今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
山のチーズ |
長野県の奈川(野麦峠の近く)の山奥にある清水牧場。この牧場にはブラウン・スイス種というチーズを造るにはとても良い乳を出す牛が飼育されています。その他、羊や山羊もいるそうです。 さてこの清水牧場はチーズファンやレストランのシェフ達にはよく知られている牧場。こちらで造るチーズ(フレッシュタイプ、ウオッシュタイプ、セミハードタイプ)は本格的で、クオリティーがとても高いと大評判です。 それもそのはず。牧場主の清水さんはよりよい酪農(チーズ造り?)により良い土地を探して、まるでヨーロッパのアルプスのような山の中に牧場を開いたのですから。きれいな空気と大自然の中の牧草地でゆっくりと草をはむ牛たちから取れるミルクは美味しくないはずはありません。そのミルクを使ってこだわって作り上げるチーズもまた格別な美味しさです。 中でも山のチーズ」はスイスやフランスのアルプスの山の中で造っているような、芳醇な味わいがあるセミハードタイプのチーズです。セミハードタイプと言っても、ややムッチリとした風味はラクレットのような感じ。日本でもこんなに奥行きある味わいのチーズがあるんだ!と、初めて食べたときには驚きました。 このままスライスして食べてももちろん美味しいのですが、軽く熱を加えて(オーブントースターなどでパンの上にのせて)柔らかくするとさらに風味が強く出て、印象が強くなることでしょう。ワインは白ワインでもフルーティーな赤ワインでも合いそうです。 |
タレッジョ |
チーズの外皮を洗って熟成させる「ウオッシュタイプ」といわれるチーズです。匂いが強く、強烈な個性を持つタイプといわれていますが、タレッジョはそれほどではありません。むしろ穏やかな風味でミルクの甘みが充分に堪能できる優しいチーズです。 ひとつが5キロもあるチーズを100gにカットしてお届けします。外皮は淡いオレンジ色、中身は薄いアイボリー色でかなり柔らかいです。匂いはそれほど個性的ではないのですが、どことなく田舎っぽいです。(私は麦わらの香りを連想してしまう) 牛乳で作るチーズでチーズ自体の味もそれほどクセがありません。コクがとてもあるわけでもないし、サッパリと爽やかな感じでもないのですが、主張がそんなに激しくない大人しいチーズ。毎日食べても飽きない、でもじわっと美味しい、滋味溢れる素朴系チーズです。 そんな素朴な感じのタレッジョは北イタリアのロンバルディア州というアルプス山脈のふもとの谷間で作られているチーズです。(今は平野部の工場製がほとんどですが) イタリアにも500種類を越えるチーズが存在すると言われていますが、北イタリアで作られているチーズは牛乳製が多いです。(たまに山羊乳製もあります) アルプスの冷涼な気候が牛の飼育には適しているということもありますし、夏の間にはアルプスの山々に自生する美味しい牧草をたべることによって、良いミルクを出しておいしいチーズになるというわけです。 おいしい山のチーズがたくさんある中で、なぜかこのタレッジョはイタリアを代表する有名なチーズになりました。(タレッジョを作っている会社のプロモーションが良かったのでしょうか・・・) 有名なわりには派手さがまったくありませんが、奥の深い美味しさをゆっくりじっくりと味わってみてもらいたいです。 |
ガレ・ド・ラ・ロワール |
ロワール地方は上記の通りシェーブルチーズの一大産地です。が、最近誕生した牛乳のチーズ、それもウオッシュタイプのチーズがあります。
ウオッシュタイプといってもマール(地酒)ではなく塩水で、しかも洗う回数がそれほど多くないので特有のベタベタした表皮も古漬けのような独特の匂いもありません。表面も白っぽくかさかさと乾いた感じになっています。 しかも60%の乳脂肪分(固形分中の)があるために、かなり食べやすいまったりとした味わいになっています。乳脂肪分が60%以上75%未満のチーズを「ダブルクリーム」といい、熟成が若いうちから十分旨みを感じることができるのが特徴です。 ガレット・ド・ラ・ラワールは熟れたようなひねた匂いや味が全くない食べやすいウオッシュタイプです。 白カビタイプのAOCのカマンベールよりもひょっとしたら味わいはマイルドかもしれません。 誰にでもおいしく召し上がっていただくことができ、赤ワインや白ワインにそっと添うような優しいチーズです。
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