今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
モンゴメリー・ファームハウス・チェダー |
全世界で最も多く作られているチーズが「チェダー」なんです。 チェダーはイギリスが発祥のチーズ。イギリスではもちろんのことアメリカでも多くの英国からの移民が18世紀に生産するようになり、今では世界の中ではアメリカが一番大量に作っているチーズ。そしてオーストラリアや日本でもチェダーは作られています。 それほどまでに有名で親しまれているチーズなのですが、伝統的な製法で作られた「本物」のチェダーはほとんど存在していないのが現状です。 私たちが日頃目にするチェダーは四角いブロック状になっている大量生産の物ばかり。しかもオレンジ色に着色されたものが多く流通しているので、チェダーチーズってオレンジ色の物なんだとばかり思っていませんか。 本来、チェダーはイギリスの南部のサマーセット州で作られていました。25キロほどの大きな筒型のチーズは特殊な作り方をするためチーズの組織が少しボロボロとしていて、若干の酸味と熟成したチーズの旨みやナッツのような風味が感じられます。チーズのまわりを包帯のような布でまいてラードやワックスでコーティングして熟成をしていきます。 しかし産業革命後チーズ作りも大量生産する工場ができて、流通に便利な形である四角形(レンガや食パンのような形)にだんだんなっていきました。 EUが統合してヨーロッパ各国の伝統的なチーズの原産地呼称制度がどんどんされるようになり、イギリスで最も代表的なチーズであるチェダーも昔がらの製法が注目されるようになり、今では数社ではありますがその方法で生産しています。そのひとつに「モンゴメリー社」があります。 伝統的なチェダーは熟成も数ヶ月していますのでかなりコクがあります。濃い卵色のチーズはしっとりとしてぎゅっと密に締まっています。香りも味もどこか木の実を連想させるものがあり、口に入れるだけでその風味がふわっと広がります。 ぜひしっかりと噛みしめながら、ワインや紅茶、シングルモルトなど幅広い飲み物に合わせてみてください。 またしっとりとしているのでカビが緑や青いカビが生えやすいのです。しっかりとラップで密閉しタッパーなどに入れて冷蔵庫で保管をしてください。もしカビが生えてしまってもその部分だけを取り除いて召し上がってください。風味や品質には対して影響はありません。 |
シュロプシャー・ブルー |
オレンジ色のブルーチーズ。あ、もちろんカビはあおみどり色です。チーズの身がオレンジ色、ちょうどイギリスのチェダーチーズのような色をしています。 色の付いた青カビタイプのチーズってとても珍しいです。このチーズの他には見かけません。 見た目はちょっと変わったチーズですが味のほうはそれほどインパクトはありません。というより、青カビタイプ特有の舌をぴりっと刺すような刺激がそれほど強くない、穏やかな味わいのチーズです。 このチーズ、もともとはイギリスの代表的なチーズの一つである「スティルトン」という青カビタイプのチーズメーカーが1970年代に作り始めた歴史の新しいチーズなのです。 アナトーという植物由来の着色料で鮮やかなオレンジ色に染められたチーズに青カビを入れて作っています。 イギリスの伝統的なチェダーチーズとスティルトンを融合させたような、まさにイギリスチーズのいいとこ取り。 オレンジとあおみどりのコントラストがなかなか鮮やかで、チーズプラトー(チーズの盛り合わせのお皿)に加えると少し華やかになります。 |
タレッジョ |
チーズの外皮を洗って熟成させる「ウオッシュタイプ」といわれるチーズです。匂いが強く、強烈な個性を持つタイプといわれていますが、タレッジョはそれほどではありません。むしろ穏やかな風味でミルクの甘みが充分に堪能できる優しいチーズです。 ひとつが5キロもあるチーズを100gにカットしてお届けします。外皮は淡いオレンジ色、中身は薄いアイボリー色でかなり柔らかいです。匂いはそれほど個性的ではないのですが、どことなく田舎っぽいです。(私は麦わらの香りを連想してしまう) 牛乳で作るチーズでチーズ自体の味もそれほどクセがありません。コクがとてもあるわけでもないし、サッパリと爽やかな感じでもないのですが、主張がそんなに激しくない大人しいチーズ。毎日食べても飽きない、でもじわっと美味しい、滋味溢れる素朴系チーズです。 そんな素朴な感じのタレッジョは北イタリアのロンバルディア州というアルプス山脈のふもとの谷間で作られているチーズです。(今は平野部の工場製がほとんどですが) イタリアにも500種類を越えるチーズが存在すると言われていますが、北イタリアで作られているチーズは牛乳製が多いです。(たまに山羊乳製もあります) アルプスの冷涼な気候が牛の飼育には適しているということもありますし、夏の間にはアルプスの山々に自生する美味しい牧草をたべることによって、良いミルクを出しておいしいチーズになるというわけです。 おいしい山のチーズがたくさんある中で、なぜかこのタレッジョはイタリアを代表する有名なチーズになりました。(タレッジョを作っている会社のプロモーションが良かったのでしょうか・・・) 有名なわりには派手さがまったくありませんが、奥の深い美味しさをゆっくりじっくりと味わってみてもらいたいです。
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