今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
サントモール・ド・トゥーレーヌ |
バトン型のシェーブルといえばこれ!!一度は目にされていることがあるでしょう?
バトン型でまわりに灰をまぶした山羊乳のチーズ。「シェーブルっていろんなカタチがあります。」って言うときに必ず代表として見本にあがるチーズです。 フランスで一番長い河のロワール河流域はシェーブルチーズの一大産地です。その昔アラブ人がイベリア半島からフランスに侵略をしたときに戦いと一緒に連れてきた山羊たちがその地にとどまって、山羊乳のチーズが作られるようになったと言われています。この地方にはいろんな種類の山羊乳のチーズが存在し、日本にもたくさん輸入されています。 ロワール河はフランスのど真ん中の中央山塊から大西洋に流れている河ですが、その中流に位置するトゥールの街の近くにサントモール・ド・トゥーレーヌという村があります。この村の名前がチーズの名前となっています。 シェーブルチーズは若いうちは真っ白で柔らかく酸味のあるチーズです。今回お届けするサントモール・ド・トゥーレーヌはフレ(若い熟成)のものですので表面にまぶした灰の黒さとチーズの白さがくっきりとコントラストを出しています。熟成が進むに連れ表面がグレーがかってきてチーズも水分が抜けて引き締まってきます。 この黒い灰はポプラの木を燃やした灰で、アルカリ性の性質を持つ灰が酸味のあるチーズの味を中和するためとか、灰がチーズの水分を調節して表面がべたっとしないためにまぶされていると言われていますが、どうなんでしょうか。もちろん食べられますし、苦くないのでご心配なく。 そしてチーズの中には麦わらが1本通っています。これはチーズが型くずれをしないようにと伝統的に入れているのです。この麦わらは食べられませんので抜いて召し上がってください! 若いシェーブルチーズには辛口の白ワインが合うといわれています。ロワール河流域はワインの産地としても大変有名です。同郷のワインは同じ土地に含まれるミネラル分を共有しているのでマリアージュすると言われています。今回は同郷のトゥーレーヌの白ワインをゆうこチーズクラブでもご用意していますので、是非おためしください! |
カンタル |
フランスの中央部にある「中央山塊(オーベルニュ)」という山の中で古くから(約2000年も前)造られているチーズです。形はちょうど昔の鏡台のイスのような人が座るのにぴったりなサイズの円筒形の形です。 日本ではお世辞にもメジャーなチーズというイメージはないのですが、本国のフランスでは生産量も多くわりと広く知られている(全国区)のチーズだそうです。 チーズはセミハードタイプと日本では分類されているためやや水分の多めの固いチーズなのですが、作り方がイギリスのチェダーチーズと同じような製法をするため、チェダーチーズと同様に組織はボロッとくずれやすく、塩分もやや強く感じるのが特徴です。 山深いオーベルニュの素朴なチーズという氏素性そのものの風貌です。 素朴な味わいながらも2000年も受け継がれてきたチーズ。食べてみるとじんわりと旨みがひろがり、またナッツのような香ばしい味わいもしています。たまに青カビが入り込むことがあります(外皮の切れ目からはいるのか、もともとチーズの中に青カビの胞子が存在していたのかわかりませんが)。 日本でなら「カビが入っている」とクレームが来てしまいそうなものですが、フランスでは味わいが豊かになると「ラッキー」扱いをされるとか。 素朴で派手さがまるでないチーズだからこそ喜ばれるハプニングなのでしょう。 「カンタル」には夏の間だけ生産される「サレール」と少し産地が南寄りになる「ライオール」と同じような姿形のチーズがあります。(味わいもほとんど同じ) どのチーズもAOC(フランスの原産地呼称統制)を持っている由緒正しきチーズ達ですが、カンタルがその中でもいちばん生産量も多く、親分といえるでしょう。 熟成が進むと鰹節のような匂いとか乾物屋さんの匂い(微生物がたくさん働いている匂い?)がしてきます。そうなるとチーズもグッと旨みが増して食べたあとの余韻が長い素晴らしいチーズになっていきます。 少しボディのしっかりとした白ワインと合わせて召し上がってみても面白いかと思います。 |
バルデオン |
青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。 しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とかなり嫌われ者になっています。「ナチュラルチーズは好き。 ブルーチーズを除いてはね・・」という声もかなりよく聞こえてきます。やはりミカンやお餅のまわりについた青カビはだれも喜んで食べたりしないから、どうしても避けたくなってしまうのでしょうね。 もちろん、この青カビも無害です。薬にあるペニシリンも青カビから作っているように、カビがすべて悪者ってわけではないのです。 日本食で身近に味の似たタイプの食品がないので、初めて食べるとビックリするかもしれません。 青カビタイプのチーズは「ピリっと舌を刺すような刺激」といわれる独特の味わいがあります。しかしながら毒を食べて舌がピリピリ、ビリビリと痺れる感覚とは全く違います(毒を食べたことはないけれど・・・)。 青カビタイプのチーズはフランス、イタリア、イギリス・・・などヨーロッパ各国に存在していて、土地によってそれぞれ特徴のあるチーズになっています。スペインでは北部の山岳地帯で昔から伝統的に作られていて、自然に出来た洞窟の中で熟成させます。 伝統的なブルーチーズで「カブラレス」というチーズがあるのですが、「バルデオン」はカブラレスを現代的にアレンジして再現したチーズです。ですからチーズの回りは楓の葉っぱで巻かれていますし、自然の洞窟でじっくりと熟成させています。 味わいもかなり荒々しいかんじで、より刺激の強いブルーチーズを好まれる方にはもってこいかもしれません。刺激が強すぎるなぁと感じられる方には蜂蜜をかけて食べたり、フレッシュチーズや生クリームでチーズを薄くのばしてペースト状にしてパンに塗って食べたり、と食べ方を変えると美味しくなります。 どっしりとした赤ワインとの相性が楽しみです。
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