今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
エクスプロラトゥール |
冒険者という勇ましい名前の付いたチーズ。
まわりを真っ白な白カビで覆われた白カビタイプのチーズです。このチーズ、なんと固形文中の乳脂肪分(チーズの水分を抜いた固形分に対する脂肪分の割合)が75%もある非常に高脂肪チーズです。75%もあるチーズを「トリプルクリーム」と呼んでいます。 トリプルクリームのチーズは絞ったミルクにさらにクリームを加えて高脂肪のミルクにして、そしてチーズを作ります。そうのようにして作ったチーズはバターのような「ねっとり」というか「まったり」というか、非常に濃厚なお味になり口当たりも大変よろしいです。ちなみに乳脂肪分が60%〜75%未満のものを「ダブルクリーム」と呼んでいます。 こういった脂肪分を高めてつくるチーズは戦後(第2時世界大戦後)からフランスで作られるようになり、特に海外輸出向けには大人気だそうです。日本にも「シュプレム」「カプリス・デ・デュー」「ブリアサヴァラン」「サンタンドレ」「バラカ」など百貨店の地下に行けば必ず並んでいるほど売れ筋チーズです。 この手のチーズは熟成の頃合いをあまり気にしなくて良いといわれています。輸入したてでも芯がなくて柔らかく、匂いも熟れたような腐ったような匂いがあんまりしません。いってみればクセのない優しいチーズ。でもバターのようなコクとまろやかさが楽しめ、赤ワインのお供にはぴったりです。 お友達へのお土産にチーズを買うとき、お友達がどんなチーズが好きかわからない場合なんかにはこのチーズを選ぶと決して大きくはずすことはないでしょう。味が優しいのでワインもフルーティーな赤ワイン、ボージョレなんかがとてもよく合います。 |
シメイ・クラッシック |
「シメイ」といえば、ビール。ベルギーのフランスにかなり近い地方のシメイという街の修道院で作られ始めたというシメイビールはベルギーを代表する世界的なビールです。 そのビールと同じ名前のチーズがあるんですね。もちろん産地も同じ所、経営はトラピスト修道院です。ベルギーのチーズというのは日本ではまだまだ珍しいのですが、フランスとオランダに挟まれていることもありチーズは非常に馴染みやすい物ばかりです。シメイはフランスでも北フランスのチーズに性格も形も似ています。 シメイチーズはいろいろなバージョンがあり、ソフトタイプ、ハードタイプ、表面をビールで洗ったもの・・・とまだ商品開発を試行錯誤しているそうです。しかし今回お届けのシメイ・クラシックはその中では「クラシック」というだけあり古参格です。元々は円盤形のチーズでしたが今は長方形の四角いカタチになっています。 表面は軽く洗ってあるのでやや固い乾いたオレンジ色の表皮をしています。チーズの中身はハシバミやピーナッツぽい香りもしてアイボリー色でムチっとした食感です。表面はジャリッとした歯触りがあり、チーズがムチっ・・・というのはまるでフランス人気ナンバーワンのルブロションやサンネクテールの感触です。だれからも「食べやすくて」とか「おいしい」とか好かれるタイプのチーズ。 小さなお子さんからお年寄りまでウケがいいこと請け合い。 |
エティヴァ |
スイスではグリュイエール(グラタンやフォンデュなど料理にも良く活用します)というチーズの製造は盛んで世界的にも有名ですが、わりと広い地域で作られています。そのグリュイエールチーズの中でもある一部の生産地域では、昔ながらの伝統的な製法を踏襲し、また使う道具や作る時期なども昔のままで行っています。 それが「エティヴァ」といわれるチーズでスイスのAOCチーズ(制度は2000年から始まった)の第1号に選ばれています。 5月10日から10月10日までと製造期間が定められていて、標高1000mから2000mのアルプスの山中で作られています。アルプスの山の牧場に牛を放牧して、自然に生える牧草やハーブや高山植物を食べさせて、とても栄養分の高いミルク(香りも豊かな)を絞って作られます。「アルパージュ(高地放牧)」で作らなくては「エティヴァ」と呼んではいけないのです。 そんな「エティヴァ」ですが、普通のグリュイエールよりはしっとりとしています。長期熟成なわけではないのでアミノ酸系の旨みはそれほどないのですが、チーズの味がハードタイプとしては抜群に濃い!のです。味の深さも並のグリュイエールでは体験できないほど。 とても凝縮感のある味わいの濃いチーズですので、しっかりとしたボディの赤ワインやコクのある白ワインと合わせたいものです。是非奮発しいつもよりグレードの高いワインを用意して、エティヴァとともに楽しんでみましょう。 製造期間も決まっていることもあり、生産量はごく限られています。食べられる機会もとても少ないのですが、一度食べたらきっと病みつきになることは間違いないです。印象的な味わいを是非体験してみてください。
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