今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
シャロレ |
ブルゴーニュ地方といえばエポワスなどのウオッシュタイプのチーズばかりが作られていると思っている人も多いのでは?実はシェーブル(山羊乳製)のチーズも伝統的に作られています。あまり有名なものはないけれど、昔から作られているその土地ならではのシェーブルチーズを一生懸命守っていこうとがんばっている人たちがいるそうです。 それが「シャロレ」です。山羊乳製のチーズというのはユニークな形のものが多く、また若いうちは水分が多くて身が柔らかいというのが普通です。樽の栓形のこのチーズは若いものもしっかりと目が詰まっていて、どっしりと重たく作られています。 さすがにどっしりとした重量感があるだけあり味のほうもどっしりとしています。山羊特有の酸味が感じられず、濃厚なクリームから作ったチーズかと間違うくらいぎゅうっと味が詰まっています。山羊のチーズってこんなに味わい深いものだったの!と初めて食べたときにはとても感動をしたのを覚えています。 ひとくちに「シェーブルチーズ」といってもフランスで産出される場所によって、また作り方によって微妙に味が違ってくるものです。これは私の感想ですが、有名なロワール河流域の山羊はさっぱりとした味が際立っていると思いますし、南仏のシェーブルはハーブの香りがしたり、またミルクの甘さがダイレクトに伝わってきたりするものが多いように思います。そしてブルゴーニュの山羊のチーズはどっしり感と濃厚な甘みが特徴でしょうか。 山羊のチーズの旬は春から夏にかけて。ミルクが一番おいしいこの時期に作ったチーズはとても美味しいはず。残ってしまったら包まれてきている包装紙できちんと巻いて、冷蔵庫の野菜室に。出来るだけいい状態のうちに食べてしまいましょう。 |
ミモレット・ヴィエイユ |
きれいなオレンジ色のセミハードタイプのチーズ。まるで夕張メロンのような色と形です。 もともとはオランダのチーズ。17世紀の一時期に外国製品の輸入を禁止した時代あり、その時にフランス国内で生産されるようになったそうです。そのため形はオランダの代表的なチーズであるエダムチーズとそっくりで、作り方もほとんど同じ。 フランスでの主な生産地はベルギーとの国境付近のフランドル地方です。 きれいなオレンジ色はアナトーという着色料で色づけされているから。若いうちは薄いオレンジ色ですがだんだんと茶色っぽい渋いオレンジ色に変化していきます。 日本では18ヶ月とか24ヶ月も熟成をしてかなり水分が抜けて固くなり、また旨み成分がぎゅっと詰まった状態のミモレットが人気。なぜならタンパク質が長い熟成期間のうちにしっかりとアミノ酸の結晶に変わり、旨味がうんと増すから。こちらはまるでスルメをかじる感覚でたべられる「酒のつまみ系」のチーズになっています。カラスミのような珍味系の味わいです。 日本人は昔から発酵食品に囲まれて生活してきたということもあり、味覚の中でいう「旨み」にはかなり敏感。そして誰もがこの旨みを好みます。チーズなのにどこか懐かしいような安心できる味わいを見いだし、子供から大人まで受け入れられやすいのです。 そんなチーズですから日本の伝統的な発酵食品である日本酒との相性が良いことが期待されます。しかもミモレットのように旨みの他の味の成分が控えめなチーズこそ合わせやすいのではないでしょうか。 |
ブルー・ドヴェルニュ |
ブルーチーズは匂いが臭くて、青カビが薬っぽくて食べられません・・・。というご意見、よく聞きます。 ブルーチーズの青カビは固まる前のミルクの中に故意に青カビを入れ、チーズの熟成と共に内側からどんどん増えていきます(自然に青カビを発生させるブルーチーズも世の中にはあるようですが)。チーズの中の青カビが脂肪分を分解してあの独特の匂いと舌を刺すようなピリッとした刺激を作り出すといわれています。 この独特の刺激の強弱がチーズの種類によって違ってきます。イタリアのゴルゴンゾーラ・ドルチェやドイツのカンボゾーラなどはマイルドですし、フランスのロックフォールやスペインのカブラレスなどはかなり強烈です。 このブルー・ド・ヴェルニュは刺激のレベルはちょうど真ん中あたり(佐藤ゆうこの独自の基準では)。平均的な青カビタイプと言えるのではないかと思っています。ですからブルーチーズらしい刺激も楽しめるし、チーズらしい甘み、いわゆる醍醐味もしっかりと味わえます。 フランスのオーヴェルニュ地方はじつはブルーチーズの宝庫(もちろん違うタイプのチーズもたくさんありますが・・・)。このブルー・ド・ヴェルニュのほかにもフルム・ダンベール、モンブリアック、などクラブでもご紹介したブルーチーズの故郷と同じです。 そのまま食べるにはちょっと刺激が強い・・・と思われましたら、クリームチーズや生クリームで少し伸ばして食べてみたり、ハチミツやレーズンなど甘みの強いものをトッピングして食べてみてください。青カビの刺激がかなり緩和されます。 そしてパンにチーズを塗って、胡桃をトッピングして軽くトーストすると不思議と臭みが和らぎ、香ばしく美味しく食べられます。 フルボディーの赤ワインとの相性もばっちりです。赤ワインの渋みと合わさるとチーズもワインも驚くほど甘みを感じることができます。
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