チーズのよりやさしいご説明

今月取り上げるチーズとワインをよりやさしくご説明をいたします。
チーズの詳しいプロフィールとかは「ゆうこのピックアップの該当ページ」をご参照ください。

ここでは実際に食べるときに即して、わかりやすく書いてみたいと思っています。

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サン・マルセラン


今年の4月にお届けした「サン・マルセラン・アフィネ」の熟成をさせていないタイプです。

もともとこのチーズは熟成をさせないでフレッシュなうちに(とはいってもできたてよりはしばらく時間が経ったものを)食べるチーズでした。チーズというものはできたては乳酸菌の働きがまだ活発なので酸味が感じられます。熟成が進むにつれて酸味が徐々に弱くなり、タンパク質が変化して旨み成分が増えていくものなのですが、できて少し経った頃のチーズというものは適度に酸味もあり、またミルクの甘みもあり、塩辛さもそれほどないので、味にインパクトはそれほどないのですがバランスが取れて食べやすいものです。

このサンマルセランは手のひらくらいの大きさの円盤状をしていて、フランスのリヨン(食の都といわれる)からほんの少し南にさがった、その名も「サン・マルセラン」という街から命名されています。チーズのまわりにも中にも白カビとか青カビとかを植え付けないで作っていて、「す」のままのチーズといった感じでしょうか。チーズの中の微生物たちがジワジワとチーズを変化させていっています。

まわりにカビを植え付けなくても時間と共にグレーっぽいカビが自然にはえてきます。チーズにつくカビは、チーズ自体が酸性なので人体に害になるようなカビはほとんど生えないそうです。自然に生えるカビもチーズの美味しさに一役買っているかもしれませんので、そんなに神経質に取り去らずちょっとくらい食べてみても大丈夫でしょう。

熟成してトロトロになったものはバターのようなまったりとした味わいでしたが、今回お届けのフレッシュタイプは、あの熟成(アフィネ)のサン・マルセランと同じチーズなの?と驚くほど違っています。飾り気のないさっぱり感と程良いミルクのコクが上品なチーズです。


カマンベール・ド・ノルマンディ


誰でも知っている「カマンベール」。でもただのカマンベールではありません。

元もとカマンベールチーズはフランスのノルマンディ地方というパリより北西の緑の豊かな地方で作られていました。(もちろん今でも作られています。)白カビを回りに吹き付けて作る「白カビタイプ」のチーズですが、この白カビチーズというのはフランスでは8世紀頃からブリーチーズが作られていて、フランスならではの製法でした。カマンベールもフランス革命時にパリ近郊からイギリスに向けて逃げていた修道僧が、逃亡の道中にたまたま身を寄せていたノルマンディ地方のカマンベール村の農家の奥さんにブリーチーズの作り方を伝授したことから、作られ始めたとか。

近代になってからこのチーズの美味しさが内外に知れ渡って、世界の各地でコピー商品が作られはじめました。日本でもいろんなメーカーや牧場が「カマンベール」の名前でチーズを売り出しています。見た目は同じような白カビタイプのチーズでも、乳牛の種類、吹き付けるカビも違い、そして作り方などまるで違うので全然別物のチーズがあちらこちらでできあがってしまいました。そうなると本家本元のカマンベールの値打ちまで下がってきてしまうわけです。

そこで1980年にAOCというフランスの法律で作る地域を限定したり、乳牛の種類を限定したり、大きさや伝統にのっとった作り方を厳しく決めたりして、昔から伝わるオリジナルなカマンベールを保護することにしました。そしてその法律にのっとって作られたカマンベールは「カマンベール・ド・ノルマンディ」という正式名称がつき、これぞ本物のカマンベールチーズということになりました。

そして今回お届けするのも、もちろん「カマンベール・ド・ノルマンディ」で、そんじょそこらのカマンベールとはひと味もふた味も違うはずです。まず味が「濃い」。まだ白カビが真っ白に生えているような若い状態ではそれほどでもありませんが、熟成が進むにつれてチーズの匂いがきつくなりチーズの味も「なんじゃこれ〜?!」というくらい濃いです。

それは多分、無殺菌乳でチーズを作っているからかもしれません。「カマンベール・ド・ノルマンディ」は必ず無殺菌の牛乳で作らなければなりません。殺菌をすることによって悪い菌も死んでしまいますが、チーズになったら豊かな風味を醸し出すために必要な善良な菌までも殺してしまうこともあります。牛乳の中に潜んでいる様々な菌が充分に作用して、複雑で奥行きのある風味を作り出している無殺菌乳製のチーズならではの味が楽しめます。

近くにもしも殺菌乳で作るカマンベールが売っていたら、是非食べ比べてみてください。その差がはっきりと分かるでしょう。


オッソ・イラティー


クラブでは初登場の羊乳のチーズ。羊乳のチーズときいて、食べ慣れていらっしゃらない方は「臭いのでは?」と、ちょっと気持ちが後ずさりをしているかもしれません。

確かに山羊乳のチーズ(シェーブル)はどこかしら味にけもの臭さが漂っていて、好き嫌いがはっきりと別れてしまいがちです。それに比べて羊乳のチーズはマイルドで臭くありません。

牛乳、山羊乳などにくらべて最も乳脂肪分やタンパク質が高く、チーズになってもまったりとコクのあるチーズができあがります。しかし、なんのミルクからできているのか聞かないで食べたなら、きっとちょっと濃いめの牛乳から作ったチーズと間違ってしまうかもしれません。それほど「普通」な感じです。

この「オッソ・イラティー」の故郷はフランスとスペインの国境にあるピレネー山脈のフランスよりの山岳地帯です。山を挟んだお隣のスペインでも同じように羊のミルクでたくさんチーズを作っています。イベリア半島からこのフランス南西部にかけては羊の牧畜が盛んで(というより羊に適した土地や気候なのでしょう)、いろんな羊乳のチーズが生産されています。

マイルドで食べやすい羊乳のチーズですが、ものによっては塩辛かったりコクがありすぎるもありますが、オッソ・イラティーは田舎っぽい羊乳のチーズの中ではとても洗練されたチーズかもしれません。やや濃いめのタマゴ色の身はぎゅっとミルクが凝縮したような旨みがあり、やはり牛乳製のチーズとは違うあと味が口に広がります。これが羊のチーズの旨みなのでしょうか。

冬に子供を産み、初夏までしたミルクを出さない羊たち。子供を産んで一番おいしいミルクを出している頃のチーズがそろそろ市場に出回る頃でしょうか。羊のコクをお楽しみください。



今月のワイン


1998シャトー・デ・トゥルトゥ
1998Chateau des Tourtes

生産地:フランス,ボルドー,プルミエール・コート・ド・ブライAOC
所有者:フィリップ・ラグノー
品 種:メルロー60%,カベルネ・ソーヴィニョン20%,カベルネ・フラン10%,その他10%
価 格:2,500円(税別)

樽醗酵,樽熟成(新樽2/3)により造られており,濃厚な果実味と98年ながらすでに飲み頃となっているしなやかなタンニン(渋み)が素晴らしいワインです。
☆これはいわゆる『バレル・セレクション』のワインです。

ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

飲み頃が始まろうとしています。
室温が25℃以上であれば,30分程度冷蔵庫の野菜室で冷やしてから抜栓してください。
また1日で飲みきれない場合は,コルク栓をして冷蔵庫で保管してください。翌日飲む前に室温にならして(1時間ぐらい前より食卓に立てておく)お楽しみください。


1997ブルゴーニュ・シャルドネ(フィリップ・ガヴィネ)
1997Bourgogne Chardonnay domaine Philippe Gavignet

生産地:フランス,ブルゴーニュAOC
生産者:フィリップ・ガヴィネ
品 種:シャルドネ100%
価 格:3,000円(税別)

ニュイ・サン・ジョルジュ村に本拠を置く優良な生産者フィリップ・ガヴィネは,1994年より白ワインも造り始めました。
高級ワインと同様,小樽(一部新樽も使用)による熟成を行い,果実味豊かで品格のあるブルゴーニュ・ブランを創造しました。
『ブルゴーニュ』のアペラシオンをはるかに超えたこの1本をぜひお試しください。
☆これも『バレル・セレクション』のワインです。


ワインの美味しい楽しみ方(飲むときのコツ)

まさに飲み頃のワインです。
このワインは冷蔵庫でキンキンに冷やすのではなく,チョット冷たいかな程度(約10〜12℃)でお飲みください。室温が25℃以上であれば,冷蔵庫で3時間ぐらい入れておけば良いのではないでしょうか。
1日で飲みきれない場合は,赤と同じく冷蔵庫で保管してください。
あとは飲み頃温度に注意していただくだけでOKです。





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