今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
アベイ・ド・ベロック |
ピレネーの山で生産される羊乳製のチーズ(ブルビ)です。 「アベイ」とは修道院の意味。もともとはこの地域にあるベロック修道院で生産されていたチーズだったとのことで、この名前が付いています。 ピレネー山脈では夏になると羊の高地放牧が行われ、美味しいハードタイプのチーズをたくさん生産します。その中でも「オッソー・イラティ」という名前のついたチーズはAOCに認定されています。「アベイ・ド・ベロック」も言ってみれば「オッソー・イラティ」と同じようなチーズで修道院が模倣して作り始めたとのことです。 羊乳製のチーズはその乳に含まれる豊富なタンパク質と脂肪分でこってりとした芳醇な味わいが特徴で、糖分は入っていないのですが「甘み」が感じられると表現されます。それだけミルクの味わいが濃いチーズでクセが無くて食べやすいと評判です。 土地の人たちはチーズにブラックチェリーのジャムを添えておやつに食べるのが定番だそうですが、ブラックチェリーのジャム以外にもハチミツやブルーベリーのジャムなどを添えて食べてみても良いかもしれません。また違ったチーズの楽しみ方が体験できると思います。 ワインは是非、南仏の赤ワインを。タンニン(渋味)の強いワインでもチーズ由来の脂肪分(まったり感)で甘みと果実味を引き立ててくれます。 |
フルール・デュ・マキ |
「マキに咲く花」という意味の、フランスのコルシカ島で作られる羊乳のチーズです。 羊の出産が12月頃。搾乳時期は1月からがピークです。そんなミルクで作られるチーズです。羊のミルクは乳脂肪分が牛乳よりはやや多いため、こっくりとした味わいが特徴。羊の肉には匂いがあると、苦手意識を持っている人も多いですが、羊の乳の方はそれほどクセがありません。 コルシカ島といえばフランス革命の勇者「ナポレオン」の出身地。地中海に浮かぶこの島では牛ではなく羊の飼育がほとんどです。その羊のミルクから作ったチーズのまわりに南仏を彷彿とさせるハーブ、ローズマリーやサリエットなどをまぶし、上に唐辛子や黒胡椒、セージをまるで花のように飾っている、見た目がちょっと変わったチーズです。 ハーブの香りがチーズにしっかりと移っています。チーズはナイフを入れると白くてしっとりとして、意外とサッパリとした味わいです。食べるときにはまわりのハーブはちゃんと取りのぞいて食べましょう。かなりダイナミックに、しかも乾燥しているハーブは口の中に入れるとモソモソしてしまいチーズの食感や味を損ないます。 羊のチーズはこれからが食べ頃。熟成タイプは夏から秋にかけて、熟成させないタイプはこれからが旬になります。地中海に浮かぶフランス最大のコルシカ島の旬のチーズをぜひ試してみてください。 |
ペコリーノ・チネリーノ |
ナポリが州都のカンパーニャ州。日本にいる私たちにとってこの土地の有名なチーズといえば「水牛乳でつくるモッツァレラ」ですが、さすがに南イタリア、ここにも羊のミルクで作るチーズ「ペコリーノ」は存在しました! イタリアの中部から南部は羊の飼育が盛んです。そしてその羊のミルクを使って作るチーズを総称して「ペコリーノ」と言っています。イタリアには「ペコリーノ・○○」と土地の名前が「○○」に入るチーズがたくさん存在しています。カンパーニャ州のチネリーノという土地の名前が付いているのが、このペコリーノ・チネリーノなのです。 さらにこのチーズの特徴は、6月13日の聖アンソニーの日にたかれる銀梅花(そういう木があるんですようね。。。)の灰をチーズの周りにまぶして熟成をしているということです。薄いグレーの灰は非常に細かくてチーズの表面をうっすらと覆っている程度ですから、灰の味がチーズに直接影響しているというような感じではありませんが、熟成中に何らかの作用をもたらしているのでしょうか。こころもちチーズがしっとりと仕上がっているような気がします。 さらに優しいミルクの味わいもチーズ内に封じ込めているような、イタリアのペコリーノチーズとしては珍しく穏やかなコクが楽しめます。 穏やかなコク、といっても羊のミルクで作っているチーズですから濃厚です。 フルーティーな赤ワインからややボディのある赤ワインに合わせて楽しんでみたいものです。 召し上がるときには是非灰のついている外皮の部分はよけてくださいね。
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