今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
ブリック・デュ・フォレ |
白カビタイプのチーズです。 「かび」が回りに付いているものを食べるなんて・・・と、日本人にはちょっと取っつきにくい感覚はあるのですが、この「かび」は人体には無害のものです。 この白カビをチーズのまわりにつけることによって、カビがチーズのタンパク質を分解し、おいしさに変化させていきます(これを熟成とよびます)。ですからご心配なく。 ふつう白カビがついているタイプのチーズってカマンベールのような円盤型で厚みもそこそこあるものが多いのですが、このチーズはちょっと変わっています。形が枕、しかも熱を出したときに使う氷枕のような形のチーズ。どちらかといえば薄っぺらい形です。 このチーズの故郷はフランスの中央部にある山岳地帯。オーヴェルニュ地方というところで伝統的なチーズの宝庫のような地域です。山岳地帯ではありますが、牛の放牧が盛んで大きなハードタイプのチーズや青カビのチーズをたくさん産出しています。 ブリック・デュ・フォレは作る時期によって牛乳製、あるいは山羊乳を混ぜて作ることがあります。チーズが薄っぺらいためかたいてい熟成が程良く進んでいてとてもソフト。味わいは誰でも親しみやすい甘みが感じられて、フルーティーな赤ワインから軽い白ワインまでと気軽にワインにも合わせられるチーズです。 |
アッペンツェラー |
スイス、しかもアノアルプスの少女ハイジの故郷の「マイエンフェルト」にとても近いアッペンツェル地方の山で作られている、スイスでも指折りのハードタイプのチーズです。 このチーズのユニークなところは地元で造られる白ワインにスパイスを入れて(入れるスパイスは作るヒトによってレシピが違うそうです)、その液体を浸した布でチーズの表面を洗うんだそうです。ハードタイプのチーズだけれど、ウオッシュタイプの行程もふんでいるってことになります。 ですからチーズは少し古漬けっぽい臭いがします。 どうもこの臭い匂いのせいで、「風味の強いハードタイプのチーズ」と思われてしまうのですが、食べてみると意外と香ばしくて食べやすいです。 というのも熟成はせいぜい3ヶ月程度。しっとりと目の詰まったチーズの身は優しいミルクの甘みを十分に残していますし、ハードタイプ特有のナッティな香ばしさが楽しめます。ちょっとピリッと辛みを感じますがそれも味わいのアクセント。辛口の白ワイン、フルーティーな赤ワインにはちょうど良い具合にマリアージュすることでしょう。 この3ヶ月熟成のアッペンツェラーは銀色のラベルが貼って出荷されます。銀ラベルが最も一般的で、これより熟成をさせているタイプには金ラベル、黒ラベルと色分けされて出荷されます。熟成が進むにつれてチーズの味が濃く旨みも増してきますが、銀ラベルでも十分にインパクトのあるチーズです。 |
マロワール |
フランスでも最も北に位置する「ティエラシェ地方」で作られているウオッシュタイプのチーズです。 ウオッシュタイプというのはチーズを熟成させているときに、塩水や地酒などでチーズの表面を洗う作業をして作られるチーズ。中世の修道院でこの製法が確立されたとされていて、冷蔵庫のない昔はこうしてチーズの表面を殺菌していたと思われます。 ウオッシュタイプのチーズの特徴として表面がネバネバとしていることがあげられます。このネバネバ、納豆菌と親戚関係くらいの間柄である「リネンス菌」というものが付いていて、この菌がチーズを美味しくしているのです。チーズを美味しくしているのは良いんだけれど、この菌によって鼻が曲がるような強烈な匂いがします。よく古漬けとかくさやとかの匂いと比較されるほど。 マロワールもベルギー国境までわずか30キロの「マロワール町」に7世紀に作られた大修道院で作られるようになったウオッシュタイプのチーズでかなりの歴史があります。歴史を経て修道院から周辺の村の農家に作り方が伝えられて今に至っているというわけです。 ウオッシュタイプの中でも一番と言っていいくらい強烈な臭いがします。ちょっとでもチーズの表面に手が触れようものならしばらくはその臭いが取れないくらいの臭気。しかもネバネバ加減も半端ではありません。すさまじい外見ではありますが、チーズをカットしてみると中身はかなり穏やかな様相。 味は濃厚というよりは程良い食べやすさ。ミルクの旨みと甘みがほんのりと漂います。臭いのきつい外皮を取り除いて食べれば朝食に出しても大丈夫(?)かも。そのまま食べるよりはパンにのせて軽くオーブントースターで焼くと、より生っぽい臭いや風味が消し去られてとても食べやすくなります。現地ではマロワールがフィリングになったタルトも存在するとか。 最近では125gとか250gくらいの箱入りのマロワールがスーパーや百貨店でも見かけられるようになりました。クラブでお届けするのは一つが600g近くもある「ソルベ」というかなり大型のサイズ。小さなサイズのマロワールより苦みなどの雑味がすくないマイルドな味わいです。 臭い匂いにひるむことなく、優しい味をお楽しみください。 |
今月のワイン |
2000 シュヴェルニー・ルージュ(クロ・デュ・テュエ・ブッフ) 2000 Cheverny Rouge domaine Le Clos du Tue-Boeuf 生産地:フランス,ロワール川流域シュヴェルニーAOC 生産者:クロ・デュ・テュエ・ブッフ 品 種:ピノ・ノワール&ガメイ 価 格:1,800円(税別) 「クロ・デュ・テュエ・ブッフ」というドメーヌは中世より高く評価されている有名なぶどう園で,現在はピュズラ兄弟が所有し,ビオディナミ(無農薬有機栽培)を実践しています。 この赤は,その素晴らしい品質から『下町のロマネ・コンティ』とまで評価される「シュヴェルニー・ルージュ“グラヴォット”」(ピノ・ノワール100%)は2000年産は独立したワインとしては瓶詰されずに,ガメイ種をブレンドして,「シュヴェルニー・ルージュ」として出荷されました。 抜群のコストパフォーマンスを誇る1本です。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) まさに飲み頃です。抜栓して即,美味しいです。 また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。 1999 オリジネル・ブラン(ジュリアン・クルトワ) 1999 Originel Blanc domaine Julien Courtois 生産地:フランス,ロワール川流域ソローニュ,ヴァン・ド・ターブル 生産者:ジュリアン・クルトワ 品 種:ムニュ・ピノ(シュナン・ブランの亜種)100% 価 格:2,800円(税別) 「ゆうこチーズクラブ」2000年4月分でご紹介した“ラシーヌ”の生産者で『ロワールの巌窟王』の異名を持つクロード・クルトワ氏の長男がこのジュリアン・クルトワです。 父と同様常軌を逸した低収量(1ヘクタール当り16ヘクトリットル!ちなみにブルゴーニュの特級でも30ヘクトリットル以上)でワインを造っています。またビオディナミは当然で,彼らの場合は醸造時に二酸化イオウをまったく使用しないため,完璧に自然なワインができあがります。 このオリジネル・ブランの特長は何といってもその“水”のような味わいにあります。異常に凝縮度の高いワインなのですが,ミネラルウォーターのようにゴクゴク飲めてしまうのです。『究極のバランス』を持っています。おそらく10分ほどで1本を空けることも可能でしょう。 この究極の白ワインをこの機会にぜひお試しください! ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) もちろん飲み頃です。開けて即おいしいです。 チョット冷たいかな程度(約10〜12℃)で飲んでいただくと最適です。1日で飲みきれない場合は,冷蔵庫で保管してください。 ※酸化防止剤を使用していないため,たいへんデリケートです。ワインセラーが無い場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。 1999 リュリー・プルミエ・クリュ・マルゴテ・ルージュ(ヴァンサン・デュルイユ・ジャンティアル) 1999 Rully 1er Cru "Les Margotes" domaine Vincent Dureuil-Janthiale 生産地:フランス,ブルゴーニュ地方コート・シャロネーズ地区リュリー・プルミエ・クリュAOC 生産者:ヴァンサン・デュルイユ・ジャンティアル 品 種:ピノ・ノワール100% 価 格:3,500円(税別) リュリーの村はブルゴーニュの南部コート・シャロネーズ地区にあります。このアペラシオン最強の生産者といえばジャンティアル! その彼の持つ畑の中でも最も評価の高い1級畑がこの『マルゴテ』。ここの白ワインは力強さとといい,繊細さといい文句のつけようの無い素晴らしいものです。ところが,ここの畑は「シャルドネ」だ けでなく,「ピノ・ノワール」もすごいんです! その味わいは,コート・ド・ニュイの村名ワインに勝るとも劣らない,ふくよかで,洗練されたピノ・ノワールの旨味が実感できます。 なんと日本への入荷数量はわずか60本! 超レア物です。このチャンスをお見逃しなく! ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) まさに飲み頃です。抜栓して即,美味しいです。 また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。 |