今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
サンシモン |
細長い円錐形、でも丸みがあるので何となく大きな涙型に見えるチーズです。 スペインの北西のガリシア地方で作られている牛乳製のチーズで、しっとりと目の詰まっているセミハードタイプのチーズ。薄いアイボリー色のチーズをゆっくりと噛みしめていくとミルクキャンディーのような甘みが感じられます。 味わいもかなりマイルドで馴染みやすいのですが、このチーズは薫製がかかっています。しかも日本人に好まれるあまり強くないスモークで、薄くカットして口に運べば一瞬「イカの薫製」かと思ってしまうくらい。これならばワインでなくてウイスキーやビールのおつまみにも合いそう?です。 スペインのチーズと言えば一般的には粗野で荒々しい感じのものが多いです。そして牛乳のチーズより羊乳のチーズのほうが圧倒的に生産量が多いのですが、サン・シモンはスペインのチーズの中では食べやすくて優しいチーズといえるでしょう。 |
アイリッシュ・ポーター |
マーブル(大理石)模様が美しい珍しいチーズです。
北アイルランド産のこのチーズ、チェダータイプのチーズを造る際にポーターという黒ビールを加えてきれいな模様を出しています。チーズとチーズの隙間に入り込んだビールは色こそくっきりと出ていますが、それほどビール臭さはなくてチーズの香ばしさや芳醇さに少しばかりほろ苦さをプラスしています。 そのほろ苦さがアクセントとなり、あとを引いてしまう美味しさに。 このようなマーブル模様のチーズにはその他に赤ワインを染みこませているものや、セージ(ハーブ)をすりつぶして液体にしたものを染みこませてあるものなどバラエティがありますが、黒ビール版は一番味のインパクトがあり美味しく感じます。 チーズにはワイン、というのが定説ではありますが、ギネスビールなどの黒ビールやウイスキーなど英国風の飲み物に、またほろ苦さを活かしてコーヒーや紅茶などお茶請けにもいいようです。 |
ブルー・ドーヴェルニュ |
ブルーチーズは匂いが臭くて、青カビが薬っぽくて食べられません・・・。というご意見、よく聞きます。 ブルーチーズの青カビは固まる前のミルクの中に故意に青カビを入れ、チーズの熟成と共に内側からどんどん増えていきます(自然に青カビを発生させるブルーチーズも世の中にはあるようですが)。チーズの中の青カビが脂肪分を分解してあの独特の匂いと舌を刺すようなピリッとした刺激を作り出すといわれています。 この独特の刺激の強弱がチーズの種類によって違ってきます。イタリアのゴルゴンゾーラ・ドルチェやドイツのカンボゾーラなどはマイルドですし、フランスのロックフォールやスペインのカブラレスなどはかなり強烈です。 このブルー・ド・ヴェルニュは刺激のレベルはちょうど真ん中あたり(佐藤ゆうこの独自の基準では)。平均的な青カビタイプと言えるのではないかと思っています。ですからブルーチーズらしい刺激も楽しめるし、チーズらしい甘み、いわゆる醍醐味もしっかりと味わえます。 フランスのオーヴェルニュ地方はじつはブルーチーズの宝庫(もちろん違うタイプのチーズもたくさんありますが・・・)。このブルー・ド・ヴェルニュのほかにもフルム・ダンベール、モンブリアック、などクラブでもご紹介したブルーチーズの故郷と同じです。 そのまま食べるにはちょっと刺激が強い・・・と思われましたら、クリームチーズや生クリームで少し伸ばして食べてみたり、ハチミツやレーズンなど甘みの強いものをトッピングして食べてみてください。青カビの刺激がかなり緩和されます。 そしてパンにチーズを塗って、胡桃をトッピングして軽くトーストすると不思議と臭みが和らぎ、香ばしく美味しく食べられます。 フルボディーの赤ワインとの相性もばっちりです。赤ワインの渋みと合わさるとチーズもワインも驚くほど甘みを感じることができます。
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