チーズのよりやさしいご説明

今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。
チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。

ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。

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ブリナータ


イタリアは中部のトスカーナ地方の羊のチーズです。

この地方では昔から「ペコリーノ・トスカーナ」という羊のハードタイプのチーズを産出しています(ペコリーノとは「羊のチーズ」の意味)。そう、この地方では牛よりも羊の飼育がさかんで羊のチーズを作っているのです。

伝統的なペコリーノ・トスカーノとは相反して、最近(約3年前)に開発されたのが「ブリナータ」。回りを白カビで覆った優しい味わいのチーズが誕生しました。
白カビで回りを覆っているので熟成につれカマンベールのようにチーズが柔らかく熟成していき、3ヶ月も熟成させると流れるほどトロトロになります。

羊の乳は牛や山羊の乳に比べると乳脂肪分が多くまったりとした味わいが特徴です。そのまったり加減がチーズになると独特の甘みになります。ブリナータは優しい乳の香りと口中に広がる乳の甘さが何とも上品で味わい深いです。

イタリア、とくにトスカーナ地方のワインはこの地方固有のブドウ品種以外のカベルネ・ソーヴィニヨン種とかメルロー種で造るワインを「スーパー・トスカーノ」といって新たな分野を築き上げています。そして「スーパー・トスカーノ」は既存のトスカーナワインよりはるかに高値で取り引きされる品質的にも知名度も高いワインになっています。

ブリナータもイタリアでは昔は見られなかったフランス生まれの「白カビタイプ」の製法で作る、チーズ界の「スーパー・トスカーノ」と言えるかもしれません。コクがあって甘い羊の乳を白カビによって熟成させることにより、よりダイレクトに甘みを感じることができるでしょう。


グラナ・パダーノ


イタリアの北部から中部のポー河流域の広い地域で作られるイタリアを代表するチーズです。ひとつの大きさが40Lもある大きなチーズです。

固い表皮とボロボロとした粒子が集まって固まったようなチーズの身は、あの「パルミジャーノ・レジャーノ」とほぼ同じ。実は広範囲で作られているこの「グラナ・パダーノ」のごく一部の地域で作られる高品質のものが「パルミジャーノ・レジャーノ」なのです。と言ってしまうと、じゃぁ「クラナ・パダーノ」は低品質なのか・・・と誤解を受けそうですが決してそういうことではありません。

作り方もほぼ一緒なのですが、ちょっとした違いがあります。牛の搾乳は朝と夕の1日2回です。「パルミジャーノ・レジャーノ」は法律で2回搾乳したミルクを合わせて作ることが決められています。つまり1日に1回しか作ることができません。それに対し「グラナ・パダーノ」は各回の搾乳で作ることができます。要するに生産する機会が増えるので当然多く作ることが可能なわけなのです。

そしてもうひとつ大きな違いは「パルミジャーノ・レジャーノ」が最低2年間は熟成をさせなければならないのに対し、「グラナ・パダーノ」は6ヶ月以上の熟成で市場に出すことができます。熟成期間が短ければチーズにかかるコストも低くて済むわけですから当然値段は手頃になります。以上からもおわかりの通り、熟成期間が短く数多く生産できるチーズということでリーズナブルなチーズなわけです。

確かに「パルミジャーノ・レジャーノ」に比べれば味わいのコクに関していえば劣るかもしれません。しかしあまり旨みが凝縮した「パルミジャーノ・レジャーノ」よりは、日常的に食べやすい飽きの来ないチーズとも言えます。

そのまま食べても、また料理の調味料としておろしてパスタなどにふりかけたり、いろいろと活用のしがいのあるチーズです。冷蔵庫に常に保管していても良いのはないでしょうか?きっとお役に立ちます。


ハンジ


匂いがかなりきびしい、とても個性的なチーズです。

フランスのドイツと隣接するアルザス地方のAOCチーズの「マンステール」を、塩水ではなくこの地方で作られる有名なゲヴェルツトラミネール種(白ワイン用のブドウ品種)の絞り粕で作ったマール(地酒)でチーズを洗って熟成させます。

ウオッシュタイプとはチーズを熟成させるときに塩水などで洗い、まわりにリネンス菌という細菌を繁殖させることにより、薄オレンジ色でベタベタとした湿っぽさがチーズの表面を覆います。このベタベタはあの納豆菌と通じるものがあります。納豆菌と同様に、リネンス菌がチーズのタンパク質を美味しい成分に変化させているのです。

匂いもかなり個性的で、お漬物のようなひねた香りが特徴です。はっきり言って「臭い」匂い。でも匂いのわりには味は優しいので、匂いで「うっ」っと来たら鼻をつまんで食べてみてください。芳醇なミルクのコクが口中に広がるでしょう。

薄いオレンジ色のベタベタと湿った表皮からは古漬け、あるいはご不浄のような匂いがしています。ウオッシュタイプのチーズになれていない人がこの匂いだけを嗅ぐと、まさかこれが食べ物であるとは信じられないと思います。

しかし匂いが臭いのは表皮だけで、チーズの中身のクリーム色の部分はいわゆるチーズの匂いしかしません。しかも味わいも優しいミルクの甘みが充分に楽しめて非常にマイルドです。ちょっと塩分がきつく感じられるようでしたら、チーズだけを食べるのではなくバゲットや小麦全粒粉やグラハムを使って焼き上げた黒パンのスライスの上にちょこんとのせて食べると、それほど気にならなくなるでしょう。

一番のマリアージュは同郷の「ゲヴェルツトラミネール」(白ワイン)といわれていますが、もちろん柔らかいタンニンを感じる赤ワインとの相性も抜群です。是非ワインと合わせて食べて欲しいチーズです。



今月のワイン


1998カルミニャーノ・サンタ・クリスティーナ・イン・ピリ(アンブラ)
1998Carmignano Vigna di Santa Cristina in Pilli Fattoria di Ambra

生産地:イタリア,トスカーナ地方カルミニャーノ地区 サンタ・クリスティーナ畑,カルミニャーノDOCG
生産者:アンブラ
品 種:サンジョヴェーゼ70%以上,カベルネ,カナイオーロ,マンモーロ
価 格:2,500円(税別)

トスカーナ州フィレンツェ県の赤ワイン。同じサンジョヴェーゼ主体のキャンティなどと比べて,よりブルゴーニュ的ニュアンスを感じるかもしれません。頑丈というよりも繊細で心地よい酸味が特長です。
そんなカルミニャーノの中でもこのアンブラのものはとくに秀逸。濃いルビー色の美しい輝きを放つこのワインは,今までとは違ったトスカーナの赤の姿を垣間見せてくれるでしょう。
カルミニャーノは1990年よりDOCGに昇格しました。

※「マルク・デ・グラッツィア・セレクション」のワインです。


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲まれる1時間程度前に開栓してください。
また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(1時間ぐらい前より食卓に立てておく) お楽しみください。


1996ゲヴュルツトラミネール・グラン・クリュ・フォルブール (ピエール・フリック)
1999Gewurztraminer Grand Cru Vorbourg domaine Pierre Frick

生産地:フランス,アルザス地方,特級畑フォルブール ゲヴュルツトラミネール・グラン・クリュAOC
生産者:ピエール・フリック
品 種:ゲヴュルツトラミネール100%
価 格:3,500円(税別)

昨年の「ゆうこチーズクラブ」5月度の白も“ゲヴュルツトラミネール”でした。そのときは98年のバルメス・ビュシェーの特級畑,今回は96年のピエール・フリックの特級畑。
ビュシェーさんは有機農法でぶどう栽培をして,フリックさんは無農薬有機農法(ビオディナミ)です。
ビュシェーさんの98年はたいへん甘く,ほとんどデザートワイン状態でしたが,さてフリックさんの96年は…?


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

 もちろん飲み頃です。開けて即おいしいです。
チョット冷たいかな程度(約10〜12℃)で飲んでいただくとGOODです。
1日で飲みきれない場合は,冷蔵庫で保管してください。


1998レ・セッレ・ヌオーヴェ(オルネライア)
1998Le Serre Nuove Tenuta dell'Ornellaia

生産地:イタリア,トスカーナ州ボルゲリ地区ボルゲリ・ロッソDOC
生産者:オルネライア農園
品 種:カベルネ・ソーヴィニョン80%,メルロー20%
価 格:4,500円(税別)

スーパー・トスカーナの雄「オルネライア」のセカンド・ラベル。
その「オルネライア」は実は97年ヴィンテージより劇的に品質が向上し,同時にセカンドラベルの「レ・セッレ・ヌオーヴェ」も初めてリリースされました。これにより97年より名実ともに「ボルドーのグラン・ヴァン」と肩をならべることができたのではないでしょうか。
味わいは,ボルゲリ地区ならではの果実の凝縮感とタンニンの細かさ。
トスカーナファンだけでなく,ボルドーファンのみなさんにぜひとも試し ていただきたい1本です。


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

 飲まれる1時間程度前に開栓してください。
また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(1時間ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。





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