今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
サン・シモン |
細長い円錐形、でも丸みがあるので何となく大きな涙型に見えるチーズです。 スペインの北西のガリシア地方で作られている牛乳製のチーズで、しっとりと目の詰まっているセミハードタイプのチーズ。薄いアイボリー色のチーズをゆっくりと噛みしめていくとミルクキャンディーのような甘みが感じられます。 味わいもかなりマイルドで馴染みやすいのですが、このチーズは薫製がかかっています。しかも日本人に好まれるあまり強くないスモークで、薄くカットして口に運べば一瞬「イカの薫製」かと思ってしまうくらい。これならばワインでなくてウイスキーやビールのおつまみにも合いそう?です。 スペインのチーズと言えば一般的には粗野で荒々しい感じのものが多いです。そして牛乳のチーズより羊乳のチーズのほうが圧倒的に生産量が多いのですが、サン・シモンはスペインのチーズの中では食べやすくて優しいチーズといえるでしょう。 |
マンチェゴ |
スペインのチーズと言えば、全世界的に「マンチェゴ」です。 首都のマドリッドがあるスペインの内陸部の平原の広い範囲で作られる羊乳のチーズ。スペインは気候や地形の関係で羊の飼育が盛んです。その昔は羊毛産業が全盛で羊毛産業が衰退した今でも羊はたくさんいるそうです。 羊乳は牛乳に比べ成分中に脂肪分もタンパク質も多く含まれているため、非常に濃厚に感じられます。チーズになるとそれがコクや甘みに感じるのです。山羊乳製のチーズのように独特の獣臭さがあるのではと敬遠されがちなのですが、実はそれほど獣臭はなくて牛乳製の普通のチーズとそんなに違いはありません。ただ、ちょっと濃厚な感じがしますが・・。 マンチェゴは「マンチェガ種」という羊の乳から作られています。昔チーズをエスパストガヤというこの地方の平たい縄(?)のようなもので巻いて熟成をしていたので、チーズの回りにはその縄目模様が着いていました。今では縄で巻くという行程はないのですが、伝統的にチーズの回りに型をつけて模様だけは残しています。 ドンキホーテもこのチーズを食べていたといわれるほど、歴史もそれなりに古いチーズです。 羊乳特有の甘みが一口囓ると感じられます。室温に置いておくとじんわりと汗をかいたように脂肪分が浮き出てきます。そうなったらそっとティッシュで拭き取ってください。 濃厚な風味は赤ワイン全般に非常によく合います。アミノ酸の旨みじんわり・・・というよりは、まったり感がワインのタンニンを丸く包んでくれる感じです。 やはりスペインの赤ワインと合わせてみたいものです。 |
ヴァルデオン |
青カビタイプのチーズ(通称、ブルーチーズ)とはチーズの中に青カビを故意に入れて、その青カビによってチーズのタンパク質を旨み成分に分解し、おいしくなるチーズです。 しかしながら、青カビチーズは「臭い」「しょっぱい」「きもちわる」とかなり嫌われ者になっています。「ナチュラルチーズは好き。 ブルーチーズを除いてはね・・」という声もかなりよく聞こえてきます。やはりミカンやお餅のまわりについた青カビはだれも喜んで食べたりしないから、どうしても避けたくなってしまうのでしょうね。 もちろん、この青カビも無害です。薬にあるペニシリンも青カビから作っているように、カビがすべて悪者ってわけではないのです。 日本食で身近に味の似たタイプの食品がないので、初めて食べるとビックリするかもしれません。 青カビタイプのチーズは「ピリっと舌を刺すような刺激」といわれる独特の味わいがあります。しかしながら毒を食べて舌がピリピリ、ビリビリと痺れる感覚とは全く違います(毒を食べたことはないけれど・・・)。 青カビタイプのチーズはフランス、イタリア、イギリス・・・などヨーロッパ各国に存在していて、土地によってそれぞれ特徴のあるチーズになっています。スペインでは北部の山岳地帯で昔から伝統的に作られていて、自然に出来た洞窟の中で熟成させます。 伝統的なブルーチーズで「カブラレス」というチーズがあるのですが、「ヴァルデオン」はカブラレスを現代的にアレンジして再現したチーズです。ですからチーズの回りは楓の葉っぱで巻かれていますし、自然の洞窟でじっくりと熟成させています。 味わいもかなり荒々しいかんじで、より刺激の強いブルーチーズを好まれる方にはもってこいかもしれません。刺激が強すぎるなぁと感じられる方には蜂蜜をかけて食べたり、フレッシュチーズや生クリームでチーズを薄くのばしてペースト状にしてパンに塗って食べたり、と食べ方を変えると美味しくなります。 このチーズもスペインのどっしりとした赤ワインとの相性が楽しみです。 |
今月のワイン |
1997 シャール・デ・シロス・クリアンサ 1997 Cillar de Silos Crianza 生産地:スペイン,カスティーリャ・レオン地方リベラ・デル・ドゥエロDO 生産者:シャール・デ・シロス 品 種:テンプラニーリョ100% 価 格:2,800円(税別) スペインの最高級ワイン,ヴェガ・シシリア「ウニコ」にぶどう を販売していましたが,近年自社で販売を始めました(ドメーヌ物)。 20haの自社畑と30haの契約畑から造る樹齢30〜40年(最高75年)の 収量はわずか20hl/haです。また肥料は羊の糞を使用しています。 濃厚なルビー色。フランボワーズなどの香りと新樽の風味が素晴 らしく,ソフトなタンニンでエレガントな口当たり。 こんな上品なスペインワインがあったのかと驚かされる1本です。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) 飲み頃が始まっています。飲まれる直前に開栓してください。 また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。 ロマテ・フィノ・マリスメニョ(サンチェス・ロマテ・エルマノス) Romate Fino Marismeno 生産地:スペイン,アンダルシア地方ヘレス・デ・ラ・フロンテラ,ヘレスDO 生産者:サンチェス・ロマテ・エルマノス社 品 種:パロミノ種主体 価 格:1,900円(税別) 1781年創設の家族経営の老舗。シェリーで“フィノ”と言えば, 「ティオ・ペペ」が圧倒的に有名ですが,このロマテの“フィノ” はちょっと違います。アメリカンオークで8〜9年もの長期熟成を ソレラ・システムと呼ばれる独特の貯蔵法でさせるため,たいへん 肌理細やかなシェリーができあがりました。 メロンのようなフルーティーな香り,ほのかなアーモンドのニュ アンスが楽しいシェリーです。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) もちろん飲み頃です。開けて即おいしいです。 チョット冷たいかな程度(約10〜12℃)で飲んでいただくと最適です。1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。 1997 クロス・デ・ロバック(コステルス・デル・シウラナ) 1997 Clos de l'Obac Bodega Costers del Siurana 生産地:スペイン,北東部海岸地方プリオラートDO 生産者:コステルス・デル・シウラナ社 品 種:ガルナッチャ(=グルナッシュ),カリニャン主体,カベルネ・ソーヴィニョン,シラー,メルロー 価 格:5,000円(税別) 1987年にパストラーナ・ジャルケによって設立され,落ち目だっ たこの産地プリオラートは息を吹き返しました。現在,その勢いは とどまることを知りません。 1989年が初ヴィンテージのこのワインはリリースと同時に世界の ワインジャーナリズムで絶賛されました。 樹齢が50〜70年のガルナッチャとカリニャンを主体に造られてい ます。力強く,骨格のしっかりとした,それでいてタンニンは丸み を帯び,甘みが感じられます。 まさに「スーパースパニッシュ」と呼ぶにふさわしいワインです。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) 飲み頃です。飲まれる直前に開栓してください。 1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してく ださい。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立 てておく)お楽しみください。 |