今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ピエール・ロベール |
白カビに覆われているいわゆる「白カビタイプ」のチーズです。カマンベールやブリーと同じタイプです。 「かび」が回りに付いているものを食べるなんて・・・と、日本人にはちょっと取っつきにくい感覚はあるのですが、この「かび」は人体には無害のものです。 この白カビをチーズのまわりにつけることによって、カビがチーズのタンパク質を分解に関与し、おいしさに変化させていきます(これを熟成とよびます)。ですからご心配なく。 カビに近い部分(外側)から徐々にチーズはクリーム色が濃くなって柔らかくなってきます。これが白カビや乳酸菌がなす技。クリーミーでとても口当たりが良くなるのです。 そしてこのチーズのもう一つの特徴はチーズをつくるミルク(牛乳)に生クリームを普通の2倍も増量して加えるために乳脂肪分が高いということ。 チーズ全重量から水分を抜いた固形分中の乳脂肪分がなんと75%以上もあります(普通のチーズはだいたい50%弱)。 ですから口当たりがバターのようにリッチでそのまま食べたらチーズらしさがとても弱いかもしれません。そしてチーズの中心部分はまだ乳酸菌が元気に活躍しているので、ヨーグルトのような爽やかな酸味も感じます。 まるで発酵バターのような風味を持つチーズなのでワインや洋酒のお供としても楽しいですが、朝食にトーストの上にのせて余熱で柔らかくしてペースト状にのばして食べるのもとっても美味しいです。 食べ残ったらしっかりラップをして野菜室での保存をお願いします。 |
サン・シモン |
細長い円錐形、でも丸みがあるので何となく大きな涙型に見えるチーズです。 スペインの北西のガリシア地方で作られている牛乳製のチーズで、しっとりと目の詰まっているセミハードタイプのチーズ。薄いアイボリー色のチーズをゆっくりと噛みしめていくとミルクキャンディーのような甘みが感じられます。 味わいもかなりマイルドで馴染みやすいのですが、このチーズは薫製がかかっています。しかも日本人に好まれるあまり強くないスモークで、薄くカットして口に運べば一瞬「イカの薫製」かと思ってしまうくらい。これならばワインでなくてウイスキーやビールのおつまみにも合いそう?です。 スペインのチーズと言えば一般的には粗野で荒々しい感じのものが多いです。そして牛乳のチーズより羊乳のチーズのほうが圧倒的に生産量が多いのですが、サン・シモンはスペインのチーズの中では食べやすくて優しいチーズといえるでしょう。 |
ブルー・ド・ジェックス |
青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。 しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とかなり嫌われ者になっています。「ナチュラルチーズは好き。 ブルーチーズを除いてはね・・」という声もかなりよく聞こえてきます。やはりミカンやお餅のまわりについた青カビはだれも喜んで食べたりしないから、どうしても避けたくなってしまうのでしょうね。 もちろん、この青カビも無害です。薬にあるペニシリンも青カビから作っているように、カビがすべて悪者ってわけではないのです。 しかし最近では日本でもイタリアのゴルゴンゾーラとかフランスのロックフォールとか風味の強いブルーチーズも料理に使ったり、またワインのお供に楽しんだりという人も増え、百貨店はもちろんスーパーなどでも見かけるようになりました。 でもブルーチーズに馴染みのない人が闇雲に買ってしまうと失敗も多いタイプのチーズだと言うことは覚えておいてください。 ブルーチーズでもマイルドな風味の食べやすいものがあります。このブルー・ド・ジェックスはとても穏やかな風味のチーズ。グリーンがかった青カビがムッチリとしたチーズの中に入り込んでいますが、塩味もそれほど強くないですし青カビのピリッとした独特の味や匂いも弱めで食べやすいチーズです。 ほんのりナッツのような味と香りがするのも特徴です。 それでもちょっと匂いが苦手、というかたはチーズをオーブントースターなどで溶かして食べると驚くほど食べやすくなります。 バゲットや食パンにチーズを薄くスライスしたものをのせて焼いてみてください。もしくは茹でたり蒸かしたりしたジャガイモの上にチーズをのせてオーブンで軽く炙ってみても良いでしょう。 これで気の利いた一品として召し上がることもできます。
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