今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
カベクー・フォイユ |
外見は「柏餅」のようなチーズ。
南仏のケルシー地方は石灰岩の台地が続いています。そこでは山羊の飼育が盛んで昔からたくさんの山羊のチーズが存在していました。そのケルシー地方では「カベクー」というのは「小さな山羊のチーズ」という意味を持ちます。 土地の名前が付いたいろいろな「カベクー」がある中、このチーズは葉っぱ(フォイユ)で巻いているのでこの名が付きました。「葉っぱで巻いたカベクー」というわけ。簡単ですね。 チーズ自体はひとつが40g程度の小さなメダル状になっています。この地方のシェーブルチーズはサイズは小さいのですが濃厚なミルクの旨みが感じられます。そしてハーブのような爽やかな香りも伝わります。きっと山羊たちが食べている草が良いのでしょうね。 巻いている葉っぱはプラタナスの葉、とか栗の葉です。 葉っぱで巻くことの意義としては、葉の成分であるカテキンが殺菌効果を発揮することや、チーズを乾燥から守りしっとりと保っているということなどが挙げられます。香りがある葉で巻くとほんのりとその香りもチーズに移り楽しいものです。 カベクー・フォイユはさらにチーズの表面に粗く挽いた黒コショウが少し施されています。黒コショウはかなりピリッと刺激的ですが結構良いアクセントになります。 小さなチーズですしスパイシーですので食後よりは食前にキリッと冷えた白ワイン、発泡酒、シェリーなどと合わせて見ては如何でしょうか。暑い暑い夏の日に清涼感と供に食欲も湧いてくるはず。 |
ロビオラ・ディ・ロッカベラーノ |
長〜い名前のこのチーズは、イタリア北部のピエモンテ州で作られている山羊乳製のチーズです。伝統チーズの宝庫であるピエモンテ州の中で、このチーズもDOP(原産地呼称保護制度)の認証を受けている由緒正しきチーズなのです。 「ロビオラ」という言葉はこの地方独特のチーズのタイプを指す言葉なのですが、小型のチーズで熟成をさせると表面が赤っぽくなることから「ルベオア(ルビー)」という風に呼ばれていたのが変化したとされています。 そして「ロッカベラーノ」というのはこの地方にある村の名前。ワインの産地でもあるこの地方は丘陵地帯で決して平坦な土地ではありません。丘陵地帯の南の斜面ではブドウを栽培し、そうでない所は山羊、羊、牛、豚等家畜を飼っていたり、ノッチョーラ(ヘーゼルナッツ)の木を育てたりしています。 山羊乳製のチーズにしてはしっとりとしてチーズの中身も密な印象があります。熟成が若いものに関しては強い酸味ではなくてまろやかな酸味があり、ミルクの濃い味もして全体的に穏やかな印象です。そしてどことなくピエモンテの田舎家の風景が浮かびそうな、親しみやすくて素朴な味わいがするのも面白いです。 さっぱりと辛口の白ワインとの相性が何よりもいいとは思いますが、フルーティーな赤ワインでも美味しく食べることができます。 |
ガローチャ |
スペインはカタルーニャ地方の山麓で作られている山羊乳製のチーズです。フランスでは(日本でも)シェーブルタイプと分類して呼んでいますが、フランスチーズによくあるような真っ白で形が小型でユニークなタイプの山羊乳製のチーズではありません。 チーズは青みがかった灰色のカビで覆われていて、ビロードの布地をまとったような表皮です。ちょっと見た目がグロテスクなので引いてしまうかも。外皮の香りを嗅ぐと湿った洞窟や蔵のような匂いが。もしくはマッシュルームのようなキノコ臭とでも言いましょうか。 チーズの身はセミハードタイプですのでしっとりとしていますが固めです。包丁で切っても刃にチーズがべったりと付いてくるようなことはありません。牛乳のチーズに比べると色が白っぽいことに気づかれると思います。それは山羊が餌(草や木の葉っぱなど)を食べてそこに含まれるカロチンを体内で消化吸収をしてしまうので乳にはカロチンが含まれないためです。 チーズの味の方はというと、スペインの山羊のチーズの特徴なのでしょうか酸味が強すぎることはありません。ミルクの甘みが十分にありふくよかな味わいといえるでしょう。外皮のカビは食べてももちろん健康を害することはありませんが、チーズの繊細な味わいを邪魔してしまうかもしれないので取り除いて食べた方が良さそうです。 南のほうで育った山羊のミルクから作るチーズはこんなに濃厚なのかな〜 としみじみ思いながら召し上がってください。
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