今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
クアルティローロ・ロンバルド |
なんだか聞き慣れない名前のチーズでしょう!イタリアのロンバルディア地方(ミラノが州都)で昔から伝統的に作られるチーズです。 このチーズの産地に程近いところでは「タレッジョ」とか「ゴルゴンゾーラ」というイタリアチーズの中でもトップスターたちが産出されています。じつはこのクァルティローロもそれらのチーズとよく似たソフトタイプのチーズなのです。 これらのチーズの産地というのはアルプス山脈の麓でアルプスから連なる渓谷がいくつもある交通の便がそれほど良い地域ではありません。昔から夏になると美味しい草が生えるアルプスの山々に牛を放牧し、秋になると下山させ何キロも離れた村に戻ります。その村に戻る旅の途中の疲れた牛から絞ったミルクから作ったチーズを「ストラッキーノ(=疲れた)」と呼び、今のゴルゴンゾーラとかタレッジョ、クァルティローロの原型のチーズとなったといわれています。 この「クァルティローロ」はちょうど9月から11月頃に生える4番目の牧草を食べる頃に作られていたのでこの名前が付いたと言われています。(現在では季節に関係なく作られていますが) チーズは1辺が20B前後の四角いお座布団形のチーズです。ソフトタイプのチーズですがカマンベールチーズのようにトロッとした柔らかさがあるのではなく、どちらかというとシェーブルのようにぱさついた感じの柔らかさです。ミルクの脂肪分を若干抜いて作っているため、普通のチーズより低い30%ぐらいになっています。牛乳のチーズとしては珍しくサッパリとした酸味が際立っています。 残暑であまり濃厚なチーズに食指が働かないこの季節につめたく冷やしたスパークリングや白ワインのお供にぴったりなのではないでしょうか。 保管中には外皮にカビが付きやすいですが、カビの部分を削り取って召し上がってください。皮は食べても食べなくてもいいのですが、カビや固さが気になる人は取り去ってチーズの中身だけを食べましょう。 |
サンネクテール・フェルミエ |
外側は自然にはえるグレーや茶色、ブルー、オレンジと色とりどりのカビでボウボウです。見た目で判断するとこれって食べても大丈夫なの?と心配してしまいそう。チーズの中はムッチリとした、ちょっと蒲鉾のような感触のチーズです。 フランスのオーヴェルニュ地方という山深いところで作られ、フランスではかなり人気の高いチーズの一つ。 見た目の凄まじさ(カビの)には反してお味のほうは牛乳の風味がそのままチーズになった・・・という感じで、実直な優しい味です。言い換えればひねりのないチーズ。 セミハードタイプといってハードタイプよりは柔らかいけれど、保存性もある程度ある山岳地方の家庭用チーズといったところでしょうか。 このカビもこのチーズの味の個性を出すために一役買っています。通常日本に輸入される場合はカビをきれいに取り除いたり、もともとカビが生えないような環境の熟成庫で熟成させたりしますので、見目麗しいチーズが一般的です。 あえて今回「農家製(フェルミエ)」にしたのは、本場の味(フランスで人気の味)を試していただきたかったからです。 チーズというものもワインと一緒で、うまく熟成がなされているものとそうでないものでは、味に多いに違いが出てしまうもの。このサンネクテール、田舎っぽい風味が裏目に出て雑味や苦み、ちょっと鼻を突くような匂いや、かび臭いカーブの匂いがきつくなっているものもあります。 まさに「一期一会」で、素直に育っているチーズに出会えたらラッキー、ってことなんですが、果たしてこの度お届けするチーズはどうでしょうね。 素直に熟成したサンネクテールからはきっと木の実のような風味や、きのこっぽいちょっと湿った香り、そしてミルクの甘い香りがすることでしょう。 |
ラングル |
ウオッシュタイプとは熟成過程でチーズの表面を塩水、または地酒(マール、葡萄の絞りかすを蒸留して作ったお酒)で洗うので、このような呼び方をします。 何故チーズを洗うのか?これは中世の昔、自給自足をしていた修道院ではワインやチーズなども日常的に作られていたのですが、冷蔵庫などのない昔のこと、チーズの保存性を高めるためにチーズのまわりに付くカビとか細菌を消毒するために編み出された方法だそうです。チーズに不要な細菌類を洗い流し、リネンス菌という納豆菌の親戚のような菌が繁殖することにより、ネバネバとして匂いも古漬けのように刺激的な匂いがするようになります。 このラングルもシャンパーニュ地方にあった修道院で作られるようになったチーズ。約200gほどの小さな円錐型のチーズの上部にはフォンテーヌ(泉)といわれるくぼみがあるのが特徴。残念ながら今回お届けのチーズは半分にカットしてしまうため、完全なくぼみは見ることが出来ませんが、地元ではこのくぼみにシャンパーニュや地酒を注いで飲んだりするとか?! 熟成の若いうちはそれほど匂いも強くなく、チーズの形自体もしっかりと原形を保っていますが、熟成していくにつれ匂いが強くなり、表面もテカテカ、ヌルヌル、ネバネバとかなりしっとりした感じになり、チーズも非常に柔らかく流れ出すようになります。それくらいの状態になると味も強く、しっかり腰のある赤ワインでないとなかなか太刀打ちが出来なくなります。 しかしながら匂いや見た目の強烈な感じより、チーズの中身は意外とマイルドで食べやすいというのもウオッシュタイプの特徴。外側の部分を取り去ってしまえば、実は非常に食べやすくて美味しい!と、以前ご紹介したウオッシュタイプのチーズの感想として寄せられました。 そして熟成の若いチーズはミルクの甘さ、そして嫌味のないチーズの旨さが楽しめます。ワインもシャンパーニュはもちろん、辛口の白ワインからフルーティーなミディアムボディの赤ワインでも十分楽しめるでしょう。 ウオッシュタイプはまだ未経験・・・というかたに、ぜひ試していただいてみたいチーズです。
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