チーズのよりやさしいご説明

今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。
チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。

ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。

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リゴット・プロヴァンサル


リゴットという小型のチーズをオリーブオイルとハーブに漬け込んであります。

リゴットというチーズはフランスのローヌ地方、サヴォワ地方、プロヴァンス地方の手のひらにのるくらいの小さなチーズをいいます。それぞれの地方でそれぞれの大きさや形のリゴットというチーズが存在するわけですが、プロヴァンス風・・・というリゴットはチーズをオイルに漬け込んでいます。

サラダでもリヨン風のサラダ・・・というように「○○風」と地方名がついているものがあります。その地方でのやり方、食べ方を表したものですが、チーズも地方によりいろんな食べ方や保存の仕方があるようです。

ちょっと懐かしいベストセラーのピーター・メイルの「南仏プロヴァンスの12ヶ月」というエッセイがありましたが、南仏といえば輝く太陽と開放的な風景とのんびりとした時間。食材といえばハーブ(ローズマリーやタイムなどなど)やトマトやオリーブオイル・・・なんてそんなイメージがありますよね。

きっと冷蔵庫が発明される前の古くからこの地方では食物の保存はオイル漬けの手法が取られていたのではないでしょうか。オイル漬けという手法は魚や野菜(ピクルス)でもとられるごくごく自然な保存法。オイルだけでなく特産のハーブを共に漬け込めば、食品にハーブの香りも移りますます美味になります。

リゴットチーズもプロヴァンス地方では黒胡椒、ハーブと共にオリーブオイルに浸かっていて、熟成していないちょっと酸味の残るチーズに胡椒のピリッとしたからさと爽やかなハーブの香りがミックスされて、いつものチーズを食べている感覚とはまたちょっと違った美味しさが楽しめます。

私はこのプロヴァンス風の保存法をアレンジして、若いシェーブルチーズやサンマルセランなどを自宅でオイル漬けにすることがあります。オイルから取りだして、そのままサラダにほぐして散らしてみたり、またスパークリングワインのおつまみにと、チーズの楽しみ方の幅が広がります。


ペラルドン


南仏(こんどはプロヴァンスよりやや西のラングドック地方)で作られる小さな山羊のチーズです。

ペラルドンとはこの地方の方言で「山羊のチーズ」という意味。もともとはラングドック地方のなかでも山の地方でつくられていたチーズだったらしいですが、最近ではかなり広い範囲で(平野部でも)作られるようになり、また去年AOC(フランスの農産物や畜産物を保護する法律)の認定を受けたこともあり、知名度も人気も高まってきているようです。

ひとつが手のひらにのってしまうくらいの円盤形で、若いうちは真っ白で口に入れたらフワッと柔らかく溶けてしまいそうな甘さと酸味が楽しめます。山羊特有の臭さも新鮮なものはそれほど強烈に出ていないので、状態の良いものが手に入ったらすぐに食べてみて欲しいです。

山羊という動物が牛に比べたら小さくて何でも食べて手間がかからないということでフランスの各地の農家で飼われていて、そしてその地方ごとに山羊のチーズというものも存在するということでした。数々のウオッシュタイプが作られているあのブルゴーニュ地方にもまたアルプスの山深いサヴォワ地方でも山羊のチーズが昔から作られているのです。きっとフランス中の片田舎には名もないような山羊のチーズがまだ存在しているのに違いありません。

ひとくちに「シェーブルチーズ」といってもフランスで産出される場所によって、また作り方によって微妙に味が違ってくるものです。これは私の感想ですが、有名なロワール河流域の山羊はさっぱりとした味が際立っていると思いますし、南仏のシェーブルはハーブの香りがしたり、またミルクの甘さがダイレクトに伝わってきたりするものが多いように思います。

山羊のチーズの旬は春から夏にかけて。ミルクが一番おいしいこの時期のチーズは、お届けしたてはフレッシュでとても美味しいはず。残ってしまったら包まれてきている包装紙できちんと巻いて、冷蔵庫の野菜室に。余り湿気がないと固くなるし、蒸れてしまうと山羊のイヤな匂いが出てきます。出来るだけいい状態のうちに食べてしまいましょう。


ブルー・デ・コース


けっこう風味の強いブルーチーズです。

世界3大ブルーチーズのひとつでもあるあの有名なロックフォールの産地と限りなく近い地方で作られています。

両チーズともこの地方にある自然にできた石灰岩の洞窟で数ヶ月熟成をします。この洞窟はブルーチーズには最適な熟成条件を兼ね備えているので、おいしいチーズを作るのには必要不可欠なものです。これらのチーズはこの地方の洞窟で熟成をさせないといけないという法律まであるくらいですから。

ロックフォールが羊乳で作るのにたいしてブルー・デ・コースは牛乳で作ります。牛乳は無殺菌乳で脱脂をしない、いわゆる「全乳」でつくられるため、他の牛乳製のチーズより(例えばクラブでもかつてご紹介をしたフルムダンベールやブルー・ド・オーヴェルニュなど)甘みや濃厚さが若干多く感じられるでしょう。

フレッシュタイプのチーズ以外は食べる前30分から1時間前には冷蔵庫から出して、室温に戻しておくことが鉄則です。それはワインと同じで冷やすと独特の香りや味わいが閉じてしまって美味しさが半減してしまうからです。

しかし全乳で作られるチーズというのは脂肪分を全く取り除いていないわけですから脂肪分が高いです。ですから室温においておくとすぐに柔らかくなってしまいます。暑い夏場はあまり長いこと(2時間も3時間も)室温に置いておくことはオススメできません。

ロックフォール同様、かなりピリッとした風味も強いし塩辛さも相当なもの。渋みの強い(タンニンの多い)赤ワインと合わせて楽しみましょう。もちろん甘口のワインとの相性も驚くほど良いです。暑い夏には冷たく冷やしたデザートワイン(甘口ワイン)とブルー・デ・コースをチビチビとやるのもちょっと素敵です。

ワインがダメ・・とおっしゃるかたにはハチミツをチーズに添えて召し上がってみてください。辛みや塩辛さが甘さと混じり合うと角が取れて、何とも不思議なハーモニーを奏で始めます。

そのまま食べるのがとてもつらいようでしたら、サラダのトッピングやオムレツに少量混ぜてとお料理のワンポイントに使ってみてください。熱を加えると風味も和らぎ、またそのまま食べるよりは他の材料と混ぜてしまうことにより塩分や風味もかなり薄まります。ちょっとブルーチーズ風味があるだけでも、いつもの卵焼きが洋風に変わりワインのつまみにもなるかもしれません。



今月のワイン


1999 バンドール(ラ・トゥール・デュ・ボン)
1999 Bandol domaine de la Tour du Bon

生産地:フランス,プロヴァンス地方バンドールAOC
生産者:ラ・トゥール・デュ・ボン
品 種:ムールヴェードル主体
価 格:3,000円(税別)

またまた完全無農薬,有機農法(ビオロジーク)のワインです。このワインの生産者「ラ・トゥール・デュ・ボン」は,実は今年の1月度の「ゆうこチーズクラブ」でもご紹介した「ティエリー・ピュズラ」がプロヴァンスで所有する農園なのです。今バンドール地区で最も注目されている生産者のひとりです。
4月の「ラシーヌ」,5月の「ブルグイユ」,6月の「フルーリー」そして,7月は「バンドール」と,ひつこくビオロジーク/ビオディナミの生産者が続いています。
バンドールと言えば,オットー,タンピエ,ピバルノンと優秀な造り手が目白押しですが,ラ・トゥール・デュ・ボンの別格な品質の高さをぜひあなたが実感してみてください。

ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲まれる30分ぐらい前に抜栓をお願いします。
また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(30分ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。

※酸化防止剤を使用していないため,たいへんデリケートです。ワインセラーが無い場合は冷蔵庫の野菜室で保管してください。


1999 ケラーヌ・ブラン・オー・クスティア(ロラトワール・サン・マルタン)
1999 Cairanne Blanc Haut Coustias domaine de L'Oratoire St.-Martin

生産地:フランス,コート・デュ・ローヌ地方ケラーヌ村コート・デュ・ローヌ・ヴィラージュAOC
生産者:ロラトワール・サン・マルタン
品 種:マルサンヌ60%,ルーサンヌ30%,クレレット10%
価 格:2,900円(税別)

ロラトワール・サン・マルタンは南部ローヌで最もコストパフォーマンスの高いワインを産出するドメーヌのひとつです。赤は5種類,白は3種類のワインを造っています。それらの最上のキュヴェがこの「オー・クスティア」なのです。30年以上の古木から収穫量をブルゴーニュの特級畑並に制限して,上品で口当りはソフト,ボリューム感もしっかりあるという素晴らしいワインを造り出しています。
ローヌの白ワインに対するあなたの評価が一変するワインです。

ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲み頃が始まっています。
あまり冷やし過ぎないでください。10〜13℃ぐらいが適温です。1日で飲みきれない場合は,冷蔵庫で保管してください。


1997 ミュスカ・ド・リヴサルト・レ・サンテ(ジャン=リュック・コロンボ)
1997 Msucat de Rivesaltes "Les Saintes" domaine Jean-Luc Colombo

生産地:フランス,ルーション地方ミュスカ・ド・リヴザルトAOC
生産者:ジャン=リュック・コロンボ
品 種:ミュスカ100%
価 格:2,800円(税別)

北部ローヌ地方コルナス地区最強の生産者がこのジャン=リュック・コロンボ氏です。そんな彼がスペイン国境に近いルーション地方のペルピヤン近辺で造るヴァン・ドゥー・ナチュレル(天然甘口ワイン)です。 マスカット(=ミュスカ)の香りはもちろんのこと,ジャスミンのアロマも感じられます。また甘いだけではなく,しっかりとした酸もあり,バランス良く仕上がっています。
フランス全土でこのような甘口ワインが生産されていることに,いつもながら驚かされます。

ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

もちろん飲み頃です。開栓して即おいしいです。
思いきり冷やしてください。5〜8℃ぐらいが適温です。
おそらく栓をして冷蔵庫内で保管すれば1ヶ月は大丈夫でしょう。





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