今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。 チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。 ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。 |
コンテ |
コンテは、フランスではグラタンなどのチーズを使ったお料理に欠かせない料理用のチーズとして、またワインとともに楽しむ食卓用のチーズとして万能選手のチーズです。 ひとつが50Lちかくもある大きなチーズで、チーズの歴史も2000年近くあると言われています。 ハードタイプのチーズは、保存性を良くするためにチーズ中の水分をかなり少なくした熟成期間も長いチーズ(今回のものは14カ月も熟成しています)。 このコンテの故郷もアルプスの山中でスイスとの国境付近です。冬の保存食として夏にアルプスの山中に放牧した牛からとったミルクで作られてきました。 よく食べ慣れているプロセスチーズと比べると旨みとともに甘みや苦みなども感じられますが、そこがナチュラルチーズとプロセスチーズの違いで、チーズの味わいが複雑です。味が単一な感じがしません。 単一なのは味ばかりではありません。匂いを嗅いでみてください。何とチーズの芳しい香りがすることか!時にはチーズを数ヶ月間熟成させていた熟成庫の湿った香りがしたり、ミルクをぎゅっと濃縮して旨みを閉じこめたような香りがしたり・・・・。フランスの山からやってきたんだなぁという匂いです。 今回お届けするコンテはただのコンテではありません。「PETITE社」という造り手さんのチーズを「St.ANTOINEの要塞」という場所の特別の熟成庫で美味しく熟成されたコンテです。その会社のものはパリの一流チーズ商も手に入れるために必死に買い付けをするという、密かに業界では引く手あまたのコンテだそうです。 ふつう食べるとナッツのような風味を感じるチーズなのですが、14ヶ月の熟成もさせたコンテはアミノ酸の結晶が所々に見られて旨みが十分に楽しめる味の深〜いチーズとなっています。 |
マンステール |
ワイン好きにはたまらない・・・でもチーズ初心者にはおそろしい・・・それがウオッシュタイプ。 ウオッシュタイプというのはチーズを熟成させているときに、塩水や地酒などでチーズの表面を洗う作業をして作られるチーズ。中世の修道院でこの製法が確立されたとされていて、冷蔵庫のない昔はこうしてチーズの表面を殺菌していたと思われます。 ウオッシュタイプのチーズの特徴として表面がネバネバとしていることがあげられます。このネバネバ、納豆菌と親戚関係くらいの間柄である「リネンス菌」というものが付いていて、この菌がチーズを美味しくしているのです。チーズを美味しくしているのは良いんだけれど、この菌によって鼻が曲がるような強烈な匂いがします。よく古漬けとかくさやとかの匂いと比較されるほど。 どうもこの臭い匂いのせいで、チーズを知り始めた人たちには敬遠されるみたい。 鼻をつまんで一口食べると、味はひょっとしたら白カビタイプより食べやすくて優しいかもしれませんよ。 クラブでふたたびお届けするマンステールはドイツと国境で接しているアルザス地方の代表的なチーズ。匂いのわりには味わいはマイルドで、ミルクのコクと甘さが素直に感じられます。うんと熟成をすると塩っ辛くなりますが、たぶんお届けするチーズはまだまだ熟成途中の食べやすいもののはず。 今回お届けするマンステールは良く店頭で見かける200g位の小さなものではなくて、アルザス地方ではごく当たり前に売られている800gの大きなサイズのチーズを100gずつ切り分けてお届けします。 そしてこのチーズは大きいだけではなくて農家製のチーズ。農家製のチーズの特徴はミルクを絞ってからミルクを移動しないですぐ近くの工房にてチーズに加工するため、ミルクの中にもとから存在するの微生物が複雑な味を作り出すので、味わいが深いということです。 そしてどういうわけか、この地方ではマンステールを食べながらクミンシードを食べる・・・・ということをしているそうです。クミンといえばカレーなどにも入っているかなりエスニックで匂いと味の強いスパイスですが、チーズと食べて美味しいのでしょうか・・・? |
ブルー・ド・ベルコール・サスナージュ |
長ったらしいこの名前、しばしば「ブルー・ド・サスナージュ」と省略して呼ばれたりします。 真ん中に入っている「ベルコール」とは、このチーズの故郷のローヌアルプ地方にある「ベルコール山塊」の地名から来ています。この地方はアルプスの山もありますが、ベルコール山塊などアルプス山脈からは少し離れているところにも山地があり、アルプスの山のチーズ同様に冬の保存食として伝統的に作られてきました。 しかしながらブルー・ド・サスナージュは年々生産農家が減り絶滅寸前まで追い込まれました。ここ10年でこのチーズを復活させようと若い生産者が立ち上がり、見事復活を遂げAOCにも認定されました。 ブルーチーズとしてはちょっと固めでむっちりとしたセミハードタイプのようなチーズです。そして塩分や脂肪分も若干普通のブルーチーズに比べると少ないので、とても食べやすくてブルーチーズであることを忘れてしまいそうなくらいです。 ピリッとした舌を刺すような刺激がすくなく、食べた後にちょっとほろ苦さを感じ、ともすればクルミのようなナッティーな風味も味わえる限りなくセミハードに近いタイプのチーズです。 このまま食べてもおいしいのですが、チーズを細かく砕き生クリームで少しゆるめたペーストを、薄切りのバゲット(あるいは食パンでも)にのせてオーブントースターで軽く温めると、何とも風味豊かなカナッペができあがります。 生で食べるより、美味しいかも?! 生で、そして是非火も通して違った2種類の味わいをお楽しみください。 |
今月のワイン |
1998 アルボワ・ピュピヤン・サヴァニャン(ピエール・オヴェルノワ) 1998 Arbois Pupillin Poulsard domaine Pierre Overnoy 生産地:フランス,ジュラ地方アルボワ・ピュピヤンAOC 生産者:ピエール・オヴェルノワ 品 種:プールサール100% 価 格:2,500円(税別) 土,水,ワイン,そしてワインを飲む人を尊重して造られたワイン。 1970年代の設立時から,亜硫酸をできる限り使用しない孤高のワイン造りを貫き,実現したビオディナミ(無農薬有機農法)の先駆者。 色の抽出のための醸造法をとらないため,色はたいへん淡く,飲み手をやさしく包み込んでくれるような味わいが特長です。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) 飲まれる30分ぐらい前に抜栓をお願いします。 また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。 ※このワインはノンフィルターで瓶詰されています。ワインセラーが無い場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。 1998 アルボワ・ピュピヤン・サヴァニャン(エマニュエル・ウイヨン) 1998 Arbois Pupillin Savagnin domaine Emmanuel Houillon 生産地:フランス,ジュラ地方アルボワ・ピュピヤンAOC 生産者:エマニュエル・ウイヨン 品 種:サヴァニャン100% 価 格:3,500円(税別) ウイヨンは,オヴェルノワの愛弟子であり,ドメーヌの継承者。 ヴァン・ジョーヌ(黄ワイン)というジュラ地方固有の原料品種としてのサヴァニャンが,高品質なファイン・ワインに生まれ変わっています。 生産量は極端に少ないため,この機会にぜひお試しください。 ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) 飲み頃が始まっています。 あまり冷やし過ぎないでください。10〜12℃ぐらいが適温です。1日で飲みきれない場合は,冷蔵庫で保管してください。 2001 ボジョレー・ル・ペレオン・ヌーヴォー(マドンヌ) 2001 Beaujolais Le Perreon NOUVEAU domaine de La Madone 生産地:フランス,ボジョレー・ヴィラージュ・ヌーヴォーAOC 生産者:マドンヌ(ジャン・ベレール) 品 種:ガメイ100% 価 格:2,380円(税別) これはノン・フィルターで瓶詰めされたピュアで洗練されたボジョレー・ヌーヴォーです。 ヌーヴォーにしてはめずらしく(?)しっかりとしており,良い意味で「ボジョレー」らしさが実感できます。イチゴジャムの圧倒的な香りが印象的な1本です。 1997年のファーストリリース以来フランスのマスコミ各紙で絶賛されている傑出したヌーヴォーです。 マドンヌのヌーヴォーを知らずして「ボジョレー・ヌーヴォー」は語れません! ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ) もちろん飲み頃です。ただしヌーヴォーは開栓したばかりの場合ほとんどぶどうジュース状態です。 時間が経つにつれて少しずつ味わいが出てくるのをお楽しみください。 室温が25℃以上であれば,30分程度冷蔵庫の野菜室で冷やしてから抜栓してください。 また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(1時間ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。 ※このワインもまたノンフィルターで瓶詰されています。ワインセラーが無い場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。 |