今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
シャウルス |
シャンパーニュ地方で作られる白カビタイプのチーズです。
若いうちはビロードのようななめらかな白カビが表面を覆っています。見た目の美しさに食べてしまうのが惜しいくらい。白カビはチーズのタンパク質をどんどん旨み成分に変化させていき、チーズのコクと香りを作っていきます。この若い白カビからはほんのりとマッシュルームのようなきのこっぽい香りが漂います。 そして熟成の若いシャウルスは白く目のつまったテクスチュアで、お味はほんのりと酸味を感じつつもなめらかな口当たりが楽しめます。ふわっと口の中でクリームの甘さが広がる感じ・・・。 カマンベールやブリーチーズのように平たい円盤形ではないので、熟成してもなかなか中心部まで達っしません。そのためか、ほんのりと酸味も残したまま、そして表面に近いところはかなり強い風味が楽しめます。 「シャウルス」の名前はこのチーズの生まれ故郷のシャンパーニュ地方の町の名前からきています。「シャ」は猫を、「ウルス」は熊を意味する、訳して「猫熊町」ということになりますか。 お届けするシャウルスは多分あまり熟成が進んでいない若めのものになるかとおもいます。合わすワインは辛口の白ワインはもちろんですが、同郷のシャンパーニュがあれば是非とも試していただきたい組み合わせ。シャウルスの端正な味がスパークリングにきっと合うはずです。 |
コンテ(16ヶ月熟成) |
コンテは、フランスではグラタンなどのチーズを使ったお料理に欠かせない料理用のチーズとして、またワインとともに楽しむ食卓用のチーズとして万能選手のチーズです。 ひとつが50Lちかくもある大きなチーズで、チーズの歴史も2000年近くあると言われています。 ハードタイプのチーズは、保存性を良くするためにチーズ中の水分をかなり少なくした熟成期間も長いチーズ(今回のものは16カ月以上熟成しています)。 このコンテの故郷もアルプスの山中でスイスとの国境付近です。冬の保存食として夏にアルプスの山中に放牧した牛からとったミルクで作られてきました。 よく食べ慣れているプロセスチーズと比べると旨みとともに甘みや苦みなども感じられますが、そこがナチュラルチーズとプロセスチーズの違いで、チーズの味わいが複雑です。味が単一な感じがしません。 単一なのは味ばかりではありません。匂いを嗅いでみてください。何とチーズの芳しい香りがすることか!時にはチーズを数ヶ月間熟成させていた熟成庫の湿った香りがしたり、ミルクをぎゅっと濃縮して旨みを閉じこめたような香りがしたり・・・・。フランスの山からやってきたんだなぁという匂いです。 今回お届けするコンテはただのコンテではありません。「PETITE社」という造り手さんのチーズを「St.ANTOINEの要塞」という場所の特別の熟成庫で美味しく熟成されたコンテです。その会社のものはパリの一流チーズ商も手に入れるために必死に買い付けをするという、密かに業界では引く手あまたのコンテだそうです。 ふつう食べるとナッツのような風味を感じるチーズなのですが、長期熟成もさせたコンテはアミノ酸の結晶が所々に見られて旨みが十分に楽しめる味の深〜いチーズとなっています。 |
スティルトン |
イギリスの誇る素晴らしいブルーチーズです。 ブルーチーズの青カビは固まる前のミルクの中に故意に青カビを入れ、チーズの熟成と共に内側からどんどん増えていきます(自然に青カビを発生させるブルーチーズも世の中にはあるようですが)。チーズの中の青カビが脂肪分を分解してあの独特の匂いと舌を刺すようなピリッとした刺激を作り出すといわれています。 スティルトンはイギリス(イングランド)中部のレスターシャー、ダービーシャー、ノッティンガムシャーでのみ製造されています。製造しているのもほんの数社(確か7社だったか・・・)。これもトラディショナル・チェダー同様、昔ながらの製法を固く守って作られています。 ゴルゴンゾーラ(イタリア)、ロックフォール(フランス)と並び、世界3大ブルーチーズのひとつで、アイボリー色のチーズに毛細血管のように繊細に入り込んでいる青カビの様子は私は実に美しい!といつも感心しながら食べています。一般的にブルーチーズは塩分が強いので塩辛いとされています。たしかに塩分を感じますが、美味しいスティルトンはミルクの甘みがまず口に広がり、カビの刺激と塩分ときれいに調和がとれているものです。 イギリスではスティルトンには甘口のポートワインと合わせるようです。イギリス人の紳士は食後に(男性だけで)スティルトンとポートを舐めるように飲むのが楽しみだとか。 もちろんフルボディーの赤ワインとの相性もばっちりです。そしてワインだけでなく、薄くスライスしたバゲットやクラッカーにスティルトンを塗り、その上にハチミツをたらりと垂らして食べてみては如何でしょうか?今まで体験したことのない見事なマリアージュかもしれません!
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