今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
セージ・ダービー |
見た目は緑色の筋が毛細血管のようにたくさんは入り込んでいて、ちょっと不気味?と言うかグロテスク。 英国のイングランドにある州の名前「ダービー」の名の付くチーズがあります。イギリスには地方名がチーズ名になっているというパターンのチーズが多く存在しますが、ダービーというチーズも普通のアイボリー色のチーズとして存在しています。 しかしこのセージ・ダービーはチェダリングという独特の製法によって作られるチーズの特徴でもある、ボロボロとした組織(チーズの中身)を利用して、セージのペースト?を流し込んでいます。(実際にどのような形状のものなのかわかりませんが、マーブル模様にセージ風味の緑色のシーズニング?が広がっています)。 見た目の奇抜さに比べると味わいは極めて穏やか。 コクのあるハードチーズがセージの爽やかなハーブの香りと相まってあとを引く美味しさです。 あまり強いチーズではありませんから、チーズの初心者という方でも美味しく食べていただけます。 |
ローヴ・デ・ガリッグ |
ヨーロッパでは牛乳製のチーズとともにあたりまえに山羊乳のチーズがたくさん作られています。 山羊のミルクはちょっとクセがあって馴染めない人もいるようですが、慣れたらクセになってしまう味です。先々月も初めて山羊乳のチーズ(シェーブル)をご紹介したところ、賛否両論でした。「動物園の匂いがする」とかいう意見もありましたが、大半は「独特の匂いはあるものの、甘いミルクの味が非常にここちいい」といった意見をいただくことができました。 今回ご紹介のこの「ローヴ・デ・ガリック」というチーズ、独特の匂いやミルクの甘み意外にも特筆すべき点があります。チーズは100%山羊のミルクから作られているのですが(もちろん塩がまぶしてあります)、ほのかにハーブの香りがするのです。これはタイムでしょうか、それとも・・・?ハーブの香りはするのですがハーブは入っていません。真っ白です。では何故、ハーブの香りがするのでしょうか。 それはこのチーズの素になる山羊の乳を出す山羊たちがハーブを食べているからなのです。フランスは南部のラングドック・ルーション地方では春から夏にかけてのこの時期には自生のハーブが生い茂ります。山羊 たちはそのハーブを食べているので、出すお乳も不思議とハーブの香りが付いているのです。そしてチーズにもその香りや味は残っているのです。真っ白な、難の変哲もないチーズなのに食べてみてびっくり、こんなにダイレクトに伝わるなんて、えさの質の大切さを思い知ります。 比較的若い熟成でお届けするこのチーズ、シェーブル独特の爽やかな酸味とミルクの甘みも充分に楽しめることと思います。ぜひキリッと冷やした白ワインとサクッと楽しんでいただきたい!夏にぴったりなチーズです。 |
オベハ・アルロメロ |
スペインには羊のチーズがたくさんあります。 首都のマドリッドがあるスペインの内陸部の平原の広い範囲で作られる羊乳のチーズとして有名なのは「マンチェゴ」。その他の地域各地で羊乳製のチーズが存在します。 スペインは気候や地形の関係で羊の飼育が盛んです。その昔は羊毛産業が全盛で羊毛産業が衰退した今でも羊はたくさんいるそうです。 羊乳は牛乳に比べ成分中に脂肪分もタンパク質も多く含まれているため、非常に濃厚に感じられます。チーズになるとそれがコクや甘みに感じるのです。山羊乳製のチーズのように独特の獣臭さがあるのではと敬遠されがちなのですが、実はそれほど獣臭はなくて牛乳製の普通のチーズとそんなに違いはありません。ただ、ちょっと濃厚な感じがしますが・・。 羊のチーズのことを総称して「オベハ」といいます。このチーズは羊乳製のハードチーズのまわりにローズマリーをこれでもか!というほどまぶしたチーズ。ドンキホーテもこのチーズを食べていたといわれるほど歴史も古いチーズですが、ハーブでお化粧を施すというのは最近になってからではないでしょうか。ローズマリーの爽やかな香りがチーズの中にまで浸透して、濃厚な脂肪分のチーズをさっぱりとした口当たりにしてしまっています。これはなかなかのヒット作だと思います。 カットして食べるときにはローズマリーの付いた表皮は取り除いて召し上がってください。直接ハーブを口にするとちょっと香りや刺激が強すぎます。噛むと口の中からほのかに立ち上るローズマリーの香りを楽しみましょう。
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