今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ローヴ・デ・ガリッグ |
山羊のミルクはちょっとクセがあって馴染めない人もいるようですが、慣れたらクセになってしまう味です。これまでも山羊乳のチーズ(シェーブル)をご紹介していますが、賛否両論でした。「動物園の匂いがする」とかいう意見もありましたが、大半は「独特の匂いはあるものの、甘いミルクの味が非常にここちいい」といった意見をいただくことができました。 今回ご紹介のこの「ローヴ・デ・ガリック」というチーズ、独特の匂いやミルクの甘み意外にも特筆すべき点があります。チーズは100%山羊のミルクから作られているのですが(もちろん塩がまぶしてあります)、ほのかにハーブの香りがするのです。これはタイムでしょうか、それとも・・・?ハーブの香りはするのですがハーブは入っていません。真っ白です。では何故、ハーブの香りがするのでしょうか。 それはこのチーズの素になる山羊の乳を出す山羊たちがハーブを食べているからなのです。フランスは南部のラングドック・ルーション地方では春から夏にかけてのこの時期には自生のハーブが生い茂ります。山羊たちはそのハーブを食べているので、出すお乳も不思議とハーブの香りが付いているのです。そしてチーズにもその香りや味は残っているのです。真っ白な、難の変哲もないチーズなのに食べてみてびっくり、こんなにダイレクトに伝わるなんて、えさの質の大切さを思い知ります。 比較的若い熟成でお届けするこのチーズ、シェーブル独特の爽やかな酸味とミルクの甘みも充分に楽しめることと思います。ふわっとホイップしたような口当たりと山羊のチーズのクセがほとんど感じられない食べやすいチーズなので、言われなければ山羊乳のチーズとは気づかない人もいるかもしれません。人がたくさん集まるパーティーにも喜ばれること間違いなしです。 |
エティヴァ |
念願が叶ってやっとご紹介でました! スイスではグリュイエール(グラタンやフォンデュなど料理にも良く活用します)というチーズの製造は盛んで世界的にも有名ですが、わりと広い地域で作られています。そのグリュイエールチーズの中でもある一部の生産地域では、昔ながらの伝統的な製法を踏襲し、また使う道具や作る時期なども昔のままで行っています。 それが「エティヴァ」といわれるチーズでスイスのAOCチーズ(制度は2000年から始まった)の第1号に選ばれています。 5月10日から10月10日までと製造期間が定められていて、標高1000mから2000mのアルプスの山中で作られています。アルプスの山の牧場に牛を放牧して、自然に生える牧草やハーブや高山植物を食べさせて、とても栄養分の高いミルク(香りも豊かな)を絞って作られます。「アルパージュ(高地放牧)」で作らなくては「エティヴァ」と呼んではいけないのです。 そんな「エティヴァ」ですが、普通のグリュイエールよりはしっとりとしています。長期熟成なわけではないのでアミノ酸系の旨みはそれほどないのですが、チーズの味がハードタイプとしては抜群に濃い!のです。味の深さも並のグリュイエールでは体験できないほど。 とても凝縮感のある味わいの濃いチーズですので、しっかりとしたボディの赤ワインやコクのある白ワインと合わせたいものです。クリスマスやお正月でご馳走を食べる機会が多い冬のこの時期には、是非奮発しいつもよりグレードの高いワインを用意して、エティヴァとともに楽しんでみましょう。 製造期間も決まっていることもあり、生産量はごく限られています。食べられる機会もとても少ないのですが、一度食べたらきっと病みつきになることは間違いないです。印象的な味わいを是非体験してみてください。 |
リヴァロ |
ウオッシュタイプというのはチーズを熟成させているときに、塩水や地酒などでチーズの表面を洗う作業をして作られるチーズ。中世の修道院でこの製法が確立されたとされていて、冷蔵庫のない昔はこうしてチーズの表面を殺菌していたと思われます。 ウオッシュタイプのチーズの特徴として表面がネバネバとしていることがあげられます。このネバネバ、納豆菌と親戚関係くらいの間柄である「リネンス菌」というものが付いていて、この菌がチーズを美味しくしているのです。チーズを美味しくしているのは良いんだけれど、この菌によって鼻が曲がるような強烈な匂いがします。よく古漬けとかくさやとかの匂いと比較されるほど。 どうもこの臭い匂いのせいで、チーズを知り始めた人たちには敬遠されるみたい。 鼻をつまんで一口食べると、味はひょっとしたら白カビタイプより食べやすくて優しいかもしれませんよ。 表面は鮮やかなオレンジ色で少し粘ついています。カットしたチーズの面は柔らかくプツプツと小さな気孔があいています。 特にこのリヴァロ、臭いチーズの代表のように扱われていますが、臭いが強烈で熟成の進んだものよりは若干熟成が若いもののほうが、チーズ本来のミルクの甘みが感じられて美味しいように思います。 白カビタイプのチーズで有名なカマンベールチーズを作っているフランスのノルマンディ地方で古くから作られているウオッシュタイプのチーズがこのリヴァロ。 丸くてちょっと背の高めのチーズなのですが、サイズもいろいろあり日本で普通にあるのは「プティ・リヴァロ」と呼ばれる小型サイズ。 チーズの側面をレーシュと呼ばれる藁でくるくると巻いています。このレーシュがこのチーズのトレードマークといってもいいでしょう。
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