チーズのよりやさしいご説明

今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。
チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。

ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。

go to toppage
ホームページ・トップへ



モルビエ


スイスとの国境を接するフランスのフランシュ・コンテ地方(ジュラ)のセミハードタイプのチーズです。

この地方ではコンテというフランスでは一番消費量が多くてポピュラーなハードタイプのチーズの産地でもありますが、モルビエはこのコンテを作るときに残ったカード(ミルクを酵素などで固めた状態のもの)で作ったいわば残り物で作ったチーズです。

昔はまず夕方に残ったカードを型に入れ、その表面に虫よけにススをかけておき、翌日の朝に残ったカードをその上に足してひとつのチーズを作ったことから、チーズの真ん中に黒いラインができたのです。今ではコンテの残り物で作ってはいませんが、昔ながらのトレードマークの黒いラインはわざとつけているそうです。

ススは食べて苦くないか?どういうわけか苦くないのです。チーズの味も損なっていません。何のススなんでしょうね。

味のほうは親分のコンテほど熟成をさせないからでしょうか、ミルクの甘さがずいぶん残っていてとても食べやすいセミハードタイプのチーズですが、決して薄っぺらい味ではなくチーズの臭さ、熟成のまろやかさも感じられる満足感が十分にあるチーズです。


ルブロション


個人的なことを言えば、このチーズは私の最も好きなチーズのひとつです。

このチーズはモルビエよりは少し南に下がったスイスとの国境付近のフランスのサヴォワ地方で作られるセミハードチーズです。

一番品質の良いチーズ向きのお乳は夏草を食べているときのだそうです。しかし牛は夏の暑さに弱く、暑いとストレスから搾乳量が減ります。
数年前にこのチーズの故郷を訪ねましたが、夏場はアルプスの山の牧場に牛を放牧して、自然に生える牧草やハーブや高山植物を食べさせて、とても栄養分の高いミルク(香りも豊かな)を絞って作っていました。高度の高い山の上の牧場、そして栄養価の高い夏草をゆっくりと野放しで食べさせて絞るお乳から作るチーズが美味しくないはずがありません。その牧場からは勇壮な「モンブラン」が遠くに見えていました。

そんな「アルプスの少女ハイジ」の世界をみてしまったからでしょうか、現地で食べたあのルブロションの味が素晴らしかったからでしょうか、ルブロションに対しては特別な感情を抱いてしまってもしかたがないのです。

ウオッシュとセミハードの中間のようなルブロションは、上品で優しいミルクの味が素晴らしいです。製造の過程で一度だけ塩水でチーズの表面を洗います。ですからウオッシュタイプと分類されることもありますが、ウオッシュタイプ特有のベトベトとした感じや古漬けの様な匂いも全くないので、セミハードタイプのチーズと認識をした方がいいでしょう。

1年中チーズショップで売られているチーズではありますが、今の時期のものは初夏から夏にかけてのアルプスの大自然の中でゆっくりと草を食んだ牛たちのミルクから作った、最も美味しいチーズのはず。食べればそのミルクの芳しさや甘さをダイレクトに感じることができるでしょう。


ラングル


ウオッシュタイプとは熟成過程でチーズの表面を塩水、または地酒(マール、葡萄の絞りかすを蒸留して作ったお酒)で洗うので、このような呼び方をします。

何故チーズを洗うのか?これは中世の昔、自給自足をしていた修道院ではワインやチーズなども日常的に作られていたのですが、冷蔵庫などのない昔のこと、チーズの保存性を高めるためにチーズのまわりに付くカビとか細菌を消毒するために編み出された方法だそうです。チーズに不要な細菌類を洗い流し、リネンス菌という納豆菌の親戚のような菌が繁殖することにより、ネバネバとして匂いも古漬けのように刺激的な匂いがするようになります。

このラングルもシャンパーニュ地方にあった修道院で作られるようになったチーズ。約200gほどの小さな円錐型のチーズの上部にはフォンテーヌ(泉)といわれるくぼみがあるのが特徴。残念ながら今回お届けのチーズは半分にカットしてしまうため、完全なくぼみは見ることが出来ませんが、地元ではこのくぼみにシャンパーニュや地酒を注いで飲んだりするとか?!

熟成の若いうちはそれほど匂いも強くなく、チーズの形自体もしっかりと原形を保っていますが、熟成していくにつれ匂いが強くなり、表面もテカテカ、ヌルヌル、ネバネバとかなりしっとりした感じになり、チーズも非常に柔らかく流れ出すようになります。それくらいの状態になると味も強く、しっかり腰のある赤ワインでないとなかなか太刀打ちが出来なくなります。

しかしながら匂いや見た目の強烈な感じより、チーズの中身は意外とマイルドで食べやすいというのもウオッシュタイプの特徴。外側の部分を取り去ってしまえば、実は非常に食べやすくて美味しい!と、以前ご紹介したウオッシュタイプのチーズの感想として寄せられました。

そして熟成の若いチーズはミルクの甘さ、そして嫌味のないチーズの旨さが楽しめます。ワインもシャンパーニュはもちろん、辛口の白ワインからフルーティーなミディアムボディの赤ワインでも十分楽しめるでしょう。

ウオッシュタイプはまだ未経験・・・というかたに、ぜひ試していただいてみたいチーズです。



今月のワイン


1997ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ(パスカル・シュヴィニー)
1997Bourgogne Hautes-Cotes de Nuits domaine Pascal Chevigny

生産地:フランス,ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイAOC
生産者:パスカル・シュヴィニー
品 種:ピノ・ノワール100%
価 格:3,000円(税別)

ブルゴーニュの北部コート・ド・ニュイの西側の標高の高い(400m前後の)斜面に畑は広がっています。近年この区域の品質の向上にはめざましいものがあります。
このパスカル・シュヴィニーのワインもその中の1本です。ほとんど無名の生産者ですが,その自然でしっかりとしたワイン造りは,他のドメーヌの「村名AOCワイン」と十分に張合える(越える!?)素晴らしい品質を有しています。
まさに『ブルゴーニュの魂』に触れる1本と言えましょう。
パスカル・シュヴィニーを飲まずしてブルゴーニュは語れません!
☆これはいわゆる『バレル・セレクション』のワインです。


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲み頃が始まろうとしています。
室温が25℃以上であれば,30分程度冷蔵庫の野菜室で冷やしてから抜栓してください。
また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(1時間ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。


1998リースリング・ビール(ピエール・フリック)
1998Riesling Bihl domaine Pierre Frick

生産地:フランス,アルザス,単一畑ビール,リースリングAOC
生産者:ピエール・フリック
品 種:リースリング100%
価 格:2,300円(税別)

ピエール・フリックもまた無名の生産者です。
このワインの最大の特徴は何と言っても「バイオダイナミックス農法」によって栽培されたぶどうから造られている,ことでしょう。一般的には無農薬有機農法と解釈されていますが,実はもっともっと意義深いものがあります。ただ字数の関係上これ以上の説明は省略しますが…。
もちろんバイオダイナミックスだから,美味しいワインができるということではありません。
とにかく飲んでみてください。その品質の高さにわたしたちは打ちのめされてしまいます。驚愕の一語につきる感動的な白ワインです。


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲み頃が始まろうとしています。
このワインは冷蔵庫でキンキンに冷やすのではなく,チョット冷たいかな程度(約10〜12℃)でお飲みください。室温が25℃以上であれば,冷蔵庫で3時間ぐらい入れておけば良いのではないでしょうか。
1日で飲みきれない場合は,赤と同じく冷蔵庫で保管してください。
あとは飲み頃温度に注意していただくだけでOKです。





ゆうこ・チーズ・NETのトップページへ