今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ロカマドゥール |
フランス南部、ケルシー地方で作られているシェーブルチーズです。ケルシー地方は石灰岩でできた岩山があり、ロカマドゥールはそこで飼育されている山羊から作られるチーズです。 チーズ名は同じ名前の町「ロカマドゥール」からきています。この町は岩山の地形を利用して作られた建物がそびえ立つ、巡礼の町としても有名。チーズのエチケットの絵にその町のシンボルである建物や様子が描かれています。 チーズはコイン大の小さな手のひらサイズ。山羊のチーズとしては若いうちからねっとりとクリーミーで濃厚な美味しさが楽しめるのが特徴です。フランスの北のシェーブル(主にロワール河流域地域)に比べて南のシェーブルは味が濃厚で時にハーブの味わいがミルクに伝わっているのことがあります。 このチーズ、なるべくフレッシュなうちに食べた方が熟成をさせて辛くなったものよりもベターでしょう。脱脂した乳でなく全乳でつくるのでリッチな味わいが楽しめます。ぱくりとひとくちで食べられそうなサイズではありますが、是非口の中でゆっくりと味を確かめつつ、ミルクの濃さを感じつつ食べていただきたい!! ワインはやはり太陽をたくさん浴びて育ったブドウから造られる、南フランスのワインが合うような気がします。 |
シャビシュー・デ・ポワトー |
山羊のミルクで作るチーズを「シェーブル」といいます。山羊乳はその性質上、チーズにしても真っ白い色をしていて(牛乳のチーズは黄色がかったアイボリー色になります)、ミルクを固めるのに使う乳酸菌の量も多いのでほのかに酸味が感じられます。
フランスでシェーブルチーズがたくさん作られている地域は、古城巡りなどの風光明媚さが売りのロワール河流域地方です。その昔、遠くはアラビアから北アフリカ、イベリア半島を征服しながら進軍してきたアラブ人(サラセン人)が8世紀にこの地でフランク王国と熾烈な攻防戦をくりひろげました。その際、アラブ人は進軍する軍隊とともに家畜として山羊をたくさん連れてきていて、乳を搾ったりあるいは肉を食べたりと貴重な食料源としていました。さて732年の「トゥール、ポワチエの戦い」でサラセン軍が破れてしまい彼らは後退していくのですが、その時に連れてきていた山羊を置いて一目散に逃げ帰った、ということでこの地方には山羊が残されたのです。 その忘れ形見の山羊たちの末裔が今、フランス一のシェーブルチーズの産地でたくさん暮らしているというわけです。 シェーブルチーズはその製法のため組織がもろく仕上がってしまいます。そのためあまり大きいサイズのチーズはありませんが、小ぶりながらもユニークな形のものが多いのです。バトン型、ピラミッド型、おにぎり型、お椀型などなどあり今回のシャビシュー・デ・ポワトーは樽栓の形です。 そしてもう一つの特徴としてフレッシュなうちは水分が多くて酸味があること。口に入れるとまず感じるのは酸味。ちょっとヨーグルトのようなニュアンスの乳酸菌から来る酸味です。そして熟成すると徐々に水分が抜けてチーズが締まってきます。すると酸味が弱まって旨みが現れます。この旨みがシェーブルチーズ独特の山羊の旨みとでも言いましょうか、癖になると病みつきになるような旨みなのです。 シャビシュー・デ・ポワトーに関して言えば、味わいはミルクの甘みがかなり特徴的に感じられますし、チーズを口に入れたときの舌触りがスムースできめの細かさが食感として楽しめます。デリケートな感じで素直に「美味しい」と感じるでしょう。BR> ワインは酸味の効いたロワール地方の白ワインはもちろんですが、熟れた果実の味のある南の白ワインでも合うでしょう。わりと守備範囲の広いシェーブルチーズだと思います。 チーズはそのまま食べても美味しいですが、変化を付けるために軽く白胡椒をミルでおろしてエキストラ・バージンオリーブオイルを少しかけてみてもいいでしょう。 |
ブリー・ド・モー |
チーズのまわりを白カビが覆っている「白かびタイプ」と呼ばれるチーズです。 「かび」が回りに付いているものを食べるなんて・・・と、日本人にはちょっと取っつきにくい感覚はあるのですが、この「かび」は人体には無害のものです。 この白カビをチーズのまわりにつけることによって、カビがチーズのタンパク質を分解する微生物の活動を助け、おいしさ作りに参加します(これを熟成とよびます)。ですからご心配なく。 カマンベールと同じくらい有名(?)なブリーですが、「ブリー・ド・モー」の「モー」というのは町の名前。「モー」のブリーチーズということです。(その他にもブリー・ド・ムラン・・など違うブリーが存在します) ブリー・ド・モーが「チーズの王様」と呼ばれる理由は・・・ それは1814から1815年に行われたウィーン会議でフランスの外交官のタレーランが長引く会議の余興として、ヨーロッパ各地のチーズを持ち寄り、その中からナンバーワンのチーズを決めようというイベントを企画します。そしてそのなかでみごとこのブリー・ド・モーがナンバーワンに選ばれました。その時から名実ともにこのチーズが「王様」ということになったのです。 さすがに「チーズの王様」と言われるだけあり、味はエレガントで非常にまとまっています。 食べやすいのですが通をもうならせる奥の深さがあり、その完成度は見事なばかり!! 赤ワインならフルーティーなものからボディーのしっかりした強いタイプ、そして熟成して繊細な味わいになったものまで、みごとにカバーしてくれます。そっと寄り添う上品な女性・・・。それが私のイメージです。 一つの大きさが直径36Bもあり、放射状に細くカットしてお届けします。切り口をピッタリとラップもしくはアルミホイルなどで止めてください。(ショップからは専用の保護プラスティックでガードされてきます) まずはチーズを一口。十分においしさを堪能したらワインを一口。きっとその繰り返しをやめられなくなってしまうでしょう・・・。
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