今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
オッソー・イラティ |
フランスのAOC(原産地呼称統制)になっている羊乳のチーズ。羊乳のチーズときいて、食べ慣れていらっしゃらない方は「臭いのでは?」と、ちょっと気持ちが後ずさりをしているかもしれません。 確かに山羊乳のチーズ(シェーブル)はどこかしら味にけもの臭さが漂っていて、好き嫌いがはっきりと別れてしまいがちです。それに比べて羊乳のチーズはマイルドで臭くありません。 牛乳、山羊乳などにくらべて最も乳脂肪分やタンパク質が高く、チーズになってもまったりとコクのあるチーズができあがります。しかし、なんのミルクからできているのか聞かないで食べたなら、きっとちょっと濃いめの牛乳から作ったチーズと間違ってしまうかもしれません。それほど「普通」な感じです。 この「オッソ・イラティー」の故郷はフランスとスペインの国境にあるピレネー山脈のフランスよりの山岳地帯です。山を挟んだお隣のスペインでも同じように羊のミルクでたくさんチーズを作っています。イベリア半島からこのフランス南西部にかけては羊の牧畜が盛んで(というより羊に適した土地や気候なのでしょう)、いろんな羊乳のチーズが生産されています。 マイルドで食べやすい羊乳のチーズですが、ものによっては塩辛かったりコクがありすぎるもありますが、オッソ・イラティーは田舎っぽい羊乳のチーズの中ではとても洗練されたチーズかもしれません。やや濃いめのタマゴ色の身はぎゅっとミルクが凝縮したような旨みがあり、やはり牛乳製のチーズとは違うあと味が口に広がります。これが羊のチーズの旨みなのでしょうか。 冬に子供を産み、初夏までしたミルクを出さない羊たち。子供を産んで一番おいしいミルクを出している頃のチーズを十分に熟成させて今まさに市場をにぎわしています。羊のコクをお楽しみください。 |
マンチェゴ・アルロメロ |
スペインのチーズと言えば、全世界的に「マンチェゴ」です。 首都のマドリッドがあるスペインの内陸部の平原の広い範囲で作られる羊乳のチーズ。スペインは気候や地形の関係で羊の飼育が盛んです。その昔は羊毛産業が全盛で羊毛産業が衰退した今でも羊はたくさんいるそうです。 羊乳は牛乳に比べ成分中に脂肪分もタンパク質も多く含まれているため、非常に濃厚に感じられます。チーズになるとそれがコクや甘みに感じるのです。山羊乳製のチーズのように独特の獣臭さがあるのではと敬遠されがちなのですが、実はそれほど獣臭はなくて牛乳製の普通のチーズとそんなに違いはありません。ただ、ちょっと濃厚な感じがしますが・・。 今回のマンチェゴ・アルロメロはマンチェゴのまわりにローズマリーをこれでもか!というほどまぶしたチーズ。ドンキホーテもこのチーズを食べていたといわれるほど歴史も古いチーズですが、ハーブでお化粧を施すというのは最近になってからではないでしょうか。ローズマリーの爽やかな香りがチーズの中にまで浸透して、濃厚な脂肪分のチーズをさっぱりとした口当たりにしてしまっています。これはなかなかのヒット作だと思います。 カットして食べるときにはローズマリーの付いた表皮は取り除いて召し上がってください。直接ハーブを口にするとちょっと香りや刺激が強すぎます。噛むと口の中からほのかに立ち上るローズマリーの香りを楽しみましょう。 |
ロックフォール |
世界3大ブルーチーズ(ゴルゴンゾーラ・スティルトン・ロックフォール)のひとつです。 ブルーチーズの青カビは固まる前のミルクの中に故意に青カビを入れ、チーズの熟成と共に内側からどんどん増えていきます(自然に青カビを発生させるブルーチーズも世の中にはあるようですが)。チーズの中の青カビが脂肪分を分解してあの独特の匂いと舌を刺すようなピリッとした刺激を作り出すといわれています。 ロックフォールといえば2000年も昔から作られていたとされている歴史も古いチーズですが、まずその刺激的な味、非常にインパクトのあるブルーチーズとして右に出るものはありません。 ロックフォールより強い、通の好むブルーチーズというものはそうないはずです。そんなことからも「チーズの王様」と言われるのでしょう。 ブルーチーズは牛乳製のものが多いですがロックフォールは羊乳。もともと羊乳は牛乳より乳脂肪分が少し高いそうです。その乳も非常に高品質なものしかチーズに使わないのだそうで、あのバターのようなまろやかさはその品質の証しなのかもしれません。少々塩っ辛かろうがカビのピリッとした刺激がきつかろうが、カケラを口に入れてゆっくりと舌の上でバターのようにとかして、口中でじんわりととけ出すミルクのコクを楽しんでいたいようなそんなチーズです。 そのまま食べるにはクセがありすぎて、とても食べられない・・・(そういわれる方もたくさんいらっしゃると思いますが)ということでしたら、ハチミツをかけて食べたり、クリームチーズと混ぜてチーズをペースト状にしてフランスパンなどにぬってトースターでこんがり焼いて食べたりと、ちょっとアレンジしてみては如何でしょうか? 料理に使うとするならば、グリーンサラダに小さくしてまぶしてドレッシング代わりにしたり、パスタソースとして利用したりと塩分を活かす方法で使うのと良いようです。 非常に強くて個性的なこのチーズに太刀打ちできるのはフルボディーノ赤ワイン。もしくはハチミツのように甘〜いデザートワインと。今回のように世界三大ブルーチーズには世界三大貴腐ワインで受けてたちましょう。(世界三大貴腐ワインとは「ソーテルヌ」「トロッケン・ベーレン・アウスレーゼ」そして今回のお奨めワインの「トカイ」です。
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