじっくりと熟成させています。 味わいもかなり荒々しいかんじで、より刺激の強いブルーチーズを好まれる方にはもってこいかもしれません。刺激が強すぎるなぁと感じられる方には蜂蜜をかけて食べたり、フレッシュチーズや生クリームでチーズを薄くのばしてペースト状にしてパンに塗って食べたり、と食べ方を変えると美味しくなります。 どっしりとした赤ワインとの相性が楽しみです。
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