今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
テティージャ |
見事なまでに「おっぱい」の形をしています。だから名前はテティージャ(=おっぱい)。 表面はちょっと濃いめのクリーム色(黄色に近い)なのですが、チーズの中は濃いアイボリー色。ちょっと濃いお乳色という感じでしょうか。 しなっと柔らかい食感で少しやわらかい酸味が感じられます。そしてこのチーズには熟成したようなしっかりとしたチーズの味というよりはまだまだミルクに近いようなほの甘い味わいが強く残っています。 口の中に入れて噛まずにしばらくころがしていたいような・・・そんな、優しい甘みがとても懐かしい気分になります。 スペイン北西部のガリシア地方が産地です。(ポルトガルの上に位置するあたり) ガリシア地方は降雨量が多くあり、豊かな牧草地も広がるスペインでは最も牛の飼育に向いた地域。きっと美味しい牧草をたくさん食べた牛が美味しいミルクをたくさん出して、テティージャになるのでしょう。とても素直で優しい味わいです。 そのままでも大変美味しいですが、少し熱を加えると溶けてとてもよくのびるのでピザトーストなど朝食やスナック用にも使えます。 ワインは軽くてフルーティーな白ワインが一番合うのではないでしょうか。 |
ムルシア・アルビノ |
地中海に面したムルシア地方で作られる山羊乳のチーズ。 山羊乳製のチーズ、フランスの「シェーブルタイプ」といわれるソフトタイプの小型のチーズが日本では一般的ですが、このスペインの山羊乳製のチーズはちょっと違います。 セミハードタイプの水分量がいくぶん少ないタイプのチーズに仕上がっていますし、スペインの山羊たちはとても濃い乳を出すのでこってりとした味の濃いチーズをつくります。 そのため、山羊乳特有の少し獣臭い匂いがあまり感じられません。何も知らずに食べると牛乳製のハードタイプのチーズかと思ってしまうくらい味わい。むしろ牛乳製のチーズより甘みやコクが強く感じるかもしれません。深い味のする山羊乳製のチーズです。 このチーズはまわりを同じムルシア地方の赤ワインで拭いています(ムルシア地方は赤ワインの産地でもあります)。そのために外皮はワインレッドです。山羊乳のチーズはチーズの色が白っぽくなりますから、外皮の赤と中の白は綺麗なコントラストとなっています。 熟成は数ヶ月とそれほど長くないのでアミノ酸の旨みが強く感じるタイプのチーズではありませんが、ミルクの濃さからくる深い味わいが素晴らしいです。スライスして、またはキューブ状で召し上がってください。 白ワインならボディのしっかりとしたもの、そして赤ワインならフルーティーな軽やかなものからフルボディのものまで広くあわせやすいチーズです。 |
マンチェゴ |
スペインのチーズと言えば、全世界的に「マンチェゴ」です。 首都のマドリッドがあるスペインの内陸部の平原の広い範囲で作られる羊乳のチーズ。スペインは気候や地形の関係で羊の飼育が盛んです。その昔は羊毛産業が全盛で羊毛産業が衰退した今でも羊はたくさんいるそうです。 羊乳は牛乳に比べ成分中に脂肪分もタンパク質も多く含まれているため、非常に濃厚に感じられます。チーズになるとそれがコクや甘みに感じるのです。山羊乳製のチーズのように独特の獣臭さがあるのではと敬遠されがちなのですが、実はそれほど獣臭はなくて牛乳製の普通のチーズとそんなに違いはありません。ただ、ちょっと濃厚な感じがしますが・・。 マンチェゴは「マンチェガ種」という羊の乳から作られています。昔チーズをエスパストガヤというこの地方の平たい縄(?)のようなもので巻いて熟成をしていたので、チーズの回りにはその縄目模様が着いていました。今では縄で巻くという行程はないのですが、伝統的にチーズの回りに型をつけて模様だけは残しています。 ドンキホーテもこのチーズを食べていたといわれるほど、歴史もそれなりに古いチーズです。 羊乳特有の甘みが一口囓ると感じられます。室温に置いておくとじんわりと汗をかいたように脂肪分が浮き出てきます。そうなったらそっとティッシュで拭き取ってください。 濃厚な風味は赤ワイン全般に非常によく合います。アミノ酸の旨みじんわり・・・というよりは、まったり感がワインのタンニンを丸く包んでくれる感じです。 やはりスペインの赤ワインと合わせてみたいものです。
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